水平分業か垂直統合か――「T-Mobile G1」と「iPhone 3G」の分水嶺ITmediaスタッフが選ぶ、2008年の“注目ケータイ”(ライターmemn0ck編)

» 2008年12月24日 21時40分 公開
[memn0ck,ITmedia]

 今年は三菱電機やノキアが国内の携帯事業から撤退したことから分かるように、“特殊”な日本のケータイマーケットについていけないメーカーが顕在化した年だった。一方で、Appleが世界共通規格の「iPhone 3G」を投入するという流れも出てきており、ケータイというデバイスが迎えた大きな転換期といえるだろう。

来年には日本でも?――Androidケータイ「T-Mobile G1」

 最初に今年の注目端末として挙げたいのが、Androidを搭載したHTC製「T-Mobile G1」だ。AndroidはGoogleが主導する「OHA(Open Handset Alliance)」が開発を進めている、オープンなケータイ向けプラットフォームだ。

photophoto T-Mobile G1は本体上部を横にスイングして開くとQWERTYキーボードが現れる。ほかにも、開発者向けにほぼ同等のスペックを持つ「Android Dev Phone 1」が発売されている

 T-Mobile G1は米国で10月に発売された製品。日本でもAndroidを搭載した第1号端末として話題を呼んでいる。Androidを搭載した端末は国内ではまだ発売されていないが、2009年夏には各キャリアから発売されるのでは――と噂されている。それらを占う上で、T-Mobile G1の完成度が注目されているのだ。

 実際にT-Mobile G1に触ってみると確かにまだバグが多く、機能として足りない部分もあるのだが、非常に期待が持てる仕上がりとなっている。筆者がAndroidに期待しているのは、iPhoneと比べるとプラットフォームがオープンであり、それによって、多くのメーカーが端末を開発できる点だ。つまり、さまざまな形状のハードウェアを搭載した機種が発売されるのでは、と期待が高まる。これは、すべてにおいてAppleがコントロールしているiPhoneとは違う魅力だといえよう。

もう少し新鮮味が欲しかった――「iPhone 3G」「WILLCOM 03」

photo iPhone 3GとWILLCOM 03。2008年はiPhone 3Gのおかげでタッチパネルオペレーションが注目された年でもあるが、むやみにタッチオペレーションに対応すして、ユーザビリティがきっちり作り込れていない機種が多いのは残念だ

 次に挙げるのは、ソフトバンクモバイルから7月に発売され、熱狂的に受け入れられたAppleの「iPhone 3G」だ。iPhone自体はGSM圏で2007年に発売されていたが、2008年に3G(W-CDMA)版となって国内で販売された。

 個人的には、マルチメディアビューワとしては優れているとは思うものの、操作がタッチオペレーションのみでは日本のケータイとして“どうかな”と感じている。また、Webブラウザやアルバムなどの快適な操作性についても、すでに「iPod touch」が実現しており、デバイスとしての新鮮味はあまり感じなかった。

 とはいえ、携帯電話としてどこでも使えるインターネットアプライアンス(孫社長の言葉を借りれば「インターネットマシン」)としては非常によくできている。一部には“期待はずれの発売台数”という指摘もあるが、筆者個人の周りではかなり普及している。

 もう1つ、新鮮味という点で少し評価を下げてしまったのが、ウィルコムのシャープ製スマートフォン「WILLCOM 03(WS020SH)」だ。というのも、前機種の「Advanced/W-ZERO3[es](WS011SH)」の完成度が高かったためか、少し違う方向に進化してしまったようで、自分の好みから遠ざかってしまったという印象だ。ただし、Bluetoothやワンセグの搭載、小型化を実現したのは正当な進化として素直に評価したい。

“Bluetoothモデム”として活躍してくれた――「H11T」

 2007年はイー・モバイルがデータ通信サービスに参入し、外でPCを使うときには「D01NX」が欠かせなくなった。2008年3月には音声サービスも始まり、東芝製の音声端末「H11T」を購入したのだが、通話にはほとんど使っていない。もっぱら、Bluetooth経由によるデータ通信用モデムとして利用している。ただ、Bluetooth 2.0 + EDRに対応していないため専用のデータ通信用端末に比べると通信速度が劣るが、ノートPCや各種デバイスとH11Tをワイヤレス接続し、外出先からインターネット接続できるのは大きな魅力だ。

photo Bluetoothモデムとして活躍したイー・モバイル向けの東芝製「H11T」。PCはもちろん、ウィルコムの「Advanced/W-ZERO3[es]」のようにBluetoothに対応した端末からモデムとして利用することもできる

もっと増えてほしい「防水ケータイ」――「F-01A」をようやく購入

photo 富士通製のハイスペック防水ケータイ「F-01A」。防水なら“G'zOne”をという意見もありそうだが、メイン端末として使っているF-01Aを挙げさせてもらった

 ほかにもQWERTYキーボード好きとしては、音声端末にQWERTYキーボードを搭載した「インターネットマシン 922SH」も挙げたいところだが、それ以上に注目したのが防水ケータイだ。

 防水性能を備えた携帯電話はかなり前からあり、防水だけを問うなら今さらだが、実際に常用してみると非常に便利。今回購入したドコモの富士通製端末「F-01A」は、細かい部分の不満がないわけでもないが、総合的に気に入っている。

 防水機能は女性を中心にニーズが高いそうで、2008年には、NTTドコモから「F-01A」「F-02A」「F706i」「F705i」、auから「W65K」「G'zOne W62CA」「W62SA」「W61CA」、ソフトバンクから「TROPICAL 823P」「THE PREMIUM WATERPROOF 824SH」「822T」、ウィルコムから「WX330J」と合計12機種登場した。

 これらの多くは“女性がお風呂で利用する”といったシーンを想定しているせいか、デザイン重視のミドルレンジモデルが多く、防水のハイエンドモデルといえるのはG'zOne W62CAとF-01Aくらい。特にドコモのF-01Aは、ようやく登場した待望のハイスペックな防水モデルだ。

 そういうわけで、2008年に発売された注目のケータイを挙げさせてもらったが、2009年もどんな機種が発売されるか楽しみだ。

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