インタビュー
» 2008年02月14日 11時40分 UPDATE

Mobile World Congress 2008:「XPERIA X1」投入の狙いは――Sony Ericssonに聞く携帯戦略

Mobile World Congressの開幕直前にSony Ericssonが発表した携帯電話の新ブランド「XPERIA」。最初のモデルにWindows Mobileを採用したのは、同社が掲げる“幅広いユーザー層にリーチする”という戦略の一環といえるだろう。世界シェアトップ3入りに向けた2008年の取り組みについて、マーケティング部門の担当者に聞いた。

[末岡洋子,ITmedia]
Photo Sony Ericsson グローバル・プロダクトマーケティング担当シニアマネージャのジェームス・マーシャル氏

 英Sony Ericssonは「Mobile World Congress 2008」の前日、新たなサブブランドを発表し、その第1号機となる「XPERIA X1」を披露した。XPERIA X1のOSにWindows Mobileを採用して業界を驚かせたが、世界シェアトップ3入りに向けた製品ラインアップ拡大の一環と見れば、合点がいく施策だ。2008年、Sony Ericssonは、さらなるシェア拡大に向けてどんな戦略で攻めるのか。グローバル・プロダクトマーケティング担当シニアマネージャ、ジェームス・マーシャル(James Marshall)氏に聞いた。

ITmedia 2008年の携帯電話戦略について教えてください。

マーシャル氏 2008年は市場シェアの拡大とボリュームの成長を目標としており、ここでカギを握るのがユーザーインタフェースや操作性です。これは、他社端末との差別化につながる要素です。

 Sony Ericssonは、カメラ端末について競合他社のように画素数では競争していません。UIや操作性をどのように最適化し、いかにユーザーにとって価値ある体験を提供するかを考えているのです。音楽では、「Walkman」ブランドの端末が成功を収め、2005年8月に最初の端末を投入して以来、4500万台を出荷しました。

 カメラ(イメージング)と音楽だけではなく、より幅広いユーザーに訴求するための取り組みも平行して進めています。これまでSony Ericssonは若者や先進ユーザー層に受け入れられてきましたが、今後はさらにユーザー層の拡大を目指します。それにあたり、これまでとは違うユーザーもターゲットととし、ブランドを維持しながら価格帯を下げたラインの展開を行ってきました。

 これをさらに進めるのが、先日発表したサブブランド「XPERIA」です。Sony Ericssonが生んだ初のサブブランドで、Walkman、Cyber-shotのように親会社のブランドではありません。

 XPERIAは、Sony Ericssonのプレミアムブランドという位置づけです。これはコンバージェンス分野の端末であり、モバイルとWebが融合したコミュニケーションを提供するもので、マルチメディアとエンタテインメントの要素を組み合わせた製品ラインになります。

 Webだけではなく、高品質な画面でDVD並みの映画を鑑賞でき、写真や動画のアップロードやダウンロードも可能です。このように、さまざまな要素を1つのブランドに詰め込んだもので、2月10日には、XPERIAブランド初の製品として、「X1」も発表しました。

sa_x01.jpgPhoto 新たなサブブランド「XPERIA」の最初のモデルとして登場した「X1」

ITmedia X1では、Windows Mobileを採用しました。Sony Ericssonのプラットフォーム戦略について教えてください。

マーシャル氏 プラットフォームの選択で最も重要視しているのは、技術そのものではなく、どのようなエクスペリエンスを提供するかです。

 X1ではWindows Mobileを採用しましたが、ユーザーインタフェースはWindows Mobileのそれではなく、Sony Ericssonが開発したものです。私たちはWindows Mobileの上に、社内で開発した独自のUIをのせました。XPERIAはブランドであって、Windows Mobileラインではありません。第1号機ではたまたまWindows Mobileを採用しましたが、次の端末でもWindows Mobileを採用するかどうかは分かりません。

 会期中に発表したGシリーズ(「G700」「G900」)はマス市場に向けたパーソナルオーガナイザで、通常の電話機能を備え、タッチパネルディスプレイと通常のダイヤルキーを搭載しています。ここではSymbian/UIQが最適だったのです。

 “端末に最適な操作性や機能を提供できるプラットフォームを採用する”ことが、私たちの戦略です。“Sony Ericsson端末ならではの使い勝手や操作性”こそが重要だと思っています。

ITmedia Appleの「iPhone」が登場して以来、UIに注目が集まっています。この分野でのSony Ericssonの強みはどこになるのでしょう? 

マーシャル氏 ユーザーが端末を通して感じる心地よさはUIだけではなく、素材などすべての要素が含まれます。箱を開ける瞬間からはじまります。重要なのは、ターゲットユーザーに適切な機能のバランスをとることといえるでしょう。

 XPERIAには「XPERIAパネル」があります。タッチパネル操作だけでなく、QWERTYキーボードやオプティカルナビゲーションもあり、ユニークなルック&フィールを提供します。また、G700/G900では、タッチパネル操作をマス市場に提供します。

ITmedia サービス戦略について教えてください。

マーシャル氏 ユーザーにさまざまな体験を提供する意味で、サービス戦略も非常に重要です。私たちが提供するコンテンツアクセスサービスの「PlayNow arena」では、携帯電話やノートPCから着メロや音楽、ゲーム、メディアにアクセスできます。“ここにアクセスすればいろいろなものを入手できる”という意味を込めて、“arena”と名づけました。

 音楽では今年1月にレコードレーベル10社との提携を発表し、500万曲を提供する予定で、ゲームは400種類以上を提供します。また、手軽に楽曲情報を入手できる「TrackID」との連携サービスも用意しています。カフェで聞いた音楽を5秒間録音し、これをサーバに送るとSMSで楽曲情報が送信されます。これだけでも十分にユニークな機能ですが、arenaではその後、この楽曲を入手できるのです。arenaはプレミアムコンテンツのほかに、無料コンテンツも用意しており、TrackIDはWalkman携帯電話をはじめ、多くの機種に搭載されています。これは、“発見”から“体験”までをカバーした包括的なアプローチといえます。

ITmedia 製品ラインアップ戦略について教えてください

マーシャル氏 顧客との協業と世界で通用する製品ラインアップを持つことの2つにフォーカスしています。新たにCEOに就任した小宮山英樹氏は、会社の目標を「2011年の世界シェアトップ3入り」としています。これを達成するためには、バランスのとれた製品ラインアップが必要になります。端末ラインアップを拡大し、ユーザーを驚かせるようなハイエンド端末から購入しやすい価格の端末までをバランスよく揃えることを目指しています。

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