“孫の声が聞き取りやすい”その秘密とは――簡単ケータイ「A5528K」が目指したもの開発陣に聞く「簡単ケータイ A5528K」(2/2 ページ)

» 2007年08月31日 19時30分 公開
[房野麻子(聞き手:平賀洋一),ITmedia]
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公共機関でも使われている「Frutiger」フォント

photo 「通話」「切」「電話帳」「発歴」「着歴」など、なるべくアイコンを使わず文字で表現。着信時、サブディスプレイでも「電話です」「メールを受信しました」など文字で知らせる。発話・終話キーは色分けされている。「文字に色をつけただけだと、コントラスト差が小さくてわかりにくいんです。キー自体に色を付けることで、一目見てわかるようになっています」(光永氏)。発話キーは、電話の着信時には光って知らせる

 フォントサイズを大きくしたダイヤルキーは、刻印する文字も工夫されている。最近、公共機関などでよく使われている「Frutiger」(フルティガー)フォントを採用した。

 「Frutigerは、東京メトロのホームや改札、JR東日本のホームなどで使われているフォントです。ダイヤルキーの数字とアルファベットには、一目見て認識できるフォントとして定評のあるものを、こだわって取り入れました」(光永氏)

 Frutigerは、日本だけでなく世界中で交通標識や案内板などに使われる実績のあるフォントだ。シンプルかつ明快な、自然に目に入ってくる書体で、幅広い年代で違和感なく見ることができるという。

 また着信LEDはわかりやすい場所に配置し、発光部を大きくしている。着信音は簡単ケータイ用に作られており、デフォルトの着信音は防犯ブザーと同じくらいの、特に大きな音量に設定できる。

photo かなり大きめの着信LED

“聞きやすさ”のための工夫――「音声読み上げ」と「はっきり通話」

 A5528Kには、ユーザーの声に応える形で「音声読み上げ」機能を新たに搭載した。もともと「A5515K」に搭載していた“声サポート”機能を進化させたものだが、A5528Kでは読み上げる項目を大幅に増やしている。

 「声サポートを使っていたユーザーの方から“読み上げ機能を搭載してほしい”という声が弊社のお客様相談室にかなりありました。特に目の不自由な方には切実な問題ですので、今回はより幅広いユーザーの方々に使っていただけるように、読み上げる項目を増やしています」(長島氏)

 A5515Kの声サポートは、時刻やメールの内容を読み上げる程度のアシスタント的なものだったが、A5528Kではそれに加え、目の不自由な人でもメールや電話の発信、EZwebが利用できることを目指した。

 例えば文字入力時では、ボタンを押すごとに「あ、い、う……」と読み上げるので入力した文字を音声で判断できる。漢字変換の際には、予測変換と通常変換候補も読み上げる。例えば「あい」と入力すると、「愛」「藍」「会い」などさまざまな変換候補が出てくるが、その場合は漢字の意味の違いを含めて読み上げてくれる。さらにカメラ撮影時は、「真ん中のOKボタンを押してください」というように、各機能の操作ガイドも読み上げるようになった。

 この音声読み上げ機能は自動設定時であれば、操作するごとに常に読み上げてくれる。また手動設定にすると、本体側面の[読上げ]キーを押したときだけ読み上げる。読み上げスピードや声質は、好みや聞き取りやすさに合わせて変更や調整が可能だ。

photophotophoto 声サポートは、声の性別や速度を設定できる

 もう1つの“音”の工夫が「はっきり通話」。人間は一般的に、加齢により聴力が低下して高音域が聞き取りにくくなる。はっきり通話は、この高音域を特に補正して聞き取りやすくする機能だ。

 「A5528Kのはっきり通話は、特定の音域を聞き取りやすく補正する機能です。一般的に年齢70歳の方ですと、低音域はそうでもないんですが、高音はボリュームが大きくないと聞き取りにくくなるといいます。例えば、幼児は性別を問わず声が高いので、電話では幼いお孫さんの声が聞き取り難かったりする。そこで、低音はそのままに高音域のボリュームを上げています。これが、声を聞き取りやすくするというポイントです」(長島氏)

 A5528Kは、ただ文字を大きくしただけ、通話中の音を大きくできるだけのユニバーサルデザイン端末ではない。本体に盛り込まれたさまざまな工夫には、なぜ使いやすくなるのか、なぜ便利になるのかという、ユーザーと端末の関係を根本から追求した結果が生かされている。

 もうすぐ敬老の日。両親や祖父母にプレゼントする携帯電話として、使いやすさが磨き上げられたA5528Kを選択肢に入れてみてはどうだろう。

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