インタビュー
» 2008年09月19日 16時00分 UPDATE

Webサーバが難しい──ペイト氏、D.A.V.Eの苦労を語る

「シーゲイトのペイト氏」は、同社の技術説明セッションのためにたびたび日本を訪れている。「大リーグより阪神が好き」という彼に、シーゲイトの眠れる新技術について語ってもらった。

[長浜和也,ITmedia]

時間はかかったが、着実に進んでいるD.A.V.Eの開発

kn_sgate_01.jpg 米シーゲイトコンシューマ・ソリューション・ディビジョン・ビジネス&マーケティング・ディベロプメント・ディレクターのロブ・ペイト氏

 米シーゲイトコンシューマ・ソリューション・ディビジョン・ビジネス&マーケティング・ディベロプメント・ディレクターのロブ・ペイト氏が、最近、来日して必ずアピールして行くのが、家電市場向けに開発を進めているモバイルストレージ技術の「D.A.V.E」だ。ITmediaでも、2007年に「シーゲイト、ワイヤレス外付けHDD技術「DAVEテクノロジー」を紹介」を、2008年には「シーゲイト、開発中の家電向けストレージシステムを紹介」で、ペイト氏が説明するD.A.V.Eを取り上げているが、製品はまだ市場に登場していない。2007年のデモでは、ラボのサンプルボードレベルだったD.A.V.Eストレージデバイスも、2008年には手のひらに収まるサンプルが登場するなど、1年間で開発はだいぶ進んだようにも見える。2008年4月時点の説明で、D.A.V.Eデバイスの出荷は2008年のクリスマス商戦を予定しているとペイト氏は説明しているが、2007年3月に日本でデモを行ったときには2007年の年末に製品を出荷したいとしていた。この遅れは、なぜ生じてしまったのだろうか。

 ペイト氏は、その理由を「デバイス間の接続が難しい」と述べる。D.A.V.Eテクノロジーでは、持ち運びできる小型のストレージデバイスとPC本体をワイヤレスで接続して、それぞれのデバイスでデータをやり取りするが、その接続規格として、BluetoothとIEEE 802.11b/gを利用するとしている(そのほかに、有線によるUSB 2.0接続もサポートする)。周辺機器とのデータのやり取りを制御するために小さなボディのD.A.V.EデバイスにWebサーバを実装するのが難しかったとペイト氏は説明した。

 2008年3月のデモで披露されたD.A.V.Eデバイスのサンプルは、ちょうど名刺入れ相当のフットプリントであったが、これがリファレンスサイズとしてOEMに提示されるという。そのとき示されたワイヤレス接続のインタフェースは、先にあげたIEEE 802.11 b/gとBluetooth(2.0+EDR)だけだったが、最近採用製品が市場に登場しつつある(それでも、春先の勢いは感じられなくなってきたが)Wireless USBについても「D.A.V.Eの次期バージョンアップで採用する可能性はある。現在検討中だ」と答えてくれた。

kn_sgate_02.jpg 2007年に行ったサンプル“ボード”によるD.A.V.Eのデモ
kn_sgate_03.jpg こちらは2008年に行われたサンプル“デバイス”によるD.A.V.Eのデモ

堅牢性能に特化させた「EE」にシーゲイトの強さを見る

 シーゲイト製HDDラインアップの主力というと、デスクトップPC向けの3.5インチドライブ「Barracuda」、ノートPC向けの2.5インチドライブ「Momentus」、企業向けシステムで採用例が多く、1万5000rpmの高速回転数が支持されてコンシューマーでもパワーユーザーに使われている「Cheetah 15K.5」などがよく知られているが、そのほかにも、「Savvio」「Lyrion」などのデータセンター向けHDDから、携帯機器向けの1.8インチHDDまで、幅広いラインアップを用意している。

 そのなかで、車載、屋外デバイス機器向けのラインアップとして特化したのが2.5インチHDDの「EE」シリーズだ。ラインアップは「EE25.2 Extreme」「EE25.2 Rugged」の2系統があって、それぞれSerial ATA、Pallarel ATAのインタフェースに対応するモデルを有する。キャッシュは8Mバイト。

 シーゲイトの資料に「組み込み系製造メーカーへの販売のみになります」という但し書きが書いてあることからも分かるように、コンシューマーユーザーにはかなり縁遠いシリーズになるが、最近登場するノートPCの訴求ポイントになっている「堅牢性能」「耐衝撃性能」という側面から見ると、非常に興味深い仕様を持つ。

 EE 25.2はプラッタ回転数が5400rpm、そして、容量は30G/40G/60G/80Gバイトと、最新の2.5インチHDDとしては、回転数、容量ともに低い値にとどまっている。しかし、これは、EE 25.2を過酷な外的環境化で安心して使うために求められるのだ、とペイト氏は語る。

 ペイト氏によると、EEシリーズは屋外で使用するデバイスに搭載するHDDで、そのために、耐衝撃性能は動作時で300ガル(加圧時間2ミリ秒、動作温度範囲はマイナス30度から85度。EE25.2 Extremeの場合。EE25.2 Ruggedはマイナス20度から75度)、動作標高は海抜4500メートル以下(EE25.2 Extremeの場合。EE25.2 Ruggedでは海抜5000メートル以下)、湿度90%以下という性能を与えている。

 5400rpm、最大で80Gバイトというスペックは、動作時の耐衝撃性能を高めるためで、トラックの幅を広げることでプラッタの容量を減らす代わりに、衝撃を受けてヘッドアームがぶれてもデータのRead/Writeに支障がないようにするためだ。

 EE25.2は、車載用HDDとして、カーナビシステムに数多く採用されているほか、屋外設置機器のストレージデバイスや航空機、船舶搭載システムでも組み込まれている。いずれも継続的な振動(車載機器)、強い衝撃(着陸時の航空機、波を受けたときの船舶)に耐えて動作している。

 コンシューマーユーザー、特に自作PCユーザーには、「Barracuda」=シーゲイトと思うかもしれないし、そうでなくとも、ノートPC、HDDプレーヤー、ポータブルプレーヤーにシーゲイト製HDDが搭載されていることも広く認知されていると思う。その一方で、EE25.2のような、特殊環境でその真価が発揮されるHDDも投入してる。この「幅広さ」がシーゲイトの強味といえるのではないだろうか。

kn_sgate_04.jpgkn_sgate_05.jpg そして忘れていけない「外付けHDD」製品。旧Maxtorが開発した「OneTouch」が主力製品であったが(写真=左)、シーゲイトは現在「Showcase」の開発を進めている(写真=右)。同じ外付けHDDというカテゴリーだが、ペイト氏によると「OneTouchはPCに接続してワンアクションでバックアップが行える製品。Showcaseはデジタル家電に接続して保存しているファイルを簡単に使えるようにするデバイス」と、両者の違いを説明している

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