WWDC 2012の基調講演で披露され、今週のPC業界の話題を一気にさらった「MacBook Pro Retinaディスプレイモデル」。すぐにオンラインで注文したけどまだ届いていないよー、という人もいるようで、アップルストア銀座には、展示機を一目見ようと連日多くのアップルファンがつめかけている。また、PC USERチャンネルの閲覧ランキングは、WWDC 2012が開催した6月11日(現地時間)以降、WWDC関連記事が上位を独占するほどの人気ぶりだ。
すでにPC USERでは、現地で「MacBook Pro Retinaディスプレイモデル」を入手した林信行氏によるファーストインプレッションを掲載しているが、編集部にも実機が届いたので、カメラマンの矢野氏が撮影した美しい写真とともに、改めて新製品の特徴を振り返っていこう。
まずは外観から見ていこう。MacBook Pro Retinaディスプレイモデルでは、アルミユニボディを再設計し、第3世代Core+Kepler世代の最新GPUを組み合わせた強力な基本システムを、358.9(幅)×247.1(奥行き)×18(高さ)ミリの薄型ボディに収めている。
事前の知識なくこの外観を見たら、中には「新しい15.4型ワイドのMacBook Airが登場したのかな」と思う人がいるかもしれない。それくらい薄く見えるのだ。実際、従来の15型MacBook Proに比べれば6.1ミリも薄型化しており、薄型モバイルノートの代表格であるMacBook Airと比べても、最厚部でわずか1ミリほどの差しかないというから驚かされる。また、本体重量は旧モデルとの比較で540グラムも軽量化した2.02キロとなり、13インチMacBook Proよりも軽くなってしまった。
性能面の関係から、これまでディスクリートGPUを搭載する15型MacBook Proを持ち歩かざるをえなかった人にとっては、すばらしいモデルチェンジだ。
一方、「ポータブル化へのブレークスルーには、過去のレガシー技術を断ち切らなければならなかった」と米Apple製品担当者は説明しており、15.4型ノートPCでありながら光学ドライブを搭載しないという、あまり見かけない構成になっている(ストレージをダブルドライブ構成にして光学ドライブを省いた製品もあるが、15.4型のオールインワンノートPCとしてはかなり珍しい)。
光学ドライブの有無については意見が分かれそうなところだが、Macの場合、ソフトウェアはApp Storeで、コンテンツはiTunesで、ほかのデバイスとの連携はiCloudを介して完結できることを考えれば、光学ドライブを切り捨てる土台はすでに作られているとも言える。1カ月に1度使うかどうかも分からない光学ドライブのために、本体が厚く、重くなってしまうのであれば、思い切って省いてしまうという選択はアリだろう。
振り返れば、かつて「オールインワンノートPC」という言葉は、3スピンドル機(FDD、ODD、HDD)を指していた。今後“光学ドライブを搭載しないオールインワンノート”が当たり前になったとき、その潮流を作り出したのはアップルだったと思い出す日がくるかもしれない。
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