インタビュー
» 2016年12月22日 15時33分 UPDATE

学校と保護者の“不”を解決する――連絡サービス「うさぎノート」の狙いを聞く (1/2)

学校から保護者への連絡サービス「うさぎノート」。プリントを作る先生の負担を減らし、保護者に直接お知らせが届く便利なサービスとして広がりを見せている。一方通行のシンプルなサービだが、先生と保護者、家族のコミュニケーションを活性化させるきっかけにもなっている。

[房野麻子,ITmedia]

 一般企業ではペーパーレス化やスマートデバイスの導入により、紙の資料の配布はずいぶんと減ってきた。しかし、学校ではさまざまな連絡を、従来通り紙の書類で配布しているところがまだ多い。そうした書類の作成が先生たちの大きな負担になっているとも聞く。

 リクルートマーケティングパートナーズが提供している「うさぎノート」は、先生から保護者への連絡を、スマホやPC、さらにはフィーチャーフォンへも届けられるサービスだ。基本的に先生から保護者へ送る一方通行のサービスで、最近のサービスとしては珍しく、フィーチャーフォンにも対応している点が大きな特徴だ。

 うさぎノートはどんな経緯で生まれ、なぜ受け入れられているのか。開発の背景やユーザーの反応について、リクルートマーケティングパートナーズ まなび事業本部の平田淳氏に話をうかがった。

うさぎノート リクルートマーケティングパートナーズの平田淳氏
※初出時に、タイトルと本文に「学校と保護者の“負”」と記載していましたが、本来の意味とは異なるとの指摘がリクルート側からあったため、“負”から“不”に変更しました(12/27 17:52)。「弊社は社会や顧客の 不満や不便、不安など“不”に真摯(しんし)に向き合い、潜在化している“不”をいちはやく見つけ、それに対するサービスを提供することで社会課題解決を行っており、今回のうさぎノートも先生や保護者の不便・不満を解決するツール、サービスであるため」(リクルート)とのこと。

先生から保護者へワンウェイのシンプルなサービス

 うさぎノートは、先生から保護者へさまざまな連絡を伝える、一方通行のシンプルなサービスだ。休校などを伝える連絡網として使える「お知らせ機能」、運動会などのイベントを画像付きで投稿でき、学級通信的な役割を担う「近況報告機能」、年間行事を共有する「カレンダー」などの機能が利用でき、現在、幼稚園から小・中学校、高校、専門学校、塾、おけいこ教室など、約360の教育機関に導入されている。

うさぎノート

 使える機能が限定され、広告が表示される無料プランと、全ての機能を使えて広告もない有料プランがある。「お知らせ機能」「近況報告機能」「カレンダー」の3機能は無料で利用可能。保護者へ個別に連絡できる「個別メッセージ送信機能」と「出欠連絡」を利用するには有料プランの契約が必要になる予定。料金は生徒1人あたり年間1500円程度となる予定だが、学校の運営方法によって予算の立て方はさまざま。なお、1アカウント(生徒)に複数の保護者を登録することができる。

うさぎノート うさぎノートで利用できる機能

 導入する学校によって、使う機能はリクルート側で調整されている。例えば、投稿前に管理者の承認を必要とする「承認機能」は、学校によって要不要が分かれるので、不要な場合は表示させない。うさぎノートはカスタマーサポートを用意しており、こうした調整はサービス導入前にカスタマーサポートの担当者が学校にヒアリングし、必要な機能をそろえた状態で導入する。

 一方、保護者は学校から紙で配布された登録用のIDでサービスに登録する。保護者のメールアドレスを集めて登録するのは膨大な手間がかかるので、ここはアナログだ。しかし、書類ではアプリのダウンロード方法から登録方法、フィーチャーフォン向けのURLまで、一から分かりやすく説明されている。サービスはITリテラシーの低い人でも直感的に使えることを第一に「FacebookやTwitterと同じくらいの使いやすさを目指して」開発しているが、分からない場合はカスタマーサポートに電話やメールで質問できるようになっている。

 うさぎノートの大きな特徴は、やりとりが先生から保護者への一方通行であることだ。これは保護者からたくさん連絡が来て、先生の負担にならないよう配慮した設計。ただ、個別メッセージに関しては、返信が必要なシーンも想定されるので、先生がメッセージを送る際、返信の要不要を設定できる。保護者は返信可能な期間であれば、自分から先生に連絡できる。

保護者と先生両方の“不”を解決したい

 うさぎノートはリクルートの新規事業開発プログラム「Recruit Ventures」で生まれた。サービス自体は、学校の連絡がいまだ紙で届くことを疑問に思った保護者側の視点、プリント作成の負担を軽くしたいという先生側の視点を踏まえ、両者の“不”を解消するために作られた。

 「保護者には、学校との連絡を電子化してほしいという要望があります。先生は、プリントを作って、印刷して、渡すのに結構な時間がかかっています。今は学級通信もSNSで済みそうな時代なのに、紙を切り貼りして印刷しているだろうと思われるものもあります。ITを活用することで、先生と保護者が持っている“不”を解決したいと思いました」(平田氏)

 2014年4月に起案して、夏には実証実験(フィジビリ)、12月には事業化とスムーズに進んだ。当初、保護者視点で起案、開発されたが、事業として広める際には学校や先生視点のサービスを重視した。最終的に学校・先生側が価値を認めて導入しなけれは、保護者もサービスを利用できないからだ。

 そのため、連絡は先生から保護者への一方通行で、UIもシンプルで分かりやすく仕上げた。このワンウェイのサービス、シンプルな使い勝手は、先生側、保護者側ともに好評だという。双方向のコミュニケーション機能を望む声も特にないそうだ。

フィーチャーフォンまで対応させた理由

 学校側がうさぎノートの導入を決める要因にはいくつかある。1つは、スマホアプリで使える連絡サービスだという点だ。毎日スマホを使っている人には意外かもしれないが、学校の連絡網は主にメーリングリスト。スマホが普及する以前に作られている連絡サービスも多く、スマホで使えない場合があるという。また、今はメール自体があまり読まれなくなっている。LINEなどプッシュ通知のメッセージしか確認せず、メールアプリを起動して内容をしっかり確認しない保護者が多いのだそうだ。一方で、フィーチャーフォンを使っている保護者もいる。

 そのため、うさぎノートは、スマホアプリ(iOS/Android)、WindowsとMacのWebブラウザに加え、ケータイブラウザでも利用できる。これも大きな特徴だ。ただ、利用されているのは、ほとんどがスマホ。フィーチャーフォンで利用しているのは全体の数パーセントだという。なお、投稿はPC、スマホからのみ可能だ。

 一方で、フィーチャーフォンのサポートを止めたサービスが多いため、困っていた学校がうさぎノートを知って乗り換えることもあるという。開発に手間はかかるが、フィーチャーフォン対応はうさぎノートの強みになっている。

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