また、フラグシップモデルはメーカーにとっての“顔”にもなる。価格が安いモデルは確かに売れやすい反面、性能は横並びになりがちで、ブランド力もつきづらい。結果として、エントリーモデルやミドルレンジモデルを投入しても、指名買いされず、単純な価格勝負に陥りやすい。メーカーとしての知名度を上げる上でも、フラグシップモデルの投入が欠かせないというわけだ。
徐々にシェアを上げてはいるものの、Xiaomiの認知度は日本だとまだまだ低い。フラグシップモデルがなく、全国的なテレビCMなどを中心としたマーケティングキャンペーンを行っていないからだ。日本上陸前から「中国のApple」などとメディアで報じられ、注目度は高かったXiaomiだが、一般層にまで名前が浸透しているとは言いがたい。一方で、同社はXiaomi 11T、11T Proの投入にタイミングを合わせ、ブランディングを強化しようとしているようだ。
冒頭で挙げたように、XiaomiはブランドフレンドとしてモデルのKōki,さんを起用し、Twitterなどの同社アカウントに写真を掲載した。Xiaomiはネットを中心としたファンの口コミを重視しており、著名人を起用した王道の宣伝にはあまり積極的ではなかったが、日本市場ではまだこの手法が手堅い。OPPOがReno Aシリーズの投入に合わせて指原莉乃さんを起用し、その名を一気に全国区に広めたことからも分かるように、新規参入のメーカーにとっては特に効果的だ。
メジャー化すれば、ボリュームの大きなキャリアの採用にもつながりやすく、好循環が生まれる。その意味で、Xiaomiは端末のローカライズと同時に、マーケティングのローカライズを進めていることがうかがえる。フラグシップモデルの投入も、こうした戦略の一環といえる。日本市場で急速にシェアを伸ばす同社の次の一手として、その成否に注目しておきたい。
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