インタビュー
» 2015年10月31日 20時00分 公開

らしさをぎゅっと凝縮:ヨドバシカメラ“悲願”の名古屋出店 計画を早めた幾つかの理由 (2/2)

[平賀洋一,ITmedia]
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 大阪・梅田や東京・秋葉原のヨドバシカメラに比べると、売場面積、アイテム数とも約3分の1以下という名古屋店。しかし大型量販店として、また専門店として期待される品ぞろえと規模は整っている印象だ。

 ネットで注文した商品を希望した店舗で受け取れる「ネットで注文・店舗で受取りサービス」にも対応(一部商品が非対応)し、無料かつ会員登録など不要で使える「ヨドバシ フリーWi-Fi」も使え、店内での写真撮影や撮った写真をSNSで共有できる点も他の店舗と同じだ。

ヨドバシカメラマルチメディア名古屋松坂屋店 店内では無料のWi-Fiが提供されている
ヨドバシカメラマルチメディア名古屋松坂屋店ヨドバシカメラマルチメディア名古屋松坂屋店 Wi-FiとLTEでそれぞれ5回ほど測定してみた。Wi-Fiの下り速度は最大で228Mbps、平均で159.8Mbps。一方のLTEは下り最大36.5Mbps、平均は24.80Mbpsだった

悲願の名古屋出店 中部・東海地区を重視した理由

 ヨドバシカメラの藤沢昭和社長は開店を前に、「ちょっと小さめだが、品ぞろえも厳選し、楽しくお買い物をしてもらえるような店作りができたと思う。地域の方々によろこんでもらえるような接客・応対を心掛け、ヨドバシカメラが得意とする豊富な商品知識とポイント制度を通じて、ショッピングを楽しんでいただきたい」とあいさつ。さらに、「名古屋地域への出店は悲願。中部地方、名古屋地区はヨドバシ・ドット・コムの利用者が多いこともあり出店を急いでいた」と名古屋進出の重要性を説明した。

ヨドバシカメラマルチメディア名古屋松坂屋店 左から御代川店長、藤沢社長

 同店の御代川忍店長は「限りあるフロアに商品をぎゅっと凝縮し、品数をできるだけ落とさないようにした。きちんと見てほしいスペースは広く・大きく取っている。またヨドバシカメラはネット販売にも力を入れており、約400万アイテムを取り扱う『ヨドバシ・ドットコム』も活用してほしい」と、ネットの利用もアピールする。

 同社の通販サイト「ヨドバシ・ドットコム」では、名古屋市内での注文当日配送サービス(送料無料)に2012年5月から対応。その対象エリアは6月に愛知県全域へ、また8月には三重県と岐阜県の全域に拡大した。名古屋松坂屋店ではネット注文した商品の店頭受け取りも可能で(一部は非対応)、リアル店舗の進出に合わせてネット購入の利便性もさらに向上した。

 老舗百貨店への開店について藤沢社長は、「松坂屋さんの客層はレベルが高いと実感している。品ぞろえについては百貨店だから(変える)ということはなく、われわれが使う商品を通じて新しい客層を捉えられれば、松坂屋さんにも貢献できるだろう」と意気込む。

 百貨店への出店は、京急百貨店(横浜市)に入居するマルチメディア京急上大岡に続く2店目。フロアが限られるものの、普段は家電量販店に足を運ばない客層の来店が見込め、また百貨店にとっても家電・デジタル機器目当ての新しい客層を呼ぶ効果があるという。

 栄地区には過去にもいつかの大型家電量販店が進出したが、いずれも撤退している。藤沢社長は「過去の話から、栄地域への出店には感じいるものがある。また“名古屋のアキバ”と呼ばれる大須エリアも近い。だが、地域がどうという話とは別に、ヨドバシカメラとしてお客さんに支持されるようなお店作りをして結果につなげたい」と述べ、立地の影響をあまり受けない店作りを目指す考えのようだ。

 ヨドバシカメラは当初、JR名古屋駅前に建築中の「JRゲートタワー」(2017年開業予定)に出店する計画だった。しかし工事の遅れが続き、開業時期が見通せなくなったことから、「これ以上お客さんを待たせることもできないため、ご縁があった松坂屋さんにお世話になることになった。こちらには11月中ごろ開店できればと思っていたが、『10月中に』という要望もあり、なんとかお店作りを間に合わせた」(藤沢社長)という。

 東京・大阪に続く大都市圏である名古屋には、2店目以降の出店も期待されている。藤沢社長は今後の計画について「検討していないわけではないが、現時点で具体的にお話できるものはない」とする一方、10月10日に仮設置した中部エリア向け物流センター(小牧市)を、「今後1年ほどをめどに本格的な施設にしたい」という計画を明かし、東海・中部地区でのサービス拡充に力を入れる方針を示した。

お客さんの反応は?

ヨドバシカメラマルチメディア名古屋松坂屋店 オープン当日は開店時間を約20分早め、200人を超える行列客に対応

 開店当日は特価商品を目当てにした200人以上が行列を作り、10時の開店を20分早めるという盛況ぶりだった。6階のスマホコーナーにいた男性は、「SIMロックフリーのスマホが実際に触れると聞きやってきた。FREETELの『雅(MIYABI)』が気になっているが、名古屋のほかの量販店には実物がなく試せなかった。ここくらい実機が充実していると、しっかり検討できる」と語っていた。

 実はヨドバシカメラのオープンは直前まで知らず、FREETELのサポートに実機を試せる店舗がないか問い合わせたところ、名古屋店の開店を知らされたという。FREETELについては、「日本のメーカーに元気がないが、自らスマホを作っている姿勢を応援したい」とエールを送っていた。

ヨドバシカメラマルチメディア名古屋松坂屋店ヨドバシカメラマルチメディア名古屋松坂屋店 開店直後は特価商品の争奪戦が繰り広げられた
ヨドバシカメラマルチメディア名古屋松坂屋店ヨドバシカメラマルチメディア名古屋松坂屋店 御代川店長も奔走(写真=左)。藤沢社長もレイアウトの調整など、売り場で陣頭指揮を執った

 また4階のテレビコーナーにいたカップルはLGエレクトロニクスの有機ELテレビ「LG OLED TV」の曲面ディスプレイに驚いていた様子で、「この近さで大きさを実感すると、曲がっているほうが見やすいのも分かる気がします」と話していた。

 店内に流れるヨドバシカメラのテーマソングも「初めて聞くけど、面白いですね」と新鮮だったようだ。写真には収められなかったが、名古屋市内ではヨドバシカメラのラッピング広告を施した路線バスも注目を集めていた。

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