絵文字・デコメ必須――PCとは別世界のケータイEC:ワイヤレスジャパン2007

» 2007年07月19日 21時21分 公開
[岡田有花,ITmedia]

 携帯電話向けECサイトの市場が拡大している。2003年に541億円だった市場規模は、06年には2583億円と5倍に成長し(モバイル・コンテンツ・フォーラム調べ)、参入企業も増えている。

 携帯ECのユーザー層はPC向けとは全く違うといい、PCと同じ手法は通用しない。携帯電話独特の文化に合わせる――例えばデコメール(HTMLメール)を使いこなすことや、サイトから敬語を削って絵文字を散りばめることも、売り上げ向上に必須という。

 ワイヤレスジャパン2007(東京ビッグサイト、7月20日まで)で7月19日、日本通信販売協会理事の柿尾正之氏と、ゆめみの深田浩嗣氏が、携帯ECの現状について説明した。

画像 携帯通販で売れているジャンル

 携帯ECの購買層は、20代の女性が中心。最も売れているジャンルは洋服やアクセサリーなどファッション関連だ。「ファッションはPCの通販が弱かった分野でエアポケットがあった。雑誌やカタログで情報収集する中でECを知り、購入している女性も多いようだ。ゼイヴェルなど、ファッションショーといったリアルのイベントと連動させることで成功している企業もある」(柿尾氏)

 深田氏は「PC向けECと携帯ECのユーザー層はほとんど重ならない」と言う。PCに慣れたユーザーは携帯ネットをあまり使わず、携帯ユーザーは、「起動が遅くてボタンも多いから面倒」などとPCを使いたがらない。ゆめみの調査によると、25歳以下だと「初めて触ったネット端末が携帯」ということが多く「PCは不要」と考える人も多い。

 総務省の調査を見ても、PCからだけネットを利用する人(1585万人)よりも、携帯だけでネットを利用する人(1921万人)が多い。「同業者と話していると、今後ネットは携帯からの利用が当たり前になり、PCユーザーが特殊になるのでは、という意見もよく出る」(深田氏)

PCは「納得買い」、携帯は「きっかけ買い」

 PCと携帯では、購入のプロセスやタイミングも異なるという。「PCは『納得買い』のメディア、携帯は『きっかけ買い』のメディアと言った人がいる。PCユーザーは欲しい商品を時間をかけて検索・比較検討し、購入を決めるが、携帯ユーザーは受動的。メールマガジンをタイミングよく配信し、きっかけを与えてやると、短時間で意志決定して購入する」(深田氏)

画像 アクセスの3割がメルマガ配信1時間後までに、7割が1日以内にある

 携帯ECの販促の主力はメールマガジンで、メルマガ配信直後に多くのユーザーがサイトにアクセスするという。検索から商品を探す人が多いPCとは対照的だ。「メルマガ配信直後は急激に負荷が高まるので、サイトが落ちないよう対策をしておかないと2度と利用してくれなくなる」(深田氏)。

 「買わせる」メルマガにするには、内容にも工夫がいる。「デコメール(HTMLメール)を使って画像を挿入したり、文字に色を付けたり、点滅させたりすると、テキストメールよりも2〜8倍クリック率が上がり、購買意欲が高まる。絵文字も効果が高い」(深田氏)

 文面は「気持ちに訴えかけた方がいい」(深田氏)。敬語や丁寧語は多用せず、対面で話しているかのように書いた方が購入率が高まるという。

 メルマガをクリックしてたどり着く商品ページは、1画面が下まで長く続いても構わない。携帯1画面分の14倍の長さがあるECサイトもあるが、「これぐらいなら下まで見てもらえる」という。

画像 デコメールを使ったメルマガ例

 会員登録や購入までのプロセスも、できるだけ簡単なほうがいい。「PCでは当たり前なことも、携帯ではハードルになる。住所を郵便番号から自動入力させずに全部手入力にしたり、空メール送信でメールアドレスを取得せずに手入力させたり、登録時に性別や年収などさまざまな情報を入力させたり、ログイン時にいちいちIDやパスワードを入れさせたりすると、せっかくの見込み客を取りこぼす可能性がある」(深田氏)

 ちなみにキャリア別では、auユーザーが最もECに積極的。次がNTTドコモユーザーで、ソフトバンクユーザーはあまり携帯ECを利用しないという。

SEOよりも媒体広告で集客

 集客方法も独特だ。以前は、公式サイト化することが集客の第一歩とされていたが、深田氏は「公式サイトは認定されるまでの労力が大きいため費用対効果が低い。集客目的だけならおすすめできない」と話す。

 PCで一般的になっているSEO(検索エンジン最適化)や、アフィリエイト広告は「今後は伸びてくるだろうが、まだ普及しきっておらず効果は薄い」(深田氏)。最も効果があるのは、携帯ネット媒体への広告出稿。懸賞などをからめた広告を使ってメールアドレスを集めるのが主流という。

 今後は、テレビや雑誌、リアル店舗などを絡めたクロスメディア展開が重要になってきそうだという。「入り口はテレビでも雑誌でもPCでも店舗でもいい。何をきっかけに携帯ECに引っ張り込むかを考える必要があるだろう」(深田氏)

 テレビで検索ワードを紹介して検索させる、といったPCと同様な手法に加え、雑誌で特集した内容をPCサイトで紹介し、携帯サイトで実際の行動をサポートする、といったビジョンを描くメディア企業もある。店舗やイベント会場などにFeliCaのリーダー/ライターを置き、顧客の携帯をかざしてもらって商品情報を配信する、といった可能性もある。

 「ネットの時代ではあるが、雑誌や新聞などとどう組み合わせるかも重要だ。例えば健康食品の通販は、高齢者がリーチしやすい新聞広告が最もよく売れる。世代によって相乗効果が高まる媒体が異なるため、組み合わせを考えていくべきだろう」(柿尾氏)

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