「食事中のスマホいじり」を解決するには“コショウをひく?”

» 2016年10月17日 06時00分 公開
[橋本沙織ITmedia]

 家族団らんの食卓で、子どもがスマホに気を取られて会話がない。大人も、家族と時間を過ごしているときに仕事のメールが気になってしまい、ついスマホを触ってしまう……。よくないと分かっていてもやってしまいがちだ。

 そんな現代ならどこにでもある家族の日常に会話を取り戻そうと、近年いくつかの企業が「スマホいじり」を強制的に禁止するアイデアを、ユニークな形で製品にしている。斬新な発想は、ネット好きの人たちからも好評だ。

家中のWi-Fiをジャックする「こしょうひき」

 欧州の食品会社DOLMIOは、食事中の家族のスマホいじりにイライラを募らせていた母親たちに、ある「こしょうひき」を渡すキャンペーンを2015年と2016年の二回に分けて実施した。

家中のWi-Fiをジャックする「Pepper Hacker」 家中のWi-Fiをジャックする「Pepper Hacker」

 こしょうひきの名前は「Pepper Hacker」。母親がこしょうをひくためにそれを回すと、家中のインターネットが使えなくなるというもの。

 Pepper Hackerを回すとそれ自体が「dinnertime」というWi-Fiアクセスポイントを30分間有効にし、元のアクセスポイントに接続していた全てのデバイスの接続先が、「dinnertime」に切り替わる、という仕組みだ。

 そしてネットワークに接続しようとすると、「家族との食事中につきインターネットは使用不可」というメッセージが表示され、ネットが使えない状態に。バッテリーは充電式で、フル充電で6回使うことができる。

 Pepper Hackerが使われたときの実際の様子が、隠しカメラの映像に収められている。突然スマホやタブレットが使えなくなった子どもたちは「故障?」と原因を探ったり落胆(らくたん)したり、中には発狂したりする子どももいた。

 しかし、隠しカメラの映像には続きがある。落胆や怒りの様子を見せていた子どもたちも、いざ食事が始まると談笑し、食事を楽しむ家族の姿がそこにはあった。その食卓には、スマホやタブレットは置かれていなかった。

2015年に実施したキャンペーンの動画

 紹介動画群の総再生回数は8000万回を超え、世界中から商品化を望む声が寄せられた。このことを踏まえ、DOLMIOは8月24日から9月27日までオーストラリア限定で、Pepper Hackerが当たる懸賞キャンペーンを実施した。

 「食事の時間を大切にし、家族で食卓を囲もう」という同社のメッセージは、多くの人に届いたようだ。ちなみに、Pepper Hackerは普通のこしょうひきとしても使うことができる。

動画が取得できませんでした
こちらは2016年に実施したキャンペーンの動画。スマホに集中するあまり、子どもたちは家族が「他人」に入れ替わっても気付かない……

食事中、スマホを収納しておける「テーブルクロス」

 アイルランド在住のデザイナー、Paula O'Connor氏は食事中のスマホいじりを禁止する「テーブルクロス」を製作した。

「Zip It Tablecloth」 「Zip It Tablecloth」

 テーブルクロス「Zip It Tablecloth」にはチャックを閉められるポケットが付いており、そこにスマホを収納できるようになっている。スマホの登場によって一変してしまった食卓の風景を嘆く作り手の願いが込められている。

食事、睡眠、休憩中…… スケジュールに合わせて管理

「ZeroPC DinnerTime Plus」 「ZeroPC DinnerTime Plus」

 シリコンバレー発のアプリ「ZeroPC DinnerTime Plus」も、子どものスマホいじりに頭を悩ませる親にとって便利なアプリだ。親子のスマホにそれぞれアプリをダウンロードし、2つを接続させると、親のスマホから子どものスマホをコントロールできるようになる。

 「食事中」「睡眠中」「休憩中」と3つのモードがあり、子どもの生活スタイルや望む生活習慣に合わせて設定すれば、後はその時々に合わせて1タップでモードを選び、インターネット接続のオン・オフを切り替えることができる。

 子ども向けアプリのほうはAndroid端末でのみ利用可能で、親向けのアプリに限りiOS版もリリースされている。1.99USドル(約205円)の有料版では、その日のインターネットの閲覧時間の計測や、管理できる台数を4台に増やす(無料版では2台)機能が追加される。

「Kidslox」 「Kidslox」

 「Kidslox」も、子どものスマホやタブレットのインターネット利用を制限できるアプリ。子どものスケジュールを登録しておけば、それに合わせてデバイスをロックしたり、アプリのダウンロードに制限をかけたりすることができる。親向けと子ども向けとで、使用する画面を簡単に切り替えられる直感的なインタフェースも魅力の1つだ。

端末ごとのネット利用状況をまとめたレポート機能も

左のテーブルに乗っているのが「Circle」 左のテーブルに乗っているのが「Circle」

 「Circle」は一辺が約8cmのキューブ状デバイス。家のWi-Fiアクセスポイントに接続し、専用アプリを各端末にインストールする。すると、インターネットの閲覧内容・閲覧時間に制限をかけることや、端末ごとの利用状況をまとめたレポートを見ることが可能になる。スマホやタブレットに限らず、ゲーム機などWi-Fiに接続している端末なら何でもコントロールできるのが利点だ。

 Circleの制限レベルを「KIDS」にすると、出会い系サイトやアダルトサイト、SNSなどへのアクセスを自動的にブロックしてくれる。インストールできるアプリも制限できる。フィルターのレベルは、「PRE-K(未就学児)」「KIDS」「TEEN」「ADULT」があり、それぞれワンタップで切り替え可能。価格は99USドル(約1万円)だ。

 こうしたデバイスやアプリに頼らないとスマホを触ってしまう……というのは現代人の悲しい性のようにも思うが、デジタルデバイスの使い方を見直すきっかけとしては、いずれも優れものである。

ライター

執筆:橋本沙織

編集:岡徳之


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