ソニーモバイルがMWC19 Barcelonaで発表したXperiaシリーズの最新モデル「Xperia 1」「Xperia 10/10 Plus」「Xperia L3」は、モバイル事業が不振の同社が取り組んだ大幅なリニューアルが大きな注目を浴びている。
今回の新モデルはどのような戦略で開発したのか。グループインタビューという形で同社商品企画部門 部門長の田嶋知一氏に話を聞いた。
―― Xperia 1の発表にあたって、前モデルまでの「Xperia XZ」シリーズをどう振り返るか。
田嶋氏 Xperia Xシリーズは、ユーザーが必要最小限のエッセンスと手頃な価格を求めると考えて始めたが、他社のテクノロジーイノベーションは止まらず、ユーザーもそちらについていった。最初にユーザーと市場を読み違えたが、チップセット(Qualcomm)やOSのパートナー(Google)とともにパフォーマンスの熟成などに3年間しっかり取り組めたことは良かったと思っている。
―― Xperia 1はとがった位置付けの商品だが、マスよりもニッチがターゲットなのか。
田嶋氏 できるだけニッチという言葉は使わないようにしているが、頂点のユーザーをがっちりつかむことを最大の目標にしている。最初から幅広いユーザーを狙うのではなく、少しずつ、本当に好きになってくれるお客さまを増やしていきたい。
他のプレーヤーの規模感は桁が違うので、同じことをやっていてはどのユーザーも取れない。ジャイアントプレーヤーと同じことは絶対にしない。
―― 4K画面採用の前モデルは「Xperia XZ2 Premium」だったが、Xperia 1の価格帯も同程度になるのか。
田嶋氏 1から生まれ変わったので過去の商品とは比べにくいが、1の番号を付けた以上、最初の一歩はいちばん良いものを出したということで、ご理解いただきたい。
―― なぜ1から生まれ変わる必要があったのか。
田嶋氏 合宿をして議論をしていると、あのメーカーは何をやったとか、やはりコンペティターは気になる。ただ、ソニーの存在意義を考えたとき、そうした危機感ではなく、エンターテインメントの感動を楽しんでいただくポジティブなブランドが来るはずだ。その視点でXperiaを見つめ直した結果、自分たちが何をやるべきか、大げさに言えば目が覚めた。
―― Xperia 1で撮影した21:9の動画は、どのような画面で見ると想定しているのか。
田嶋氏 大きなテレビにDisplayPortで出力することやPCも想定しているが、やはりモバイルでの視聴がいちばん多いのではないか。黒帯がなく、本当に没入できる。「黒帯は見たくないからXperiaを買う」となってほしい(笑)。
Xperia 1は長辺方向に15センチあり、21:9のコンテンツをあの「Xperia Z Ultra」よりも大きく表示できる。Epic Gamesも21:9に乗ってくれて、Xperia 1なら「フォートナイト」で見えない敵が見える。コンテンツクリエイターに新しい体験を感じさせるフォーマットだ。
―― Netflixと協業の背景は?
田嶋氏 オリジナルコンテンツを21:9で撮影して、そのまま配信している数がNetflixは多く、21:9のコンセプトに共感いただいた。「Netflix」のアプリを開くと自動的に「クリエイターモード」が有効になる。
―― 21:9という画面比率は普及していくのか。
田嶋氏 今回とにかくこだわったのが、「穴を開けない」「ノッチをつけない」。21:9コンテンツだとか言っておいて、ノッチや穴はしない。マーケットからの声はあって、付けたくなるが、そこをやる覚悟のある他社がいるなら、逆に21:9でコンテンツだけ汚されているようだったら違うコンセプトになってしまう。
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