携帯電話各社の「SIMロック解除」手続きについてまとめてみた:本当に各社横並び?
各キャリアから2015年5月以降に発売される携帯電話端末は、原則としてSIMロックの解除に対応している。そこで、各キャリアにおけるSIMロック解除手続きの方法を簡単にまとめてみた。
現在、ドコモ、KDDI(au)、ソフトバンクモバイルが発売している携帯電話・スマートフォン・タブレット(以下、まとめて「端末」)には、販売する通信事業者のSIMカードと組み合わせたときのみ通信が可能となる「SIMロック」がかけられている。
総務省は2015年1月、2015年5月以降に発売される端末について、ユーザーの要求があった場合に、原則としてSIMロックの解除に応じるよう、ガイドラインの改定を行った。
この改訂に伴い、キャリア各社はSIMロック解除方法を案内している。各社とも、一見すると同じ条件に見えるが、細かいところまで目を向けると、微妙な差異がある。
- →ドコモ、SIMロック解除の手続き方法を変更 新機種に6カ月の制限期間を設定
- →KDDI、夏モデルからSIMロック解除が可能に ただし購入から180日後
- →ソフトバンク、SIMロック解除の新ルールを案内――購入から180日後に
そこで、簡単に各社のSIMロック解除の条件をまとめてみた。
※本文中の「ソフトバンク」は、ソフトバンクモバイルのソフトバンクブランドを指します。また、価格は税別です。
解除条件・対象
解除に応じる条件は、ドコモは端末購入から6カ月後、auとソフトバンクは端末購入から180日経過後となっている。
なお、ドコモとソフトバンクで2015年5月以前に発売したロック解除対応端末は引き続き、購入当日からSIMロック解除に応じる。
解除対象端末は、各社ともに「原則として全端末」となっている。ただし、iPhone/iPadについては対応が分かれており、ドコモは今後発表されるモデルでSIMロック解除に応じることを明記している一方、auとソフトバンクは「現時点ではノーコメント」(いずれも広報担当者)としている。
ドコモ | au | ソフトバンク | |
---|---|---|---|
フィーチャーフォン(ケータイ) | ○ | × | × |
スマートフォン・タブレット(Android) | ○ | ※1 | ※2 |
iPhone/iPad | × | × | × |
データ通信専用端末(ルーター・モデム) | ○ | × | × |
ドコモ | au | ソフトバンク | |
---|---|---|---|
フィーチャーフォン(ケータイ) | ○ | ○ | ○ |
スマートフォン・タブレット(Android) | ○ | ○ | ○ |
iPhone/iPad | ○ | 未定 | 未定 |
データ通信専用端末(ルーター・モデム) | ○ | ○ | ○ |
解除方法・金額
ドコモでは、「My docomo」(PC版のみ)、ドコモショップ、またはドコモインフォメーションセンター(電話サポート)でロック解除を受け付ける。手数料はMy docomo利用時は無料、ドコモショップ・インフォメーションセンター利用時は3000円かかる。ただし、フィーチャーフォンやデータ通信専用端末など、オンライン解除に対応できない端末については、ドコモショップで手数料無料で受け付ける。2015年5月以前に発売したロック解除対応端末は引き続き、ドコモショップにおいて手数料3000円で解除を受け付ける。
My docomo | ドコモショップ | ドコモインフォメーションセンター | |
---|---|---|---|
フィーチャーフォン(ケータイ) | × | ○(3000円) | × |
スマートフォン・タブレット(Android) | × | ○(3000円) | × |
データ通信専用端末(ルーター・モデム) | × | ○(3000円) | × |
My docomo | ドコモショップ | ドコモインフォメーションセンター | |
---|---|---|---|
フィーチャーフォン(ケータイ) | × | ○(無料) | × |
スマートフォン・タブレット(Android/iPhone/iPad) | ○(無料) | ○(3000円) | ○(3000円) |
データ通信専用端末(ルーター・モデム) | × | ○(無料) | × |
auでは、「auお客さまサポート」(Web)またはauショップでロック解除を受け付ける。手数料はauお客さまサポート利用時は無料、auショップ利用時は3000円かかる。スマホ・タブレットだけではなく、フィーチャーフォンやデータ通信専用端末もauお客さまサポートでの解除手続きが可能だ。
auお客さまサポート | auショップ | |
---|---|---|
フィーチャーフォン(ケータイ) | ○(無料) | ○(3000円) |
スマートフォン・タブレット(Android) | ○(無料) | ○(3000円) |
データ通信専用端末(ルーター・モデム) | ○(無料) | ○(3000円) |
ソフトバンクでは、「My SoftBank」(Web)またはソフトバンク取扱店でSIMロック解除に応じる。手数料はMy SoftBank利用時は無料、ソフトバンク取扱店では3000円かかる。2015年5月以前に発売したロック解除対応端末は引き続き、ソフトバンクショップのみで取り扱い、手数料は3000円となる。
My SoftBank | ソフトバンクショップ | |
---|---|---|
フィーチャーフォン(ケータイ) | − | − |
スマートフォン・タブレット(Android) | − | ○(3000円) |
データ通信専用端末(ルーター・モデム) | − | − |
My SoftBank | ソフトバンク取扱店 | |
---|---|---|
フィーチャーフォン(ケータイ) | ○(無料) | ○(3000円) |
スマートフォン・タブレット(Android) | ○(無料) | ○(3000円) |
データ通信専用端末(ルーター・モデム) | ○(無料) | ○(3000円) |
新ルール適用端末の解約後ロック解除は?
各社ともに、新ルールでのSIMロック解除は、回線契約がある状態で、かつ契約者本人からの申込みを前提としている。もしも、回線解約後にSIMロックを解除したい、あるいは中古で入手した端末のSIMロックを解除したい場合はどうなるのだろうか。
ドコモでは解約から3カ月以内に、ドコモショップに契約者本人が申し出ればロック解除に応じてもらえる。手数料は端末を問わず3000円となる。
ソフトバンクでは90日以内に、ソフトバンクショップと一部のソフトバンク取扱店に契約者本人が申し出ればロック解除に応じてもらえる。手数料は端末を問わず3000円となる。
つまり、ドコモとソフトバンクでは中古端末のSIMロック解除は事実上不可能となるので、注意が必要だ。
一方、auでは端末の購入履歴をシステム上で確認できれば、auショップでロック解除に応じてもらえる。申込時には、本人確認書類が必要で、手数料は端末を問わず3000円となる。
関連記事
- ドコモ、SIMロック解除の手続き方法を変更 新機種に6カ月の制限期間を設定
ドコモは、5月1日以降に発売する新機種から、SIMロック解除の手続き方法を変更すると発表した。新機種では新たに6カ月間の制限期間を設ける。またWebサイトや電話窓口での解除にも応じる。 - KDDI、夏モデルからSIMロック解除が可能に ただし購入から180日後
KDDIは、5月以降に発売するauスマホやタブレットについて、原則SIMロック解除に対応すると発表した。Webサイト経由でユーザーがロックを解除する仕組みも提供する。 - ソフトバンク、SIMロック解除の新ルールを案内――購入から180日後に
ソフトバンクモバイルは、5月29日以降に発売される端末は、原則すべてSIMロック解除に対応することと、手続き方法について案内した。 - SIMロック解除の義務化が開始――“6カ月ルール”の問題点と市場への影響を考える
5月1日から、いよいよSIMロック解除の義務化がスタートした。今回はSIMロック解除が義務化された背景から、キャリアの施策と市場の動向までを考えていきたい。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.