Amazonは8月29日、Amazonアカウントを利用した決済サービス「Amazon Pay」において、スマートフォンを使った実店舗決済に対応した。ユーザーが店員にコードを提示する方式を採用しており、コードの表示には既存の「Amazon ショッピング」アプリを利用する。初期段階ではNIPPON Tablet(東京都品川区)の「NIPPON Tablet」を設置している数十店舗で対応し、順次拡大する予定だ。
Amazon Payのコード決済を利用する手順は以下の通り。
セキュリティ上の観点から、コードは30秒ごとに更新される。支払いは、従来のWeb決済と同様にAmazonアカウントにひも付けたカード(Visa/Mastercard/JCB/American Express/Diners)に請求される。利用限度額は「ひも付けたカードに依存する」(説明員)。
コード決済の店頭対応は、冒頭に触れた通りNIPPON Tabletから開始する。
このタブレットには同社がMVNOとして提供するSIMカードが組み込まれており、MDM(モバイルデバイス管理)機能によってAmazon Payに対応するためのソフトウェアが自動的に配信される。
NIPPON TabletでAmazon Payを使う場合の手順は以下の通り。
Amazon Payの決済手数料は決済金額の3.5%に設定。システムの利用手数料など、その他の追加費用はかからない。
代金の支払いは、当面の間「月末締め翌月15日払い」となるが、2019年内に「最短翌日支払いサービス」も開始する予定だ。
Amazon Payの店舗決済の対応店舗普及を促すため、AmazonとNIPPON Tabletは「Amazon Pay実店舗向けサービス開始キャンペーン」を実施。12月末までにNIPPON TabletとAmazon Pay利用を同時に申し込むと、2020年末まで決済手数料を0%(無料)とする。
先述の通り、通常の手数料は決済金額の3.5%に設定されているが、このキャンペーンの終了までに率を見直す可能性もあるという。
2015年にサービスを開始したAmazon Payは昨今、決済プラットフォームとしての基盤強化に取り組んでいる。その合言葉は「コネクテッドコマース(Connected Commerce)」だ。
1つのAmazon IDで、Amazon内のサービスだけではなく、Web通販・サービスサイトの決済も可能にし、さらにはリアル店舗での決済も可能にする――これがコネクテッドコマースの目指す姿だ。
今回のリアル店舗決済への対応も、コネクテッドコマース戦略の一環だ。コード決済を使う場合、一般的に専用アプリを使う必要があるが、Amazon Payは広く普及しているAmazon ショッピングアプリに機能を組み込むことでセットアップの手間が省けることが大きなメリットだ。
ユーザー視点ではセットアップの気軽さは大きなメリットだが、現時点では使える店舗(加盟店)が非常に限られる点が課題だ。まずはNIPPON Tabletとの協業で加盟店開拓を図るが、このサービスは主に中小規模の加盟店をターゲットとしている。
今後大規模な加盟店を獲得できるかどうかが、Amazon Payのリアル店舗決済対応の成否を分けそうだ。
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