「HDMIをPCインタフェースの標準に」――HDMI Licensing社長DisplayPortは不要?

» 2007年10月17日 18時30分 公開
[前橋豪,ITmedia]
HDMI Licensingのレスリー・チャード社長

 米HDMI Licensingは10月17日、HDMIの商標およびロゴ使用に関するガイドラインを設けたことに関する記者説明会を開催した。ガイドラインの内容については既報の通りだ。ここでは、説明会で言及されたPC市場におけるHDMIの動向について紹介する。

 同社のレスリー・チャード社長は、家電だけでなくPC市場にもHDMIが急速に普及していると説明。具体例として、NVIDIA、AMD(ATI)、Intelといった主要なメーカーのグラフィックスプラットフォームがHDMIを標準でサポートしており、追加投資なしにPCでHDMIが使えるようになりつつある点、ノートPCや液晶ディスプレイに搭載機種が増えている点、HDMIがDVIとの下位互換性を備えている点などから、「今後さらにHDMIが普及し、DVIに取って代わる可能性もある」と述べた。今後は2010年までにPC市場全体の35〜40%の製品で家電との融合が実現するとの見通しだ。

 また、同社が2007年10月に日本国内の1000人を対象にインターネット上で実施したHDMIに関するアンケートでは、回答者の58%がHDMIのインタフェースをPCの重要な機能として認識しているとの結果を示した。

PC市場におけるHDMIの動向(写真=左)と今後の展望(写真=中央)。同社がインターネット上で実施したアンケートの結果から、PCにおけるHDMI搭載の重要性を示したもの(写真=右)

 なお、DVIの後継となるPC用の次世代デジタルインタフェース仕様としては、かつてIntelが支持していたUDI(unified display interface)や、VESAが規格化したDisplayPortがあるが、これらとHDMIの関係性および優位性についても同氏から語られた。

 UDIはHDMIとの互換性が高いPC用インタフェースとして、過去にHDMI Licensingも支持していた規格で、その親会社であるSilicon Imageが規格化に携わっていたが、今回の記者説明会では「PC業界でのHDMIの普及により、UDIは必要ではなくなったと認識しており、PCインタフェースでもHDMIが主流になっていくだろう」との方向転換を示した。ちなみに2007 International CESにおいて、Intelは支持する規格をUDIからDisplayPortに変更することを明らかにしている。

 DisplayPortはVESAが推進する規格で、2007年4月にHDMIと同様の著作権保護技術HDCPをサポートしたバージョン1.1を発表している。搭載製品はまだ市場に投入されていないが、現状でHDMIとよく似た機能を持ち、Intel、AMD、HP、Dell、NVIDIA、Lenovo、SamsungなどPC業界が中心となって仕様を取りまとめた背景があり、伝送速度の高速化などのロードマップが明らかにされていることから、HDMIの競合規格として注目されている。

 そのDisplayPortについてだが、同氏によれば、HDMIと比較した場合の性能的な優位性がない点、ロイヤリティフリーと銘打っているが実際の搭載にはコストがかかる点、HDMIと両方搭載する場合に別々のチップが必要になる点、HDMIとの相互接続性を確保するのに変換アダプタを使うことでコストとパフォーマンスが不利になる点などの事情があり、「すでにPC業界のエコシステムの中にHDMIは入っている。今さらなぜDisplayPortが必要なのだろうか」と見解を述べた。


 現在、HDMIを搭載したノートPCや液晶ディスプレイは増えつつあるが、実際にHDMIのどのバージョンに該当し、どのようなオプションが実装されているのかはほとんど明確にされていない。今回発表されたガイドラインは、バージョンナンバーの表示を必須要件としてうたってはいないが、バージョンナンバーを表示する場合には対応機能(x.v.Color、Deep Color、Dolby TrueHDなど)を併記することが求められる。これにより、HDMIを搭載したPC関連製品が持つ機能について、今後は明確化されていくことが期待される。

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