インタビュー
» 2011年07月30日 15時00分 UPDATE

開発陣に聞く「GALAXY S II」:“GALAXY”ブランドでエコシステム構築を 気になる新型タブレットは?――Samsung電子のAndroid戦略に迫る (1/2)

「GALAXY S II」でAndroidスマートフォンのブランディングを再スタートさせるというSamsung電子。そのポイントはエコシステムの構築にあるという。また、iPad 2対抗となるGALAXY Tabの8.9/10.1インチモデルの日本投入はあるのだろうか。

[平賀洋一,ITmedia]

 “GALAXY”以前、国内のSamsung電子製端末は主にソフトバンクモバイル向けに供給されていた。その内訳は「OMNIA」ブランドのタッチパネル対応フィーチャーフォンに代表されるハイエンドなモデルと、プリペイドケータイなどに使われるエントリークラスというもの。NTTドコモからは、Windows Mobileを採用したQWERTYキー搭載スマートフォン「SC-01B」も、一部のユーザーに受け入れられたのみだった。

 ・→開発陣に聞く「GALAXY S II」:スマートフォンはデュアルコアでもっと速くなる――Samsung電子のAndroid戦略に迫る

photo GALAXY S II SC-02C

 世界市場ではNokiaとしのぎを削る巨人Samsung電子も、日本市場の攻略には時間がかかり、大成功といえるのは「GALAXY S SC-02B」の発売を待つことになる。続く「GALAXY S II SC-02C」の成功で、国内のAndroidスマートフォン市場でも確固たる地位を築いたSamsung電子だが、同社専務で無線事業部 東南アジア輸出グループ長を務めるチョウ・ホンシク氏は「ドコモによるところが大きい」と振り返る。

 「日本の市場はオペレーター(キャリア)市場。GALAXY Sの成功はドコモのおかげであり、Samsung電子だけではこうならなかった。スマートフォンの分野はOSの話題が先行するため、キャリアとメーカーの関係は少し変わったかもしれないが、それは本当に少しだけ。今後もドコモとの良い関係を続けていきたい」(チョウ氏)

photo GALAXY S IIの発売イベンドに駆けつけた、ドコモスマートフォンのイメージキャラクター「ダース・ベイダー卿」

 GALAXY Sが登場した2010年の秋冬モデルと、GALAXY S IIが登場した2011年の夏モデルでは、同じドコモでもスマートフォンのラインアップが倍増している。同じキャリア内にライバルが増えたわけだが、これからはSamsungらしさ、GALAXYらしさをどのように打ち出すのだろうか。

 「ブランディングという意味では、GALAXY S IIで新しいスタートを切る。すべてはこれから。GALAXY SのおかげでSamsungは、“ハイエンドなグローバルモデルのメーカー”というイメージになったと思うが、今後は分からない」(チョウ氏)

 開発スピードが速く差別化が難しいAndroidスマートフォンは、スペック面で先行しても他社がキャッチアップするのは時間の問題。チョウ氏は「ドコモやユーザーとの良好な関係を続けるには、もっと努力が必要」と話す。

開発スピードが速いAndroid ローカライズに課題も

photo 日本向けローカライズの一例であるワンセグ機能

 GALAXY S/GALAXY S IIの人気を決定付けたのは、ハイエンドモデルならではの高い性能だけでなく、日本市場に合わせたきめ細かいローカライズが施されたからでもある。しかしAndroidの進化に対応するには、細かなローカライズにも限界があるという。

 「例えばおサイフケータイ。開発して実装することは可能だが、搭載モデルを出すころにはNFCが普及しているかもしれない。技術的に可能なことと、ビジネスやマーケティング的に可能なことは別。Androidでは、ローカライズを進めすぎてグローバルで取り残されるかも――という要素がたくさんある」(チョウ氏)

 ローカライズについては、機能をリリースするタイミングだけでなく、サポートの継続という問題もある。Android OSがバージョンアップすることでローカライズした機能に影響を与える可能性もあり、それはコストに跳ね返るおそれがある。チョウ氏は「簡単にできて効果が高いローカライズはすぐにやるが、どこかで線引きをしなくてはならない。単独の市場だけではなくグローバルな動向をみていかないといけないのが、ローカライズの難しいところ」と苦労を忍ばせる。

 日本市場がほかと違う点についてチョウ氏は、「ローコストなスマートフォンが存在しない唯一の市場では」と指摘する。Samsung電子のGALAXYシリーズにはエントリーモデルやミドルレンジモデルもラインアップしているため、ドコモにはひと通り見せているが、いまのところはハイエンドなGALAXY S/GALAXY S IIが選ばれている。

 「我々は中国やそれ以外のアジア諸国でもエントリーモデルを投入しており、ローコスト市場でも戦えると考えている。しかし、どんなカテゴリーの端末を販売するかはキャリアが決めることであり、我々が決めることではない。現時点で日本向けにはハイエンドだけを供給しているが、別カテゴリーの要望が(キャリアから)あれば、すぐに対応できる」(チョウ氏)

photophoto GALAXYシリーズのスマートフォン。ミドルレンジクラスの「GALAXY ACE」(左)とSNSに特化したデザインモデルの「GALAXY Gio」

photophoto GALAXY Sをよりコンパクトにした「GALAXY U」。GALAXY Sから3Gの通信通話機能を省いた「GALAXY Player」

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