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» 2004年12月22日 15時00分 公開

デジ一眼ユーザーの願いを叶える簡単操作のRAWプリントソフト──「EPSON RAW Print」

「デジカメで捉えた映像を、可能な限り情報量を失わずに印刷したい」。高性能なデジタル一眼レフカメラを入手した人なら誰もが考える“願い”である。その願いを手軽に実現できるエプソン提供の無償ソフト「EPSON RAW Print」を紹介しよう。

[本田雅一,ITmedia]

「デジカメで捉えた映像を、可能な限り情報量を失わずに印刷したい」

 高性能なデジタル一眼レフカメラを入手した人ならば、誰もが考える“願い”である。一般にデジタルカメラの撮像素子が捉える色の情報(RAWデータ)は、PCで標準的に扱われるsRGBよりも広いとされているからだ。もちろん、そのための手法は用意されているが、それを実行するには市販のソフトウェアを利用する必要がある。

 しかし、エプソンが同社製カラーインクジェットプリンタ「PX-G5000」と「PX-G920」のユーザーに無償提供しているアプリケーションソフトウェア「EPSON RAW Print」を用いれば、誰でも手軽に一眼レフデジタルカメラの能力を活かすことが可能だ。

意外に難しいRAWデータの活かし方

 RAWデータの形式はカメラごとに異なる。カラーフィルタの色も違えば、場合によっては配列が異なっていたり、光に対する応答特性が違う場合さえあるからだ。従ってRAWデータは、各カメラメーカーが用意する専用の現像ソフトで処理しなければならない。

 ところが「なぜRAWモード撮影がよいのか?」で述べたように、RAWデータから生成される色情報はsRGBの外となる場合がある。一般にAdobe RGBという印刷に適した色特性で現像すればRAWデータの持つ情報を活かせるが、WindowsのプリンタドライバはsRGBを元に作られており、せっかくAdobe RGBで印刷しても、きちんと色管理を行ったうえで正しい手順で印刷しなければ、Adobe RGBを活かすことは不可能だ。

 最も一般的な方法は、「Photoshop CS」を用い(あるいは「Photoshop Elements」の印刷に最適化した設定で)、ICCプロファイルを使って印刷することだ。ICCプロファイルとは色特性を記述する国際標準ファイル形式のことで、異なる色特性の機器やデータを互いに正しく結びつけることが可能になる。

 しかし、誰もがPhotoshopのようなカラー管理がきちんと行えるアプリケーションを持っているわけではないし、使いこなせるわけでもない。元々は印刷のプロが色情報を正しく扱えるようにするために作られた仕組みだけに、誰もが簡単・手軽に行える手順とはなっていないからだ。

 もう一つ、メーカーが用意するRAW現像ソフトから直接印刷するという手法もある。この場合は、JPEGやTIFFなどのRGBデータに変換する必要がないため手順はややシンプルになるものの、プリンタドライバと印刷するソフトウェア(この場合はRAW現像ソフト)の間でsRGBよりも広いデータを扱い、色合わせをキッチリ行うためには、やはりICCプロファイルに頼らざるを得ない。

 さらに、ICCプロファイルを用いて色合わせを行う場合でも、ICCプロファイルの出来や変換時の誤差などで色が変化したり、あるいは情報が失われたりといったことも、僅かながら発生してしまう。プロであれば、ICCプロファイルを細かくカスタマイズして色を合わせるなどして、問題が見えなくなる程度まで追い込むこともできるが、当然のことながら、それを行うための敷居は高くなる。

 RAWデータを“いつでも好きな時に最適なパラメータでRGBデータにする”ための元データとして保存用だけに使うのであればいいのだが、印刷という観点で捉えるとまだまだ難しい面があるのだ。

色管理を意識せず、豊富な階調かつ忠実な印刷が可能に

 EPSON RAW Printが優れているのは、これらさまざまな事情をほとんど考慮することなく、RAWデータが持つ豊かな階調や幅広い色再現域を活かすことが可能なところである。

 EPSON RAW Printには、通常の現像ソフトと同様に露出補正やホワイトバランスの調整といったパラメータがあり、好みの露出、ホワイトバランスにパラメータを変化させながら追い込むことができる。もっと手軽に……ということであれば、シーン選択を行うことで、絵作りを風景や人物など撮影対象ごとに変えるといったことも可能だ。

EPSON RAW Printのパラメータ調整画面。ウィンドウの右側に「シーン選択」、「明るさ(露出補正)」、「ホワイトバランス」などの調整項目が並ぶ

 実際の印刷レイアウトは「EPSON Easy Photo Print」を用いて行うが、EPSON RAW Printが色情報を正しく伝え、プリンタの色設定も自動的に最適化されるため、ユーザーは画像の扱いに気を取られることなく印刷を完了させることが可能なのだ。

 EPSON RAW PrintがサポートするRAWデータは、エプソン製デジタルカメラ「R-D1」の他、キヤノンの「EOS Kiss Digital」、ニコンの「D70」があり、アップデートで順次対応機種を増やしていく予定になっている。

 もっとも、現像ソフトがメーカー純正でなくなることを危惧する読者もいるかもしれない。確かにキヤノンやニコンの現像ソフトとはやや異なる色で現像される。

 しかし、エプソンのRAW現像技術は階調性が比較的高い。特に中明色の階調がよく、グラデーションのつながりが良好という印象だ。PX-G5000とPX-G920、基本的に同じ印刷エンジンを持つ2機種への対応に特化していることもあり、色再現の忠実度もとても高い。

 これらすべてのワークフローが、一貫してエプソンだけの世界で閉じていることもあり、非常にシンプルなのも特徴だ。RAWデータという、デジタルカメラが持つもっとも情報量が多く、基本となる情報から、印刷までを最短距離で作業でき、失われる情報も最小限というのはなかなか画期的である。まだ対応機種が少ないとはいえ、自社のカメラだけでなく、売れ筋のデジタル一眼レフカメラが利用できる点も嬉しい。

 もし対応機種を持っているなら、理解しやすさ、簡単さ、そして画質を兼ね備えたEPSON RAW Printを使ってみることを勧めたい。それはカメラとプリンタの能力を、簡単かつ最大限に引き出すための一番の近道だ。

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