→前回の記事:写真で見る「13インチMacBook Pro Retinaディスプレイモデル」
Macで最も人気の高い13.3型ノートに、待望のRetinaディスプレイ搭載モデルが加わった。「13インチMacBook Pro Retina」の解像度は、15.4型ワイドの2880×1800ドット(518万4000ドット/220ppi)に対して、2560×1600ドット表示(409万6000ドット/227ppi)と一回り狭くなるが、現行製品では15インチMacBook Proに次ぐ、「世界で2番目に高い解像度を備えたノートPC」である。また、インチ当たりのピクセル数はほぼ変わらず、やはり“Retina”をうたう高精細な表示はため息をつくほど美しい。
さらに、広視野角のIPSパネルや従来比で29%向上したコントラスト比、映り込みを75%も軽減した低反射処理など、高解像度以外のパネル特性も15型に準じている。先行する15インチMacBook Pro Retinaを体験した人は、「写真を眺めるのが楽しい」「目が疲れにくくなった」と、口々にRetinaディスプレイの魅力を啓蒙していたが、今回登場した13型でも同様の体験を期待できる。
かつてスティーブ・ジョブズ氏はAqua UIを紹介する際「思わず、なめたくなる」と評したが、13インチMacBook Pro Retinaは「世界で2番目になめたくなるディスプレイ」を搭載しているのか。ここでは測色器を用いてガンマカーブや色再現性を見ていこう。なお、評価にはエックスライトの「i1Pro」を用いてキャリブレーションを行っている(液晶の表示を安定させるために、1時間ほど全画面に白を表示してから測定した)。また、以下で示す結果は評価機によるものであり、個体差を考慮していないテストであることに留意してほしい。

水平/垂直ともに178度の視野角を備えたIPSパネルを採用する。横から眺めても色が変化しにくい(写真=左)。低反射処理が強化されたのも特徴の1つだ。写真では上方に設置した照明を映り込ませてみた。左に並べた15インチMacBook Pro Retinaと同程度まで反射が軽減されている(写真=右)まずはガンマカーブから見ていこう。下図に示したグラフで分かるように、RGBすべての入力と出力の関係が1:1のラインをほとんど外れることなく、暗部から明部までリニアに推移している。これは15インチMacBook Pro Retinaでの検証とほぼ同じ優秀な結果だ。
一方、画面の最高輝度(自動調整機能をオフにしてバックライトを最高に設定)は、297カンデラ/平方メートルと、ノートPCとしてはかなり明るい部類といえる。強化された低反射処理とあわせて、明るい屋外でもある程度の視認性は確保できるだろう。また、色温度はsRGB標準の6500Kに近い6666Kという結果となった。15インチMacBook Pro Retina(以前の実測では6548Kだった)よりもわずかに色温度は高いものの、目視で違いが分かるほどの差はない。総じてクセのない優れたパネルといえる。
一方、色再現性については、Mac OS XのColorSyncユーティリティを用いて、あらかじめ作成したICCプロファイルをsRGB、Adobe RGBのプロファイルと比較している(薄いグレーの部分がそれぞれsRGBとAdobe RGBの色域を示している)。なお、比較対象として15インチMacBook Pro Retinaで測定した結果も並べた。
結果は一目瞭然で、sRGB相当の色域をほぼカバーしているのが分かる。比較として挙げた15インチMacBook Pro Retinaと傾向は似ているが、13インチMacBook Pro Retinaのほうがわずかに色域は狭い。とはいえ、モバイル利用も可能な13型ノートPCとしては十分過ぎるほどで、sRGBクラスの色域を求めるWebデザインなどのクリエイティブ用途にも対応できるはずだ。

作成したICCプロファイルをMac OS XのColorSyncユーティリティでsRGBと比較したグラフ(左が「13インチMacBook Pro Retina」、右が「15インチMacBook Pro Retina」)。わずかにsRGB(薄いグレーの部分)のほうが広いものの、ほぼカバーしている。15インチMacBook Pro Retinaのほうがやや色域が広い
作成したICCプロファイルをMac OS XのColorSyncユーティリティでsRGBと比較したグラフ(左が「13インチMacBook Pro Retina」、右が「15インチMacBook Pro Retina」)
作成したICCプロファイルをMac OS XのColorSyncユーティリティでsRGBと比較したグラフ(左が「13インチMacBook Pro Retina」、右が「15インチMacBook Pro Retina」)
参考までにAdobe RGBとも比較してみた(左が「13インチMacBook Pro Retina」、右が「15インチMacBook Pro Retina」。RAW現像などAdobe RGBクラスの広色域が求められる特定業務用途にはさすがに向かない以上、前回に続き、測色器を用いて13インチMacBook Pro Retinaに搭載された液晶ディスプレイの品質を確かめてきた。整った階調性やクセのない色温度、ノートPCとしては広い色域など、ディスプレイの品質は全般的に高く、15インチMacBook Pro Retinaと同様に、解像度だけではない美しさを証明した形だ。本体サイズや価格を理由に15型のRetinaを敬遠してしまった人は、是非この13型モデルで“なめたくなる”ようなRetinaディスプレイを体験してほしい。
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