―― Duraの由来は何でしょうか?
本多氏 Duraは耐久性という意味を持ちます「durability(デュラビリティー)」を略して名付けています。もともとSprintと共同で開発していました。
三輪氏 Duraはスマートフォンでも多く展開しているブランドでもありますが、ラグフィーチャーフォンで最も売れたのが2015年発売の「DuraXV(Verizon向け)」や「DuraXTP(Sprint向け)」などです。
これらの製品までは、スピーカーを配置する位置やキーのスタイルなどを試行錯誤しながら、ニーズに合わせて設計してきましたが、DuraXVやDuraXTPなどから、「Duraのケータイはこの形」というように、このデザインに落ち着きました。
その後はAndroidをベースにしたラグフィーチャーフォン「DuraXE」がAT&TやBellなどから発売されました。DuraXEは初めてLTEに対応した端末でもありました。
―― TORQUEの由来は何でしょうか?
本多氏 英語で回転に使われる力を「トルク(torque)」と言います。力強さという思いも込めてTORQUEと名付けました。初のTORQUEは北米向けの「TORQUE XT」や「SKT01」の2機種です。外部のイベントでは、いまだにSKT01をお使いのお客さまをお見かけします。バッテリー交換も要求されるぐらい長くお使いいただいています。
ディスプレイサイズも4型台と、現在と比べると本体サイズ共に小さめです。現在では4型台のディスプレイを製造するメーカーさんがいないため、サイズの大型化が進んでいます。
―― 日本市場でTORQUEを初めて出したときの反響はいかがでしたか?
三輪氏 カシオさんが喜んでいたことも覚えています。それこそ「G'zOne(ジーズワン)」ユーザーからの乗り換えも多くありました。カシオさんとは何度かタフネス端末についてお話をしたことがあり、TORQUE G01のカタログには、わざわざG-SHOCKと連携できることを記載しました。
TORQUEを世に送り出したことで、ユーザーさんだけでなく、キャリアさんからも評価いただき、VerizonやAT&Tからもタフネスシリーズが発売されました。実はこのタイミングで法人向けではなく、キャリアさんから個人向けでタフネスシリーズを展開していきたいというご要望も多くなりました。
―― 塗装はどのように考えられていたのでしょうか?
三輪氏 海外ではマットな塗装仕様が多かったです。業務用の世界では白よりも黒の方がホコリの付着が目立ちにくい。ホコリが付着したときに白だと見栄えが悪くなります。そのため、黒をベースにした塗装が多かったのです。
カラーバリエーションは日本の方が多い。赤や青、さらには緑などは、海外では求められられない傾向にあります。
―― 世代を追うごとにどんな機能に対応していきましたか?
本多氏 歴代の中には、防爆仕様の製品もありました。例えば、工場や事業場で爆発性ガスが漏れ出すと、そこに点火源があれば爆発する可能性があります。爆発を誘引しないようにする対策です。
また、画面に傷が付きにくい端末というVerizonからの要求に対し、「Brigadier」をVerizon向けに設計しました。こちらの製品は他の通信会社さんからも発売されましたが、Verizonモデルだけが唯一、ディスプレイにサファイアガラスを採用しており、その後のVerizonモデル「DuraForce PRO」「DuraForce PRO 2」にも継承されています。
―― なぜサファイアガラスが求められたのでしょうか。
三輪氏 われわれのスタンスとしては「傷は付くけれど、耐久性は損なわれない」製品作りをしてきました。しかし、海外のユーザーさんからは「画面に傷が付いた」というクレームが多くありまして、Verizonの「DuraForce PRO」は傷付きに配慮した設計を求めました。
もちろんその分だけ、端末本体の価格も高くなりますし、何より本体が重くなります。後継機種の「DuraForce PRO 2」でもサファイアガラスを採用しました。
―― 日本では画面に付く傷に対するクレームはないのでしょうか?
三輪氏 日本は海外と比べて圧倒的に少ないですね。KDDIと弊社が過去に主催したオーナーズイベントでも、TORQUEに付いた傷すら楽しんで愛着を持ってお使いいただいている方もいらっしゃいます。「スマホも経年劣化を楽しむものなのかぁ」と驚いたのを覚えています。
―― 日本の端末と海外とでは異なる進化をしてきたのですね。
三輪氏 そうですね。採用されるキャリアさんやユーザーさんもそれぞれ異なる意見もあるということですね。
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