イギリス・ロンドンのモバイル通信事情(2018年10月版)ふぉーんなハナシ(2/2 ページ)

» 2018年10月24日 14時30分 公開
[井上翔ITmedia]
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イギリス(ロンドン)のモバイル通信雑感

 この5日間のロンドン出張で見聞きしたり体験したりしたことをもとに、いくつか雑感を書いてみようと思います(一部は先述のことと重複します)。

「縛り」は「最低契約期間」

 イギリスでは、携帯電話の契約を「プリペイド」か「月額課金」から選択できます。どちらもプランは「高速データ通信容量」「無料通話時間」「無料SMS送信数」をパッケージ化したものなので、ある意味で組みあわせに迷いません。

 月額プランには原則として「縛り」がありますが、一定期間の契約継続を約束してもらう「最低契約期間」方式で、自動更新はありません。その期間は通常、SIM単体契約で12カ月間、端末セット契約で24カ月間です。

 キャリアショップは月額契約の端末セット販売がメインです。この販売方法では、通信料金と端末代金を一体化して月額料金を示します。頭金(店頭での支払い金)は「高額なプランなら安い」「低額なプランなら高い」という感じです。

 キャリアによっては端末代金を一括で支払って月額料金を安く抑える選択肢や、頭金の金額と端末代金の支払い期間をある程度調整できる選択肢も用意しています(どの購入方法でも端末代金は一定です)。

 プリペイドプランにも端末セットはあります。ただし、端末を一括払いで購入しなくてはならないため、高額な最新ハイエンド端末は月額プラン限定で提供することもあります。必然的に、ラインアップは低価格帯が中心となります。

 量販店ではSIMロックフリー端末を買ってSIMカードを別途用意するという買い方もできますし、月額プランと組み合わせたセット購入もできます。

VodafoneショップのXperia XZ3 Vodafoneショップで展示されていた「Xperia XZ3」。月額プランのみの取り扱いで「月額33ポンド(約4800円)から」と書かれているが、詳細な販売金額は書かれていない(この月額料金で購入する場合は149ポンド(約2万1700円)の頭金が必要)
EEショップのMate 20 Pro EEショップで展示されていたMate 20 Pro(のモック)。こちらは月額プランでもプリペイドプランでも購入可能。月額プランでは「月額58ポンド(約8460円)から」とやはり詳細な販売金額は書かれていないが、このプランでの頭金(10ポンド:約1460円)は明記されている。一方、プリペイドプランでは端末を899.99ポンド(約13万1300円)で購入し、最低10ポンドをプリペイドチャージする必要がある

屋内は「3G」「GSM」 地下鉄はほぼ“圏外”

 今回の出張では、手持ちのNTTドコモ回線で「パケットパック海外オプション」を利用しつつ、現地のプリペイドSIMカードを3枚(EE×1枚+Vodafone×2枚)を用意して通信をまかないました。

5日プラン ドコモのパケットパック海外オプションは、滞在日数に合わせて5日プランを利用。キャンペーンといわずにパックプランは残してほしい……

 時間の都合で、今回の出張では「シティ・オブ・ロンドン(City of London)」と「シティ・オブ・ウェストミンスター(City of Westminster)」の主要な地点しか訪問できませんでしたが、その限りで分かったことを書いていきます。

 まず、屋外はおおむねLTE(4G)でつながります

 イギリスを含むヨーロッパでは、LTEの周波数帯(Band)として「Band 1(2.1GHz帯)」「Band 3(※)」をメインに据えているキャリアが多いです。これらのBandは日本でも使われているものですから、日本のLTEスマホ・LTEケータイとの親和性は高いです。

※日本では「1.7GHz帯」と呼ばれるが、海外では「1.8GHz帯」と呼ばれることが多い

 日本にいる時と比べると応答速度は遅めですが、速度はそこそこ出るので問題ありません。応答速度の遅さは、イギリスから日本のサーバにアクセスする場合に良く発生しましたが、物理的な距離もあるためある程度仕方がありません。

 一方、屋内では3G(W-CDMA)に落ちてしまうこともあります

 筆者の滞在したホテルの部屋において、EEは部屋の奥まった所でも快適にLTE通信できたのですが、VodafoneはLTEと3Gを行ったり来たりして不安定でした。電波が不安定ということは、通信速度もそれほど出なかったということです。

3G 筆者が滞在したホテルの部屋では、VodafoneのLTEが不安定……(EEは安定してLTEで通信できた)

 一番の鬼門は、ロンドンの地下鉄。トンネル内はもちろん、ホームや通路も含めてほぼ圏外なのです。さすがに地上にある改札口付近は圏内ですが、通路を進むと電波が次第に弱くなり、ホームに着くまでには圏外になってしまいます。

 話によると、ロンドンでは2012年に開催されたオリンピックに合わせて地下鉄のエリア化を検討したそうなのですが、さまざまな事情から断念したそうです。

 その代わり、多くの駅の通路やホームには、公衆Wi-Fiスポットが整備されており、EEやVodafoneを含む大手キャリアの契約者は条件を満たせば無料で利用できます。一部のキャリアでは、端末によっては「Wi-Fi Calling」(※)も使えるので、通話やSMSを逃すこともありません。

※無線LANを使って通話やSMSの送受信を行う技術。モバイル通信網を補完する用途の他、海外渡航中に自国宛ての通話・SMSをローミング料金なしで使うためにも使える

圏外 ロンドンの地下鉄は基本的に携帯電話が圏外

フリーWi-Fiは基本的に遅い(例外あり)

 ロンドン市内では、飲食店を中心にフリーWi-Fi(無線LAN)スポットが多数あります。また筆者が宿泊したホテルフリーWi-Fiサービスが備わっています。しかし、これらのWi-Fiはおおむね速度が遅かったので、あえてWi-FiをオフにしてLTEでつないでしまうことがほとんどでした。

 ただし、InLink(British Telecomのグループ企業)がイギリスの主要都市の街頭に設置している無料通信スポット兼デジタルサイネージ「InLink UK」だけは例外で、比較的高速にWi-Fi通信できます。InLink UKはUSB充電端子も備えているので、ケーブルさえあればスマホの充電もできます。ロンドン観光中にモバイル通信の容量やスマホのバッテリー残量に不安を覚えたら、探してみるのも良いかもしれません。

InLink UK ロンドン市内にも点在するInLink UK。最大1Gbps(理論値)で通信できるフリーWi-Fiサービスを利用可能で、モバイル通信の容量が足りなくなりそうな時に便利。USBケーブルを持っていればスマホの充電も無料でできる

取材協力:ファーウェイ・ジャパン

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