中Huaweiは2015年12月25日、2015年のスマートフォン出荷台数が1億台を突破したことを発表した。スマホの出荷1億台を記録したのは韓Samsung、米Appleに次ぐ3社目で、全世界シェアも2社に続く第3位(約9.7%)。
年間1億台とは、1秒に3台のペースでスマホが販売された計算だ。同社が独自ブランドのスマホを発売したのは2010年で、その際の出荷台数は300万台。この5年で33倍以上の急成長を遂げた。
その勢いは2016年に入ってもとどまらず、1月6日(現地時間)に米ラスベガスで開幕した「CES 2016」ではフラッグシップモデル「Huawei Mate 8」をグローバル向けに発表。Android Wear搭載のスマートウォッチ「Huawei Watch」には新モデルの「Jewel/Elegant」を追加し、さらに10型タブレットの「Huawei MediaPad M2 10.1」、そしてGoogleブランドの「Nexus 6P」のゴールドモデルも紹介された。
急速に規模を拡大し、そして世界のスマホ市場で日に日に存在感を増しているHuawei。躍進できた秘密とその原動力とは何か。中国・深センのHuawei本社で、グローバルのPRディレクターを務めるエイダ・シュウ氏、同じくグローバル プロダクト・マーケティング バイスプレジデントのクライメント・ウォン氏に話を聞いた。
Huaweiには現在3つのビジネスグループがある。創業から続くのが、通信事業者向けのネットワーク事業(キャリアビジネスグループ)で、2011年に法人向けICTソリューション事業(エンタープライズグループ)、そしてコンシューマー向け端末事業(コンシューマーグループ)が枝別れした。
われわれ一般ユーザーが目にする同社のスマートフォンやタブレット、モバイルWi-Fiルーターや通信機能付きのデジタルフォトフレームは、全てコンシューマーグループの担当だ。最近はウェアラブル製品やホームデバイス製品などIoT分野にも進出しているが、シュウ氏は「最も重視しているのがスマートフォン。Huaweiのスマホはグローバルで広く受け入れられており、Androidでナンバーワンを目指している」と強調した。
同社が販売した1億台のうち「30%がミッドハイで、これが重要だ」(シュウ氏)という。新興国向けの低価格モデルが7割を占めるが、上位モデルへの買い替え、そして先進国でのシェア拡大が中位機種や上位機種の比率を押し上げている。
その傾向が最も顕著なのがお膝元の中国市場だ。フラッグシップの「Mate 7」は700万台以上を出荷、中間モデルの「P7」と「P8」も好調で、「国内の推移は基本的に上昇傾向。ミッドからハイエンドモデルが受け入れられている」(シュウ氏)。これはライバルの販売数が下がってきている影響もあり、Appleはモデルによってシェアが上下、Samsungはじりじりと下がってきている。
海外に目を向けると、スペイン、ベルギー、イタリア、ポルトガルなどの欧州市場で400〜500ユーロのクラスが強さを発揮。同価格帯では、スペインで約45%、それ以外の国でも10%以上のシェアを獲得している。
目下力を入れているのが、米国市場だ。2014年の「Mate 2」投入を皮切りに、直販サイトを2014年4月に開設してオープン市場でのブランド開拓を進めている。Huawei WatchをAmazonで先行販売するなど、ECの活用も進めている。
日本市場ではSIMロックフリー市場への製品投入がひときわ目立つ。直販サイト「V MALL」に加え、格安スマホを手掛けるMVNOを通じてエントリーからフラッグシップまでを幅広く展開し、SIMロックフリー市場でシェア1位を獲得した。また大手キャリア向けには、キャリアブランドのタブレットやモバイルWi-Fiルーターを数多く供給している。
ただ米国と日本には共通の課題があり、ウォン氏は「共通しているのはキャリア主導の市場であること。こうした市場でミッドハイモデルが浸透するには長年の活動が必要だ。結果が出るまでもう少し時間がかかるだろう」と分析。それだけに、米国のGoogleブランドであるNexus 6Pでシェアを取りたいと意気込んだ。
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