ソニーモバイルコミュニケーションズの新たなフラグシップスマートフォン「Xperia 1」が発表された。従来の「XZ」からシリーズ名を一新し、4K HDRの有機ELディスプレイを採用して、アスペクト比を「シネマワイド」の21:9にするなど、「Xperiaを再定義する」という思いを込めたほどの意欲作だ。2019年夏以降、日本を含む世界各国で発売される予定。
シリーズ名が変わったとはいえ、これまでのハイエンド機と比べて何が変わったのかは気になるところ。2018年冬に発売された「Xperia XZ3」、2018年夏に発売された「Xperia XZ2 Premium」「Xperia XZ2」との違いを見ていこう。
デザインや見た目で最も多く変わったのは、先述の通り、ディスプレイのアスペクト比が21:9になったこと。Xperia XZ2とXZ3の18:9、Xperia XZ2 Premiumの16:9と比べると縦長で、他の機種より10mm前後高くなっている。ただしその分、幅は抑えられており、72mmは4機種の中ではXZ2と並んで最も細い。ちなみにXZ2 Premiumは幅80mmとかなり太っちょだった。
Xperia XZ2/XZ2 Premium/XZ3では、背面を流線型にして丸みを持たせたデザイン「アンビエントフロー」を採用していたが、Xperia 1ではよりスクエアになった。アンビエントフローは手のひらへのフィット感は良かったが、その分厚さが増し、スマートさに欠ける印象も受けた。XZ2/XZ2 Premium/XZ3の厚さは約10〜12mmだが、Xperia 1は8.2mmまで薄くなった。ガラスの1枚板のようなたたずまいは、「Xperia Z」シリーズをほうふつとさせる。
Xperia XZ3の約193g、Xperia XZ2 Premiumの約236g、Xperia XZ2の約198gからXperia 1は180gにまで軽くなったことも特筆すべき点だ。数字だけを見ると軽い部類には入らないだろうが、ディスプレイサイズ、薄さ、軽さがいいバランスでまとまっていると感じる。また、本体カラーでZシリーズ時代の伝統色でもあった「パープル」が復活したことも注目点だ。
ディスプレイサイズはXperia 1の6.5型が最も大きい。このクラスのサイズになると、スマートフォンとタブレットの中間サイズの“ファブレット”として注目を集めた、6.4型の「Xperia Z Ultra」が思い出される。ただしXperia Z Ultraはアスペクト比が16:9なので太く、幅は92.2mmでXperia 1より約20mm太い。Xperia Z Ultraはベゼルも太いので高さは179.4mmでXperia 1より約12mm長い。横の表示領域は少なくなったが、より小さなXperia 1の方がスマホとしては使いやすいだろう。
ディスプレイの解像度は1644×3840ピクセルだが、同じく4Kディスプレイを搭載するXperia XZ2 Premiumの2160×3840ピクセルよりも、短辺が516ピクセル少ない。長辺が長くなったものの、その解像度がXZ2 Premiumから据え置きなので、短辺の解像度が下がった形だ。ともあれ肉眼でその差を体感できるとは思えず、使用感に影響はないだろう。ITU-R BT.2020や10ビットカラー相当の階調表現などへの対応による画質向上の方が体感差はありそうだ。
基本スペックはフラグシップ機と呼ぶにふさわしい内容だ。プロセッサはSnapdragonの最上位モデル「Snapdragon 855」で、メインメモリは6GB、内蔵ストレージは128GB。microSDスロットも備えている。バッテリー容量はXperia XZ2 Premiumの3540mAhよりは少ないが、Xperia XZ3と同じ3330mAh。
カメラは広角+超広角+望遠のトリプル仕様に。背面にトリプルカメラを搭載するのはXperiaでは初めて。Xperia XZ2 Premiumはデュアルカメラを搭載していたが、こちらはカラーセンサーとモノクロセンサーという構成で、Xperia 1とは異なる。よって、モノクロセンサーだけを使ったモノクロ撮影はXperia 1ではできないが、「Cinema Pro」という新機能に搭載される、色相をプリセット設定する「Look」ではモノクロ風の色調を用意している。つまり後からモノクロの効果を加えることは可能。
望遠レンズを活用することで光学2倍相当のズームが可能になったこと、超広角レンズでよりワイドに撮影できるようになったことは、Xperia 1のメリットだ。一方、Xperia XZ2 Premiumでは独自の画像処理チップ「AUBE」を活用することで、暗所でのノイズを低減し、ISO感度は静止画が51200、動画が12800までカバー。Xperia 1もデュアルフォトダイオードや新たな画像処理エンジン「BIONZ for mobile」で暗所撮影の画質が向上したとソニーモバイルは説明しているが、XZ2 Premiumと画質がどれだけ違うのかは気になるところだ。
被写体の瞳を検出してピントを合わせ続ける「瞳AF」が、Xperia 1では新たに採用された。なお、インカメラの画素数は、Xperia XZ3やXperia XZ2 Premiumの約1320万画素から約800万画素に下がった。
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