学校と保護者の“不”を解決する――連絡サービス「うさぎノート」の狙いを聞く(2/2 ページ)

» 2016年12月22日 15時33分 公開
[房野麻子ITmedia]
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先生と保護者の信頼感を高め、学習塾では売上アップに

うさぎノート

 先生の投稿に保護者は「いいね!」で反応することができる以外、うさぎノートで直接、先生と保護者がコミュニケーションすることはないが、「サービス導入で両者の信頼感が深まっているのを感じます」と平田氏は語る。

 「先生が投稿して、それを保護者が見ていると、三者面談や二者面談の場で投稿が会話のきっかけになって、信頼感も深まるようです」(同氏)

 親子のコミュニケーションのきっかけにもなっている。先生は学校の様子を写真付きで投稿すると、それをきっかけに、より具体的な親子の会話に発展する。学校の先生はクラスの集合写真を投稿することが多く、保護者はクラスのメンバーを知ることができる。

 高校性にもなると、保護者が学校の様子を知ることは難しくなる。子どもも知恵が付き、故意に学校からの連絡を隠してしまうこともある。うさぎノートは保護者に直接連絡が届くので、「そんな話、聞いていない」ということが避けられる。

 先生側も、書類を比較的スムーズに回収できるようになるそうだ。また、模試や講習の連絡があれば、ちゃんと受験、受講するように保護者は子どもを教育できる。子どもにとっては隠し事ができないことになるが、長い目で見れば、親子で情報を共有できる方がいい。

 塾やおけいこ教室のような、もともと連絡網がないところでも、うさぎノートは有効だ。これらの施設では、「休校の連絡にたくさん電話をかけなくてはならない。大手の教育機関でも休校の連絡をハガキで送っているところがあります。災害時はひたすら電話をします」(平田氏)という状態だ。うさぎノートのお知らせ機能で手間が大幅に軽減されるだけなく、講習や模試の案内が保護者に届くことで受講率が高まり、売上アップにもつながっている。

 「学校の過去のやり方を、うまくアプリなどに落とし込めたと自負しています」と平田氏は胸を張った。

カスタマーサポートのフィードバックを改善につなげる

 今、うさぎノートを使っている先生たちは、そのシンプルさを高く評価しているが、「あくまでシンプルさを大切にしながらも、機能を磨いて使いやすいものにしたい」(平田氏)と、開発側は機能追加も検討している。

 機能の追加や改善に役立っているのがカスタマーサポートのフィードバックだ。先生や保護者から使い方が分からないときに入る電話とメールの内容から、ユーザーのつまづく場所を確認し、意見をサービス改善に反映させているという。

 例えば、うさぎノートをリリースした当初は、個人情報の登録は最低限にしたかったので、生徒の名前を入れず番号管理にしていた。しかし、やはり生徒の名前を表示させたいという要望があり、任意で入れられるようにした。また、クラス替えにも対応させた。先生からのさまざまな意見は、どの学校にも当てはまると思われるものから順に対応している。

 現在は将来的な拡大を期待してユーザーを増やしているフェーズ。具体的な数値目標は出していないが、学校側、保護者側ともにサービスに対する評価が高く、広がっていきそうな勢いを感じた。シンプルさを失わず、ユーザーの意見をもとにサービスに磨きをかけ、うさぎのような大きなジャンプを期待したい。

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