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» 2014年12月04日 12時55分 UPDATE

山根康宏の中国携帯最新事情:Apple SIMにも影響あり? 中国で始まったMVNO (1/2)

中国移動、中国聯通、中国電信が独占していた中国国内携帯電話サービスがMVNO事業者に門戸を解放した。中国携帯電話市場は新たな盛り上がりを見せるだろうか。

[山根康宏,ITmedia]

2014年からMVNO試験免許の交付を開始

 中国では2014年からMVNOサービスが続々と始まっている。中国工信部は2013年5月17日に「移動通信転售業務試点方案」を発表したが、その中で、まずは試験サービスという名目で2015年末までサービスを開始し、その後、正式な免許を交付するとした。

 試験サービスの免許は2013年12月26日に11社、2014年1月29日に8社、8月25日に6社と、2014年夏までに25社が交付を受けている。各MVNOは、それぞれ3大MNOと契約を結び、「170」から始まるMVNO専用の電話番号を利用者に提供する。早い事業者は2014年の春先からサービスを開始している。

kn_yamane11_01.jpg MVNOは「170」で始まる新しい電話番号を付与する

 これまで長らく、中国移動と中国電信、そして、中国聯通が独占してきた中国の携帯電話市場では、3社の競争により通信料金は徐々に引き下げられてきた。だが、2013年12月から4Gサービスが始まると、各社は実質的な値上げを行い従来からの2Gや3Gサービスより基本料金は割高となっている。そのような状況の中、回線品質は大手MVNOと変わらず料金が安いMVNOに中国国内ユーザーの興味が集まり始めている。

 MVNOの「阿里通信」が2014年5月12日にサービスの予約受付を開始したときは、用意した17万の新規回線がわずか2日ですべて予約済みとなった。特に北京、上海、杭州では一夜にして全番号が予約で埋まったという。同社は大手Eコマースのアリババグループ傘下という安心感があり、また料金が明確で安いことから人気を集めたと考えられる。

 免許を受けた顔ぶれは、EC大手や流通業者、そして、ゲームなどのインターネットサービス企業がほとんどだ。各社はスマートフォンの販売やコンテンツサービスの提供を行っており、それと合わせて携帯電話回線も提供しようと考えている。従来であれば大手MNO3社の回線しか小売できなかった各社だが、MVNOに参入すれば自社に優位な料金と組み合わせてユーザーを取り込むことが可能になる。

 例えば、B2C最大手の京東商城(JD.com)が手掛けるMVNO「京東通信」は、基本料金を月額10元(約190円)と低価格に抑えるだけではなく、同社の利用機会が高いユーザーに対しては、2元(約40円)のショッピングごとに無料通話1分と無料データ1Mバイトを提供するキャンペーンを2014年いっぱいで行っている。獲得できる無料利用分は最大500分と500Mバイトで、中国の一般的な利用者であれば2〜3カ月の利用分に相当するだろう。日本ではECサイトのMVNOが利用料金に応じてショッピングに利用できるポイントを付与しているが、中国ではそれとは逆のキャンペーンを行っているわけだ。

kn_yamane11_02.jpgkn_yamane11_03.jpg 2日で17万回線の予約を集めたアリババグループの阿里通信(写真=左)と、ショッピングすると通話とデータ通信の無料利用分がもらえる京東通信(写真=右)

 オンラインゲームを手掛ける蝸牛移動(Snail Mobile)は、ゲーム向けAndroidスマートフォンに自社SIMを無料で添付して販売しているほか、オンラインゲームのポイントと通話量を組み合わせた割引プランも提供している。3G内蔵のゲームデバイスを買ったその瞬間から、外出中もいつでもどこでもゲームを楽しめるわけだ。

 過去を振り返れば、ソニーのPS Vitaは、各国の事業者のSIMを入れたモデルも販売していた。蝸牛移動の端末販売方法はいわばソニーがMVNOとなりゲーム機に自社SIMを入れて販売しているようなものだ。ちなみに、蝸牛移動は、サービス開始時にSIMの端子部分を24金にした「純金SIM」を販売して話題になっている。

kn_yamane11_04.jpgkn_yamane11_05.jpg 蝸牛移動は、ゲーム向けスマートフォンにSIMを無料でセットして販売する(写真=左)。世界初の24金SIMは9999元(約19万円)で限定販売した(写真=右)

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