Core i7-3770Kを用いてパフォーマンスを調べていこう。比較に用意したのは、Core i7-2600K(3.4GHz、Turbo Boost Tecnology有効時で最大3.8GHz)と、Core i7-3960X(3.3GHz、Turbo Boost Technology有効時で最大3.9GHz)だ。Core i7-2600Kは、同一周波数でのパフォーマンス比較のため、3.5GHzのCore i7-2700K相当にオーバークロックした状態でも計測を行った。ただし、評価に用いたマザーボード、Intel「DZ77GA-70K」は、Turbo Boost Technology有効時の倍率を設定していくタイプであるため、4コア時で35倍、1コア時で39倍と設定している。厳密には、Core i7-2700Kと異なる挙動になるため、この点注意したい。
Ivy Bridgeが利用できるプラットフォームには、Intel Z77 ExpressチップセットとIntel X79 Expressチップセットがあるが、どちらも最小構成とし、CPU、マザーボード、メモリの枚数以外を同一とすることで、影響を最小にとどめている。グラフィックスカードはPCI Express 3.0に対応したGIGABYTEのRadeon HD 7970搭載の「GV-R797OC-3GD」を用いている。ただし、統合GPUテストではこれを取り外してテストした。
評価システム構成 | ||||
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CPU | Core i7-3770K | Core i7-2600K | Core i7-2600K(3.5GHz) | Core i7-3960X |
動作クロック | 3.5GHz | 3.4GHz | 3.5GHz | 3.3GHz |
マザーボード | Intel DZ77GA-70K | ASUS SABERTOOTH X79 | ||
Chipset | Intel Z77 Express | Intel X79 Express | ||
Memory | Corsair Memory CMZ8GX3M2A1866C9R(DDR3-1600 4GB×2) | Corsair Memory CMZ8GX3M2A1866C9R(DDR3-1600 4GB×2) | ||
GPU | Radeon HD 7970 | |||
GraphicsCard | GIGABYTE GV-R797OC-3GD | |||
データストレージ | PLDS Plextor SSD PX-128M2P 128GB | |||
OS | 64ビット版 Windows 7 Ultimate Service Pack 1 | |||
まずはシステム性能の比較として、PCMark VantageとPCMark 7の測定結果を見ていこう。Core i7-3770Kを搭載したシステムのPCMark Vantageのスコアがトップになっている。MemoriesやTV and Moviesなどの各テストでも、それぞれトップのスコアで、2番手につけるCore i7-3960Xに大きな差を付けている。Core i7-3960Xと3番手のCore i7-2600K(3.5GHz)は、比較的近いスコアなのに対し、Core i7-3770Kがやや大きな差を付けた点は、アーキテクチャがほぼ変わらないのに、各部のブラッシュアップでパフォーマンスに差が出ていることを示している。PCMark 7も同じ傾向となっている。
CPUの演算能力やメモリ性能などをSandraで比較してみる。CPU Arithmetic、および、CPU Multimedia Benchmarkのスコアでは、トップが6コアのCore i7-3960Xで、2コア少ない差がついたCore i7-3770Kは、2番手になった。ただし、3番手以降のCore i7-2600K(3.5GHz)とは、ここでも比較的大きな差がついている。暗号化処理、.NET演算に関しても同様の傾向となる。
メモリ帯域幅では、キャッシュ/メモリ帯域幅で、Core i7-2600K、および、Core i7-2600K(3.5GHz)が105GB/sあたりであるのに対し、Core i7-3770Kは127GB/sに達する。これは、デュアルチャネルのDDR3-1600をサポートしたことが大きいだろう。この結果は、DDR3-1600とDDR3-1333の帯域幅における理論値ともほぼ合っている。また、1次、2次、3次の各キャッシュメモリに対するテスト結果も、Core i7-2600Kより高いスコアを示している。
これらは、コア数が多いほど、あるいは、CPUの動作クロックが高いほどスコアが向上する傾向にあるが、Core i7-3770KとCore i7-2600K(3.5GHz)においてコア数と動作クロックが同一なのに差が出た。Core i7-2700Kではない点も考慮しなければならないが、それでも、Core i7-3770Kの内部レイテンシが最適化された可能性も考えられる。なお、メモリ帯域幅に関しても、最も優れているのがCore i7-3960Xである点に変わりはない。
最大スレッドにおける性能をテストできるCINEBENCH R11.5のスコアを見てみよう。結果は、Multi CPUでIvy Bridge世代のCPUはSandy Bridge世代に対して約1ポイントのアドバンテージがあり、Single CPUでもリードしている。Multi CPUにおけるトップスコアはCore i7-3960Xだが、Single CPUではCore i7-3770Kがトップだった点も注目したい。最大3.9GHzという高クロックと、メモリ帯域の向上、最適化などによって、シングルスレッド性能重視のテストでは優れた結果を出している。
3Dゲームにおけるパフォーマンスの比較として3DMark 11を実行した。結果は、Core i7-3960Xに次ぐ2番手だが、Core i7-2600K、および、Core i7-2600K(3.5GHz)とは明確な差を付けている。3DMarkスコアの絶対値を重視するオーバークロッカーには、Core i7-3960Xが向いているようだ。スレッド数を使い切る3DMark 11ならではの傾向ともいえるだろう。
Battlefield 3では、誤差ともいえそうなわずかの差だが、複数回計測していくと、Core i7-3770Kが最も高いスコアを出す傾向にあった。3DMark 11のGT1、GT2のように、GPUに100パーセントの負荷をかけることもなく、CPUもほどほどのスレッド消費で、ほどほどの負荷がかかる一般ゲームタイトルでは、Core i7-3770Kが適しているように思える。
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