―― WWDCの発表そのものについてはどう考えていますか?
リービン 毎度のことながら、非常に面白かったね。アップルがああいった大がかりな発表をすると、何か業界全体の水準が高まるような印象を受ける。iOS 5についても、NDAで語れることはできないけど、驚くような新機能を満載しているし、iCloudによる音楽提供の方法も、非常に筋が通っていると思う。
アップルの発表は非常に重みがあって、業界の風景すら変えてしまうところがある。アップルが1歩足を踏み出すたびに、足下の風景が変わってしまうんだ。その大きな影響のせいで、それまでの事業が存続できなくなってしまう開発者もいるし、そうなることを恐れている開発者も多い。
その一方で、アップルがそういったイノベーションを起こすことで、より多くの人々がテクノロジーを使うようになる。より多くの人々が、PCやスマートフォン、そしてクラウドを使うようになり、長期的な視点で業界全体を見渡すと、非常に大きな恩恵があると思うんだ。
―― アップルの発表によって、開発者が影響を受けることについてはどのように見ていますか?
リービン うまく環境に適合できる柔軟性があれば、逆にそれでチャンスを得る開発者もいると思う。我々自身は常に柔軟な姿勢をなくさないように心がけている。
そもそも、アップルの発表に関わらず、環境がずっと同じままということはありえないし、開発者はある程度の鋭敏さと柔軟性を持つことが必要だ。大きな環境の変化があったら、その度に、本当に大事なことは何か、もっと面白いことはないか、もはや面白くないものは何か、を自分自身に問う必要があるだろう。
―― ところで、ここはカリフォルニア州マウンテンビューにある本社なのに、あなたがその手に持っているのは、日本の伊藤園が販売している「お〜い、お茶」ですよね?
リービン そうだよ、伊藤園の「お〜いお茶」。ウチの会社では、もうこれを飲むのが当たり前になっていてね。社員もみんな伊藤園が好きなんだ。
私自身、毎日4〜5本飲んでいるし、だいたい50人ほどの社員が、それくらいの量を飲んでいると思う。オフィス全体での消費量は1日にだいたい200本くらい。とにかく多いよ。
―― そんなにポピュラーなんですか!? これって米国で普通に買える物なんですか?
リービン 最初はAmazon.comからオーダーして冷蔵庫に置くようにしていたんだけど、しだいにみんなが飲むようになってとても追いつかなくなった。
そこで伊藤園と戦略的パートナーシップ(笑)を結ぶことにしたんだ。今では彼らが、アメリカ限定のショット缶シリーズも含めて、全部の種類を納品してくれている。1カ月でだいたい20から30ケースは飲んでいるね。今度、伊藤園の人が会社にやってきて、“利き茶”をすることになっているんだ。すごく楽しみだよ!
外村 私たちが伊藤園の製品を置くようになってから、伊藤園はシリコンバレー全体で大流行してね……今ではGoogleの本社にも毎月2000箱くらい納品されていると聞いたし、Twitter本社でも伊藤園の導入を始めた。
いずれは、アップルの基調講演で、ジョブズがエビアンの代わりに「お〜い、お茶」を飲んでいる姿も見られるかもしれないな。
(注:その後筆者がTwitterでこの話題について書いたところ、ほかにもDeNA社傘下のng mocoが伊藤園を導入していることが分かった)
―― いったい「お〜い、お茶」の何がそんなにいいんですか?
リービン 私が飲み始めたのは、日本を訪問した時で、自販機で買ったんだ。砂糖も入っていないから、飲んでて罪悪感を感じることもないし、むしろビタミンCやカテキンを含んでいたりと、身体にはいいことづくめだ。ほとんどの社員は聞いたこともなかったけれど、今ではエンジニアたちも頭がさえると言って飲んでいる。
おまけにペットボトルは、非常にきれいなEvernote色だし、「ITO EN」という名前も、まるで「ITO Ever Note」の省略形みたいで、なんだか縁を感じるね。
きっと、Evernoteの会社としての使命に掲げている「記憶力の向上」にも効果があるんじゃないかな。今度、ぜひ調査して欲しいね(笑)。今度、伊藤園アプリケーションでも作ってみようかな……いや、Evernote Peekの伊藤園ノートを作るのが先かな? お茶の種類を記憶するためのノート、なんてどうだろう?(笑)
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