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» 2012年04月20日 09時00分 UPDATE

山谷剛史の「アジアン・アイティー」:ムンバイのスラムにITはあるのか (1/2)

インドの代表的な商業都市のムンバイは、ビジネスマンと、地方から集まってきた期間工が隣接する。それぞれの世界で“IT”は存在するのか探ってみた。

[山谷剛史,ITmedia]

エリートがスラム街を駅で見下ろすムンバイ

kn_yamaya04_07.jpg ムンバイでは、駅のペデストリアンデッキからエリートビジネスマンがスラム街を見下ろす

 インドの商都ムンバイに、世界最安タブレットデバイス「Aakash」を求めて潜入したものの、空振りに終わった調査部隊。ムンバイの人たちは、やたらとフレンドリーに相手してくれた。後日、Aakashについて「100万台の予定だったが、いまのところは1万台のみの販売にとどまっている」と報道されていた。この報道を信ずるならば、1万台は販売されていることになる! どこ? どこにあるのかAakash! 捜し求めるべく、再度ムンバイの街をさまよう調査部隊であった。

 ムンバイといえば、インド映画の中では世界で知られている「スラムドッグミリオネア」の舞台だ。ムンバイの通勤は「近郊電車」が主役で、駅前には多くのビジネスマンが通勤のために集まってくる。駅には車の通行を邪魔しないようにペデストリアンデッキが設けられているが、ペデストリアンデッキを清潔な服を着たビジネスマンや大学生が行き交う一方で、ペデストリアンデッキから下を見下ろすと、そこには下町の庶民的な世界が隣接している。上を歩く人、下を歩く人は同じムンバイに住む者たちだが、彼らの世界はそれぞれに大きく異なる。

 ムンバイのスラムは、その住む人たちの属性を見ると、中国の「城中村」という期間工が集まる地域に似ている。英語はスラムでも通用する。しかし、コミュニケーションこそできるが、スラムの一人歩きはお勧めしない。「スラムドッグミリオネア」が世界中で上映されてから以降、スラムを散策するツアーがあるので、旅行企画会社に相談してみると安全を確保しつつ行けるのではないか。

kn_yamaya04_02.jpgkn_yamaya04_03.jpg ムンバイのいたるところにあるスラム街(写真=左)にも、衛星放送を受信するパラボラアンテナが多数設置されている(写真=右)

 ムンバイのスラムにも“IT”はある。ペデストリアンデッキから見える家々の屋根には、そのほとんどにパラボラアンテナが載っている。夜になれば、スラムの家々で観ているテレビ画面の光がペデストリアンデッキからも見ることができる。ムンバイ近郊の駅には、駅の入口周辺から下町の商店街が広がっていて、15型ブラウン管テレビやメーカー不詳のフィーチャーフォンなどを扱う街の電器屋に携帯電話ショップ、それに、家電修理屋や「vodafone」「tata」などプリペイド契約携帯電話に通話料をチャージする店がある。

 こうした店で扱うテレビで定番のブランドは「Videocon」や「Onida」といったインドメーカーだ。実売価格は15型モデルが日本円にして1万円弱(このエリアに住む人にとって、1万円は1カ月以上の給料と聞く)が相場だ。

kn_yamaya04_08.jpgkn_yamaya04_09.jpg “庶民的”な家電販売店(写真=左)と庶民的な携帯電話ショップ(写真=右)

kn_yamaya04_10.jpgkn_yamaya04_11.jpg 庶民的な商店街(写真=左)には、プリペイドのリチャージショップに携帯電話ユーザーが集まる(写真=右)

 ムンバイだけでなく、インド全土的にいえることだが、この国では、「女性は家」という概念が強い。家を守る妻たちの娯楽には、映画や音楽、それに英国連邦らしく「クリケット」がメジャーだが、昼下がり、インドの妻たちに絶大な支持を受けいるのは、なんといってもテレビドラマだ。文字も読めない人が少なからずいるインドの昼下がり、手探りで携帯電話を操作しつつ、テレビドラマを見るのが典型的なライフスタイルという。

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