「NX90Jq」実力診断――見た目も音も美しい巨大ノートPCBang & Olufsenのエッセンスを注入(2/4 ページ)

» 2010年11月08日 00時00分 公開
[望月瞬(撮影:矢野渉),ITmedia]
※本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

クアッドコアのCore i7-740QMをはじめ、バランスの取れた高スペック

 基本スペックは高いレベルにある。CPUはクアッドコアのCore i7-740QM(1.73GHz/最大2.93GHz)、チップセットはIntel HM55 Express、メモリは4Gバイト(PC3-10600/最大12Gバイト)、HDDは1Tバイト(500Gバイト×2)、光学ドライブはスロットイン式のBD-ROM/DVDスーパーマルチコンボドライブ、GPUはNVIDIA GeForce GT 335M(グラフィックスメモリ1Gバイト)といった構成だ。

 たいていの用途は快適にこなせるハイスペックといえるが、昨今のノートPC事情をかんがみるに、フラッグシップとしては少々物足りないと感じる人もいるのではないだろうか。例えば、ストレージには回転数5400rpmで500Gバイトの2.5インチSerial ATA HDDを2台(合計1Tバイト)内蔵しているが、日本市場向けならばシステムドライブにSSD、データドライブにHDDというハイブリッド構成も受けそうだ。

 また、GeFoece GT 335MはNVIDIAのノートPC用GPUとしてはミドルローに位置するモデルだ。DirectX 10.1に対応し、動画再生支援機能のPure Video HDやCUDAもサポートするが、NV90Jqは大型のボディを採用しており、通常のノートPCに比べると実装面積に余裕がありそうなので、もっとグレードの高いGPUが欲しかった気もする。

 とはいえ、高速なSSDやGPUはコストアップに直結する。また、GPUの強化でファンがうるさくなっては、音質を損ねる原因にもなるだろう。価格とのバランスを考えると、基本スペックの構成がちょうどよい、もしくはギリギリの一線かもしれない。実際のところ、よりハイパフォーマンスなスペックだったとしても、価格が高くては購入しづらくなってしまう(2モデル展開という手もあったかもしれないが)。

 なお、NX90Jqはボディデザインの美しさを前面に出していることもあり、表も裏もネジが1本も見えない。大型ボディで、ここまで外装を作り込んでいるノートPCは貴重だ。本体をひっくり返しても、メモリスロットやHDDベイにアクセスするための小窓などは一切なく、バッテリーパックもMacBookシリーズのように内蔵型なので、通風口の溝がある以外はすっきりした外観だ。

 どうやって分解すればいいかというと、底面のゴム足4本を丁寧にはがずと1本ずつネジが現れ、このネジ4本を外して底面全体を後方にスライドさせると、底面を覆う大きなカバーが丸ごと分離でき、内部構造が明らかになる。メーカーのサポート対象外となるが、メモリモジュールの増設(空きスロットはないので交換)、HDDの換装なども、それほど難しくはない。

バッテリーを内蔵しているため、底面には通風口があるだけで余計な突起などがない
底面のゴム足4本の下にネジがあり、これらを外すと、底面のカバーが分離できる

 底面カバーを開けると、3本のネジで固定された内蔵リチウムイオンバッテリーも現れる。バッテリーの容量は11.25ボルト 5600mAh(63ワットアワー)で、公称の駆動時間は約2.8時間だ。ACアダプタはサイズが67(幅)×155(奥行き)×37(高さ)ミリ、重量が約630グラム(いずれも実測値)と大振りで、やはり据え置きでの利用がメインとなる。

11.25ボルト 5600mAh(63ワットアワー)のリチウムイオンバッテリーを内蔵
付属のACアダプタは大型だが、据え置きでじゃまになることはないだろう

USB 3.0、eSATA、HDMIなど十分なインタフェース

 通信機能と拡張性もかなりの充実ぶりだ。通信機能は、1000BASE-Tの有線LAN、IEEE802.11b/g/nの無線LAN、Bluetooth 2.1+EDRの3つを備える。インタフェースでは、2基のUSB 3.0ポートを搭載しているのがうれしい。加えて、2基のUSB 2.0ポート(うち1基はeSATA兼用)も装備している。外部映像出力はHDMIとアナログRGBの2つだ。

 そのほか、ヘッドフォン出力(光デジタル音声出力と兼用)、マイク入力、ライン入力、マルチカードリーダー(SDHCメモリーカード/MMC/メモリースティックPRO/XDピクチャーカード対応)などを備える。液晶ディスプレイの上部には、200万画素Webカメラも搭載している。

前面はバッテリー状態や電源のインジケータのみ。リモコン受光部らしきものもあるが、リモコンは付属しない。スピーカーが左右に張り出しているため、天板が浮いているような印象を受ける
背面のカラーはブラックで統一されている。バッテリーパックは本体に内蔵されており、背面にあるのは排気口だけだ

左側面は、BD-ROM/DVDスーパーマルチコンボドライブ、マルチカードリーダー、USB 2.0を1基備える。スロットイン式の光学ドライブで側面のデザインをシャープにまとめているのはさすがだ
右側面には、音声入出力、2基のUSB 3.0、USB 2.0/eSATA兼用、HDMI出力、アナログRGB出力、有線LAN、DC入力が並ぶ。アンテナ入力も見られるが、国内モデルでは使用しない

ASUS独自のソフトウェアを中心にシンプルなソフトウェア構成

「ASUS Fast Boot」では、スタートアップに登録されたサービスなどの起動タイミングを設定できる

 プリインストールOSは64ビット版のWindows 7 Home Premiumを採用する。オフィススイートは付属せず、ソフトウェア面はシンプルな構成だ。

 CD/DVDライティングソフトの「CyberLink Power2Go」を除けば、前述のASUS SonicMasterコントロールパネルをはじめ、省電力設定の「ASUS Power4Gear Hybrid」、画質設定の「ASUS Splendid」、総合エンターテインメントソフトの「ASUS Video Magic」、自動アップデートの「ASUS Live Update」など、ASUS独自のタイトルで固められている。

 こうした独自ユーティリティでは「ASUS Fast Boot」がちょっと面白い。これはスタートアップに登録されたアプリケーション/サービスの起動タイミングを設定できるものだ。「Delay」をオンにすると、Windows 7の起動時にはロードされず、少し遅らせてロードするようになる。これにより、実質的な起動時間が高速化されるわけだ。

NX90Jqのデバイスマネージャ画面

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

最新トピックスPR

過去記事カレンダー