「薄いからこれくらいで許して」──。それはもう口にしないことにした。
パナソニック モバイルコミュニケーションズ製の「P706iμ」は、2008年春モデル「P705iμ」(2008年1月発売)の厚さ9.8ミリを実現する極薄ボディへワンセグも盛り込んだリニューアルモデルとして登場する。
前モデルのP705iμは、ワイドQVGAの3インチディスプレイやFOMAハイスピード(HSDPA)、おサイフケータイ、WORLD WING(3G 国際ローミング)、フルブラウザ、ミュージックプレーヤー(着うたフル、SD-Audio、WMA+うたホーダイ)、200万画素AFカメラなど、最近の携帯に望まれる機能とともに、ソリッドな金属感と高級感を味わえる厚さ9.8ミリの極薄ステンレスボディが特徴だった。P706iμはこれら特徴と極薄ボディをそのままにワンセグも新たに搭載し、リニューアルした。
このサイズのまま、どうやってワンセグも搭載したのか。そして前モデルのP705iμと何が違うのか。パナソニック モバイルコミュニケーションズのP706iμ開発チームに聞いた。
「P705iμは“違いの分かる”ビジネスユーザーに好評でした。この3Gケータイ世界最薄の9.8ミリボディになんとかワンセグも入れられないか──。これが開発のスタートでした」(プロジェクトマネージャーの大北氏 以下、大北氏)
ドコモ向けのパナソニック モバイル製2007年冬モデル、2008年春モデルは、高機能の「P905i」「P905iTV」、スリムワンセグの「P705i」、極薄ビジネスユーザー向けの「P705iμ」「PROSOLID μ」と幅広く展開した。中でも高級感のある極薄のステンレスボディを採用したP705iμは特に男性ビジネスユーザーに評価された。
「“あのサイズにワンセグもほしい”という声は当時からありました。極薄ボディの中にそもそもワンセグ機能を入れること自体は非常にハードルが高いのですが、P706iμはワンセグアンテナも内蔵したのがポイントです。このサイズでも“P”端末として満足のいく性能を満たしつつ、デザイン性も損ねません」(大北氏)
ビジネスユーザーは「ワンセグを自分のためのエンタテインメント機能だけでなく、情報収集ツールあるいは商談ツールとして活用することもある」(大北氏)ようだ。また、必須とは感じていないが“他人の携帯にはあるのに……”という、このターゲット層ならではの心理状況も反映するかもしれない。ワンセグが当たり前の機能になった今、ワンセグがないだけで購入候補から外れてしまうことも多いという。
P706iμは、P705iμのサブディスプレイの代わりにワンセグを載せた。
開発にあたり、
という議論を経て、サブディスプレイがあった位置にワンセグモジュールを載せることにした。
「結果として、サブディスプレイとトレードオフにしました。もちろんサブディスプレイを重視するユーザーさんもいるとは思いますし、サブディスプレイを残したままワンセグを搭載することももちろん可能です。ただ、そうすると少し厚くせざるを得ず、商品訴求力がぶれると判断しました」(大北氏)
サブディスプレイの代わりに不在着信の点灯通知時間をわずかに変更。従来モデルの30分から3時間点灯するようにした。
「背面パネルをフラットに造形してデザインを洗練するとともに、LEDの通知方法を変更し、サブディスプレイがなくても不便のないよう工夫しました。そもそも“P”端末はワンプッシュオープンがあるので、メインディスプレイで時刻をチェックをしやすい特徴もあります」(電気設計担当の萱森学氏 以下、萱森氏)
「点灯時間を3時間に伸ばしたことで、不在着信に気がつかないことも少なくなると思います。この点灯通知時間に関しては従来機でも改善要望が多く届いていましたが、サブディスプレイがないP706iμには特に必要な機能ということで変更することにしました」(大北氏)
「長時間の点滅はバッテリーライフに影響を与えることになりますが、今回は点灯パターンを工夫して解決しました。待受時間にほとんど影響がないようになっています」(萱森氏)
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