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» 2011年02月10日 16時30分 UPDATE

ビジネスはもちろん、通好みなアナタにも:あえて“モノクロ専用”なインクジェットプリンタ――エプソン「PX-K100」を試す (1/3)

エプソンが15年ぶりにモノクロ専用A4インクジェットプリンタを投入する。なぜ、今になってモノクロ専用なのか、その性能はどうなっているのか、実機をチェックした。

[前橋豪(撮影:矢野渉),ITmedia]

その発想は、ありそうでなかった?

tm_1101_px-k100_01.jpg エプソンのモノクロ専用A4インクジェットプリンタ「PX-K100」。発売は2011年4月の予定。価格はオープン、実売想定価格は1万円台半ばだ(Epson Direct Shopでの直販価格は1万4980円)

 ビジネスプリンタといえば、レーザーもしくはLED方式のページプリンタを思い浮かべるかもしれないが、意外にインクジェット方式も数多く使われている。エプソンの調査によると、2009年のビジネス用プリンタ市場規模は約236万台で、そのうち約45%(106万台)がインクジェットと、約55%(130万台)のレーザーに迫るほどだ。

 インクジェットは家庭向けプリンタで主流の印刷方式だけあって、省スペースで低消費電力、導入コストが低く、インクなど消耗品の単価も安く入手しやすい。印刷速度はレーザー/LED方式より不利だが、それでも昨今はかなり高速化が進んでおり、ビジネスでも十分使える出力性能を持ち、ビジネス向けの機能を充実させた製品も増えてきた。

 こうした特徴からインクジェットプリンタは、少人数の事業所やSOHOなど印刷枚数がさほど多くない環境はもちろん、より規模が大きなオフィスであっても、数人で共有するサブプリンタや、特定のスタッフがデスクサイドに置いて使う専用プリンタなど、幅広いビジネスシーンで導入されている。

 続いて、2009年のビジネスプリンタ市場におけるカラー/モノクロ構成比を見ると、カラーレーザーは約40%(55万台)、モノクロレーザーは約60%(75万台)となっており、依然としてモノクロ専用機のほうが多く、今後もモノクロレーザーの割合は微増していく見込みという(エプソン調べ)。その一方で、インクジェットは低コストでカラー化できるため、完全にカラー化を果たしており、モノクロ専用機がまったくない状況だった。

 そこで、エプソンがビジネスプリンタの新しい選択肢として、2011年2月3日に発表したのが、“モノクロ専用”のA4インクジェットプリンタ「PX-K100」だ。

 同社としては15年ぶりに投入するモノクロ専用インクジェットプリンタで、「国内唯一のモノクロA4インクジェットプリンタ」という。前述したインクジェットの特徴に加えて、モノクロ文書に特化することで、低コストなモノクロプリンタを求めるビジネス用途にマッチする1台に仕上げている。ビジネス向けではあるが、個人でモノクロ文書の印刷が多いユーザーにとっても見逃せない新機種だろう。

 PX-K100の発売は4月の予定だが、エプソンから実機を借用できたので、早速その実力を試してみた。

大容量の顔料ブラックインク2本構成で低インクコストを実現

 まずはプリントエンジンだが、エプソンおなじみのピエゾ素子を使ったMACH方式を採用する。多めの512ノズルが備わったプリントヘッドで顔料系ブラックインクを高速に吐出し、公称の印刷速度は最速で約37枚/分、ISO(国際標準化機構)が策定したプリンティング生産性測定方法規格による印刷速度は16ipm(標準印刷モードで1分あたり16面を印刷可能)だ。

 この印刷速度は同社のインクジェットプリンタで最速クラスだが、カラー対応A4インクジェットプリンタの従来機「PX-101」が最速で約38枚/分、16ipmの印刷速度を確保していたことを考慮すると、せっかくのモノクロ専用機なのだから、既存のカラー対応モデルよりワンランク上のモノクロ印刷速度を実現してほしかった気もする。

 インクカートリッジは大容量の顔料系ブラックインクを2本同時に使用し、約2000ページの印刷が行えるとする。片方のインクがなくなった場合でも、「インク1本だけモード」によって、最長5日間は残ったインクのみ使用して印刷が可能だ。インクカートリッジの印刷可能枚数は余裕があり、1本ずつ交換できる仕組みによって、完全なインク切れを防げるのは気が利いている。

tm_1101_px-k100_02.jpgtm_1101_px-k100_03.jpgtm_1101_px-k100_04.jpg 天面の左手前には、電源、用紙の手動給排紙、インク交換、ネットワーク状況確認シート印刷の各ボタンが並ぶ(写真=左)。天板を開け、左手前のボタンを押すと、インクを交換できる位置にキャリッジが移動する(写真=中央)。大容量の顔料ブラックインクカートリッジを2本備える(写真=右)

 さらに特筆すべきはランニングコストの低さだ。モノクロA4文書1枚あたりの印刷インクコストは、公称値で約2.85円しかかからない(測定画像はISO/IEC19752を使用)。インクカートリッジは新型番の「ICBK67」を採用し、Epson Direct Shopでの直販価格は1本で2990円、2本セットで5690円となっている。5690円という価格は、同社の家庭向け売れ筋複合機(「EP-803A」など)が採用する染料6色インクセットに近い価格帯だ。

 ちなみに消費電力については、動作時平均で約18ワット、スリープモードで約2ワットとされている。レーザープリンタの中にはスリープモード時の消費電力がより低い機種も存在するが、動作時も消費電力が低いのはインクジェットプリンタならではだ。

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