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» 2007年12月21日 13時46分 UPDATE

「携帯端末向けマルチメディア放送サービス等の在り方に関する懇談会」第6回会合:携帯キャリアと有識者が考える“携帯向けマルチメディア放送サービスの在り方” (1/2)

総務省は12月20日、「携帯端末向けマルチメディア放送サービス等の在り方に関する懇談会」の第6回会合を開催し、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクモバイルと、ビジネス分野の有識者から意見を聞いた。

[石川温,ITmedia]
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 総務省は12月20日、「携帯端末向けマルチメディア放送サービス等の在り方に関する懇談会」の第6回会合を開催した。

 この懇談会は、2011年に停波となる地上波アナログテレビ放送の空き周波数帯の具体的な活用方法やその際のビジネスモデル、社会的役割、それをふまえた制度的、技術的課題を検討していく役割を担っている。今回の会合では、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクモバイルが携帯電話事業者の立場からの見解を表明したほか、ビジネス分野の有識者からも意見が発表された。

方式は1つが望ましい、複数なら資本関係のあるグループを優先──NTTドコモ

 NTTドコモは、構成員のヒヤリング事項に回答する形でプレゼンテーションを行った。

 まず、配信サービスの現状として報告したのが動画コンテンツの成長ぶりだ。インターネットの「ニコニコ動画」はドワンゴがiアプリを開発し、ストリーミング配信したことで、人気が出ている。しかし、それは一般サイトであり、ドコモでは「こういったサービスはほかにも多数ある。ドコモはすべてを把握しているわけではない」とする。

 現在のパケット通信のトラフィックを分析すると、映像や音楽など、データ量が多いものが増えているという。「動画のダウンロード型でだいたい半分。ストリーミングを含めると50%以上が動画、音楽のデータで占められている」(ドコモ)

 

 こうした現状をふまえた上で、ドコモが放送に期待しているのが「大多数のユーザーが同時期に集中してアクセスするコンテンツを配信する」ことだ。輻輳を避ける上で、通信網ではなく放送網でサービスを提供したいと語る。

 「野球場などでは、目の前で試合を見ながら、手元のワンセグで情報を確認したいというニーズがあり、その相談をNTTドコモが受けることがある。現状、通信網でそれらを提供するのはトラフィックの関係で難しい。こういったサービスこそ、放送網で提供すべき」(ドコモ)

 技術方式を1つに絞るべきか複数にするべきかという議論については、ドコモは「1方式のほうが将来性が高まる」という見解だ。複数方式に対応するのは事業的にハードルが高く、もし仮に複数方式になるなら、「1つを採用するか、もしくはどちらも採用しないかを、ユーザーの動向を見て判断していく。なるべくなら1つの方式が望ましい」。

 もし、複数方式になった場合何を採用するか、という質問には「有益であれば資本関係のないところもあり得るが、資本関係のあるところが先に来るのはしかたのないところ。ユーザーの欲するのであれば、広くオープンなかたちで取り組んでいく」と話す(ちなみに現在、NTTドコモでは、TSDB-Tマルチメディアフォーラムの幹事社であるマルチメディア放送企画LLC合同会社に出資をしている)。

 ただし、「技術方式は、キャリアにとってもユーザーにとってもツールに過ぎない。ユーザーが積極的に見たいコンテンツを配信できる技術であれば、どの方式でもいい」と付け加えた。

 「複数方式に対応するとコストが上がる」というドコモの発言に対し、構成員からは「ワンチップ化すれば、コスト的には問題ないという意見もあるが、どうなのか」という質問が飛んだ。それに対し、NTTドコモは「ワンチップ化は、市場規模が大きくなってから成立する話。市場が立ち上がれば、複数の方式には対応できるが、そこまで成長するまではワンチップ化は難しいと思う」と答えた。

 なお今回のドコモの発言はいずれも“携帯電話事業者”としての立場であり、ドコモが放送事業とさらに近づける立場になれるのであれば、また違った意見になる可能性があるという。

通信と放送は、すでにユーザーの中で融合している──KDDI

 KDDIからは、これまでの放送メディアへの取り組みが報告された。

 KDDIは「世間ではFMCが話題だが、KDDIではそれにB(Broadcast)を加えて、放送との連携も行っている」と説明。FMラジオや、ワンセグ、デジタルラジオを搭載してきた歴史を語った。

 FMラジオケータイの普及台数はすでに1800万台を突破。ラジオを聞いているときに、今流れている曲名が携帯で調べられるだけでなく、着うたフル、着うた、CD名なども検索でき、検索結果からはそのまま着うたフルやCDが買える。こうした連携もあって、着うた、着うたフルの音楽配信市場は4年で年間500億円の市場規模となり、今では、CDシングルの生産金額を上回るほどになってきているという。

 また、ユーザーのワンセグへの期待度は高く、auだけでも600万台を出荷した実績を披露。デジタルラジオはマルチメディア放送の先駆けであり、現在、KDDIではMediaFLOの実証実験に取り組んでいることも付け加えた。

 これまでの経験をふまえ、KDDIが実感していることは「通信と放送は、すでにユーザーの中で融合している」という点だ。

 「金曜の夜8時に音楽番組が放送されると、EZwebのサーバがパンク寸前になることがある。放送によって、視聴者の消費行動が促されている。今後、サービス側で放送と通信が融合すると、さらに可能性が拡がると思う」(KDDI)

 技術方式に関しては、「効率的に帯域を利用できる方式が重要。技術方式は複数の中から選択できるのが望ましい」とした。方式の決定スケジュールは「サービス開始の2年前には決めたい」という。

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