総務省が緊急提言 通信料と端末代の完全分離を要請 代理店の在り方にもメス(1/3 ページ)

» 2018年11月27日 20時30分 公開
[井上翔ITmedia]

 総務省の「モバイル市場の競争環境に関する研究会」と「ICTサービス安心・安全研究会」は11月26日、両研究会の第4回会合を共同で開催し、「モバイルサービス等の適正化に向けた緊急提言」の案を取りまとめた。緊急提言案は大きく「シンプルで分かりやすい携帯電話に係る料金プランの実現」と「販売代理店の業務の適正性の確保」の2本柱から構成されており、12月18日まで同案に対する意見(パブリックコメント)を募集する。

開始直前の様子 会合の開始直前の様子(構成員側から撮影)
概要 緊急提言案の概要(総務省資料より)

シンプルで分かりやすい携帯電話に係る料金プランの実現

 今回の緊急提言案の柱の1つが、「シンプルで分かりやすい携帯電話に係る料金プランの実現」だ。

 日本の携帯電話料金は、2004年から事実上自由化されている。提言案は、料金の自由化そのものは評価する一方で、「理解しづらい」「過度に拘束される」といった利用者の適切かつ自由な選択を阻害するプランが登場した“弊害”も指摘している。

 キャリアの「継続的な工夫」によっても、このような問題が相変わらず指摘されている現状を踏まえ、「利用者の利益を阻害するような料金プランを抜本的に見直す」べく、案では3つの提言を盛り込んだ。

提言1 「シンプルで分かりやすい携帯電話に係る料金プランの実現」の概要(総務省資料より)

通信料金と端末代金の完全分離

 現在の日本では、端末を購入すると通信料金が割り引かれるサービスが広く普及している。このことが、以下のような問題を引き起こしているという。

  • 同じデータ容量のプランでも、購入端末によって料金が変わる不公平特定端末を買わないと割引のない不公平がある
  • 料金プランを正確に理解した上で他の料金プランと比較することが困難となり、利用者がニーズに合った選択をできない
  • 通信契約の継続が割引の条件である場合、過度な拘束によって事業者間の競争が阻害される可能性がある

 そこで提言案では、これらの問題を解決するべく「端末の購入等を条件とする通信料金の割引等を廃止」し、通信料金と端末代金を完全に切り離すことを求めている。

 例えばNTTドコモの「docomo with」は見方によっては通信料金と端末代金を切り離していると言えなくもないが、特定の端末を購入しなければ割引を受けられないことには変わりないので、提言案の趣旨に従うと見直しは避けられない

docomo with NTTドコモの「docomo with」はある意味で分離プランだが、提言案の認識に立つと見直しは避けられない

 これとは逆パターンに相当する、一定期間の回線契約継続を条件とする端末代金の割引(ドコモの「端末購入サポート」など)についても、先述の料金分離を徹底する観点から見直しを求めている。この割引は、キャリアではなく販売代理店が「独自」に行う可能性も捨てきれない。そのため、案では代理店に対する対処も必要になる旨も指摘している。

キャッシュバック施策 端末代金の値引きについては「キャッシュバック」などの形で代理店が「独自」に行うこともできるため、対処が必要とした

 端末の下取りを条件とする買い換えサポートプログラム、とりわけau(KDDI・沖縄セルラー電話)の「アップグレードプログラムEX」やソフトバンクの「半額サポート」のような「48回の端末分割払い」と「端末下取り」を組み合わせたものについては、以下の理由から抜本的な見直しを求めている。

  • 残債免除まで通信契約も継続しないといけない(プログラムが通信契約と結び付いているため)
  • 残債免除を受けないとプログラム加入のメリットを享受できないことが、過度な利用者拘束となる恐れがある(「残債免除を受けない」選択肢が実質的に機能するか疑わしい
  • 残債免除の条件に「機種変更」があるため、機種変更後に通信サービスを解約すると「残債」「契約解除料」といったスイッチングコストが掛かる(結局通信契約を継続してしまう可能性が高い
ソフトバンクの半額サポート ソフトバンクの半額サポートは、11月29日から機種変更後のプログラム再加入は条件から外されるものの(参考記事)、指定機種への機種変更が必要であるという「問題」が残る
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