新しいiMacの特徴は、エッジ部を5ミリまで絞り込んだ薄型ボディだ。アップルはこのデザインを実現するために、ディスプレイとカバーガラスを密着させる新しい加工技術(フルラミネーション)を用いたほか、カバーガラスの反射防止コーティングを改良することで、ディスプレイの反射を従来比で75%も低減したと説明している。さらに、iMacを出荷する前に、このディスプレイ1台1台に対して、最新の分光放射計を使って色補正も行っているという(同社の説明によれば、ガンマ値と白色点およびこの2つが正確かを確認するための、計3つの計測器を用いている)。
上下/左右178度の広い視野角を持つIPS方式のパネルを採用している点は従来と同じだが、薄型化、低反射に加え、同社は「色に躍動感を与える、個別の色補正」というキャッチコピーで、iMacのディスプレイがこれまで以上に美しいことをアピールしている。
そこで実際に、新しいiMacの表示品質を測色器でチェックしてみた。テストはエックスライトのカラーマネジメントツール「i1Pro」で行い、計測ソフトは「i1Profiler」を使用している。なお、今回のテストは、21.5型モデルと27型モデルの各1台ずつに対して行ったもので、液晶パネルベンダーの違いやパネルの個体差は考慮していないが、1台1台キャリブレーションを行っているという同社の言葉を信じるならば、別のiMacでも同様の傾向は見られるはずだ。
それでは結果を見ていこう。21.5型iMacと27型iMacのガンマカーブを見ると、いずれのモデルもRGBの3本はほぼリニアに暗部から明部まで推移している。ただ、暗部でやや上方向に持ち上がっており、明部ではややばらつきも見られる。
下に掲載したモノクロのグラデーションパターンでも分かるように、暗部の階調再現はやや厳しい(つぶれ気味)という目視の印象に一致している。ただし、黒の締まりがいいため、パキッとした見栄えのよい表示になり、かえって動画コンテンツなどには向いていると言えるかもしれない。一方、明部で見られるガンマのずれは、実際にはほとんど視覚できないレベルで、あまり気にすることはないだろう。中間階調のガンマカーブはRGBの入力と出力が1:1でそろっており、ニュートラルなグレーバランスが期待できる。目視でも中間階調領域で縦じま状のバンディングなどはほとんど見られず、総じて良好といえる結果ではないだろうか。
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