インタビュー
» 2006年11月17日 13時38分 UPDATE

「N903i」開発者インタビュー(後編):デザインも機能も“正常進化”――開発陣に聞く「N903i」 (1/2)

N903iのデザインや機能は、基本的に前モデルのN902iSを踏襲しながら細部を進化させている。前モデルでは見送られたポイントを改善することで「手に持って違いの分かる」端末に仕上げたという。

[平賀洋一,ITmedia]

 N903iの開発陣インタビュー前編(11月10日の記事参照)では、同機種最大の特徴であるVGA+(480×690ピクセル)の高解像度ディスプレイについて話を聞いた。後編では、N902iSから踏襲した端末デザインや、動画撮影時の手ブレ補正も可能になった「ウルトラデジタル手ブレ補正機能カメラ」、日本語入力などについて、引き続き岡本氏と、NEC モバイルターミナル事業本部 モバイルターミナル事業部 クリエイティブスタジオ 主任の島村孝博氏、商品企画部の佐藤崇氏に聞いた。

photo N903i開発陣。右から島村孝博氏、岡本克彦氏、佐藤崇氏。

デザインはN902iSからの正常進化

photo NEC モバイルターミナル事業本部 モバイルターミナル事業部 クリエイティブスタジオ 主任 島村孝博氏

 N903iのボディデザインは、一見するとN902iSから大きく変わったようには見えない。これについて同端末のデザインを担当した島村氏は「N903iはいわばN902iSからの“正常進化”。デザインにしても、搭載する機能にしても、N902iSではできなかったことを実現している」と話す。

 N900iで人気を博した“アークライン”デザインは、端末を開いたときにダイヤル側ボディと液晶側ボディが、孤を描くような形になるのが特徴だ。その後、アークラインはN901iCにも引き継がれ、N902iSの“進化したアークライン”こと「Link Face Design」へと受け継がれた。N903iでは、このN端末の伝統ともいえるデザインの系譜を受け継ぎ、真のLink Face Designを実現したという。

 「N902iSでは、カメラ部が四角く出ていたり、ダイヤルキー側ボディに段差があったりと、端末を開いたときの弧を描ききれていなかった。N903iではカメラをボディラインに収めることができたので、通話時の綺麗なラインを実現できている。開いていても閉じていても、スッキリとしたラインにすることでユーザーを引き立てるのが、真のLink Face Designなんです」(島村氏)

 この、Link Face Design本来の姿を作り上げるために、好評だったアシストキーの位置も変更した。これまではサブディスプレイ付近に位置していたが、N903iでは同じ液晶側ボディの側面に移っている。

 「もともとアシストキーの位置は、暫定的ともいえる場所でした。閉じたときでも便利な位置で、デザインに影響しない場所。これまでは収まりが良いのでサブディスプレイ付近にしていたのですが、N903iではサブディスプレイ周りをフラットに仕上げることにしたので、アシストキーを配置するとかえって違和感が出てしまう。そこで、ディスプレイ側ボディの側面に移しました。持ったときに指がかかる所ですから、これまでよりも押しやすい場所です」(島村氏)

 また、端末の横幅も49ミリと、N902iSの51ミリから2ミリ狭まった。「手で実感できるコンパクトさは、厚みや重さよりも実は幅で一番分かります。50ミリを下回ると手に持ったときに確実に違いが分かる。わずか2ミリですが、持ちやすさを実感できるはずです」(島村氏)

 さらに、N902iSより端末の先端部の丸みを強くしている。「開いている場合はもちろん、閉じている状態でも携帯は先端部から持ちます。ここが角張っていると、手のひらに当たって違和感を覚えてしまう。無意識のうちに持つのを控えてしまうことがあるんですね。だから、この部分はできるだけ優しく当たるように、より丸みを付けました」(岡本氏)

 このデザインの影響で、充電端子が本体側面へと移った。代わりに平型イヤフォン端子が底面に位置している。「充電端子も平型イヤフォン端子も大きさを変えることができない部品です。そして、どこか側面にレイアウトするしかない存在。充電端子が底面で幅を取ると、なかなか丸みを出すことができない。そこで、より幅が狭い平型イヤフォン端子の方を底面におきしました。端子の位置が従来機の逆になってますが、使い勝手にはあまり影響しないはずです」(岡本氏)

見られることも意識した

photo

 N903iがここまで、ボディラインのスムーズさやフラットさに気を配り、持ちやすさを重視するのは、携帯電話は持って歩くコミュニケーションツールという原則に乗っ取っているからだ。ここでも“ユーザーを主人公にしたコミュニケーションツールを提供する”というNECの考えが行き渡っている。

 あくまでユーザーが主体。この考えはデザインの造形だけでなくカラーバリエーションにも影響している。今回用意されたN903iのカラーバリエーションは、ジェットブラック、スパークルホワイト、バーミリオンオレンジ、サーフブルーの4色。それぞれのカラーはどのような経緯で採用されたのだろうか。

 「4色展開ですが、本当はカラーバリエーションだと思っていないんです。ただの色違いではなく別の端末だと思えるくらいに、まったく違う印象を持たせました。ジェットブラックはピアノブラックをイメージしたボディに、ハーフミラー仕上げの背面というフォーマルな印象ですね。スパークルホワイトは全体をモノトーンにした、一番シンプルなカラー。バーミリオンオレンジは外側をアクティブなオレンジにして、内側はガジェットっぽいグレーにしました。サーフブルーはさわやかな海のイメージですが、あくまで控えめな青に統一しています。化粧用品のボトルのような清潔さも感じられると思います」(島村氏)

 「各色ともしっかりしたテーマを持たせてますから、閉じているときや開いた時、そして持ったときにまったく違う印象になると思います。年齢や性別を問わず、好みのカラーを選んでいただけると思います」(岡本氏)

photo 端末を開いた外側は、下から上にかけて色合いが微妙に変化している

 そんなN903iのデザインについて、発表後に編集部に寄せられた質問をいくつかぶつけてみた。まずは、なぜジェットブラックだけハーフミラー仕上げの背面パネルになっているのか。「全面ブラックだとちょっと面白みが足りないんです。電池カバーは光沢のあるブラック、ボディは半つやくらいのメタリックなブラックで分けていますが、背面が単調だったので変化をつけました」(島村氏)

 また、背面のスピーカー近くにあるアクセントについて、「アシストキーが2つになっているように見える」「どんな機能が割り振られているのか」という声が届いていることを紹介してみた。

 「実は、ごくごく初期の企画段階では、アシストキーとは別に何か機能を載せようかという案もありました。ただ、機構を組み込むスペースの問題と、やたらボタンを配置するのも決して親切ではないので、アクセントとして飾りにしています」(島村氏)

 「N903iの外側はよく見ると、電池カバーとヒンジ部、液晶の背面と3ピースに分かれています。そして、端末を開いて通話スタイルにしたときにユーザーの姿を引き立てるように、それぞれ少しずつ色合いを変えています。さり気ない部分ですが、見られることも意識したデザインにしています」(岡本氏)

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