結果として冒頭述べたように、FREETELを運営するPOMの経営は破綻。MVNO事業は楽天が、端末事業はMAYA SYSTEMがそれぞれ継承している。ただし、とりかえ〜るは、楽天側が「端末事業」と判断。「通信サービスは楽天が承継したが、とりかえ〜るは今後もPOMの管轄」(楽天 執行役員 大尾嘉宏人氏)として、端末の交換についてはPOMに残された。確かに、この時点で契約者に配布されていたFREETEL SIMの重要事項説明書を見ると、とりかえ〜るの提供主体はPOMであることが明記されている。
この時点ではPOMも端末事業を残し、事業を続ける意思があった。水面下では、広報を担当する会社が報道陣に接触しており、新端末を発表する準備を進めていることも告げられていた。その際に、とりかえ〜るがPOMに残っていれば、楽天モバイルのユーザーに新たな端末を購入してもらえる。この部分はあくまで筆者の推測だが、POMとしてもとりかえ〜るは残しておきたかったのかもしれない。ただ、ことはPOMの思惑通りには運ばず、12月4日には裁判所に民事再生法の適用を申請することとなった。
端末事業を引き継いだのは、その際にスポンサー候補として挙げられていたMAYA SYSTEMだった。ただしMAYA SYSTEMは、POMそのものを買収したわけではない。POMはPOMとして現在も残されており、あくまでMAYA SYSTEMは新たな端末を発売するのに必要なFREETELブランドと経営陣以外の人材、POM時代に発売されていた端末などを引き継いだにすぎない。
MAYA SYSTEMのECマーケティング部部長 山崎正志氏によると、「POMの債権は楽天が買い取った形になっているが、端末交換という部分でのサービスはPOMに残っている」という。つまり、とりかえ〜るは楽天とMAYA SYSTEMのどちらにも引き継がれなかったのだ。
結果として、割を食ってしまったのはとりかえ〜るのユーザーだ。割高な割賦を組んで端末を買ったユーザーは、交換先の端末がないままの状態になっている。既に旧とりかえ〜るのユーザーが端末交換のできる6カ月を過ぎている他、4月には新とりかえ〜るのユーザーも、残債が免除される1年を迎える。短期間で機種変更できるため、お得になるはずだったサービスのはずが、単なる割賦販売になってしまったのだ。
これが単なる割賦であれば、その対価となる端末が手に入っているので問題はないが、スマートコミコミやスマートコミコミプラスは、通常より高い端末と端末交換プログラムをセットにしたプログラムだったことが問題を大きくしている。ユーザーにとっては、通常より高い値段で端末を買わされたことになってしまうからだ。利用者は「数千のレベル」(同)だといい、MVNOにとっては、比較的大規模であることがうかがえる。
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