次に、先に作成したICCプロファイルを、Mac OS XのColorSyncユーティリティを用いて、それぞれsRGB、Adobe RGBのプロファイルと比較してみた。
上の結果を見ると、新型iMacのディスプレイはsRGBの色域をほぼ完全にカバーしているのが分かる。Photoshopのような画像処理ソフトでsRGBプロファイルの画像を開けば、sRGBの色域でマッピングされるはずなので、sRGBを一回り大きくしたような色域を持つiMacなら、sRGB環境での画像編集を高い精度で行うことが期待できる。普段使いはもちろん、Webデザインなどの用途にも対応できそうだ。
一方、Adobe RGBとの比較ではさすがに色域の狭さが目立つ。RAWで撮影した写真データをAdobe RGBで現像するといったような用途では、やはりカラーマネジメントに特化したプロ向けの液晶ディスプレイには及ばない。とはいえ、液晶一体型PCのディスプレイ、しかも下位モデルは10万円台であることを考慮すれば、高品質なパネルといって差し支えないだろう。
リニアに変化するカラーグラデーションを表示してみた。新型iMacの彩度はかなり高く、グラデーションも自然で、非常に見栄えがいい。同社の「躍動感」という言葉もうなずける発色だ。なお、以前測定したMacBook Pro Retinaディスプレイモデルとの比較でも、色域は広い傾向にあった。
以上、新型iMacの21.5型モデルと27型モデルを測色器で検証をしてきた。液晶ディスプレイでは苦手とされる暗部での再現性ではやや気になる部分はあるものの、全体的に良好な結果と言える。
RGB各色すべての階調を調整し、画面の表示均一性にも注力しているようなプロフェッショナル向けのカラーマネージメント対応ディスプレイと比較する品質ではないとはいえ、液晶一体型PCのディスプレイとしてはかなり高いレベルにある。生産台数の多さから液晶の個体差に言及されることが多いアップルの製品で、きっちりと個別の色補正を行ったうえで出荷するという試みは、大きな意味を持つはずだ。
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