次の時代を切り開く「MacBook Pro Retinaディスプレイモデル」速攻レビュー:WWDC 2012現地リポート(1/3 ページ)

» 2012年06月12日 20時42分 公開
[林信行,ITmedia]

世代を飛び越える感覚

WWDC 2012の基調講演で「MacBook Pro Retinaディスプレイモデル」を紹介するフィル・シラー氏

 「Worldwide Developer Conference 2012」(以下、WWDC 2012)の基調講演で、米Appleワールドワイドマーケティング担当上級副社長のフィル・シラー氏は、まずはじめに「MacBook Air」と「MacBook Pro」がモデルチェンジし、CPUとGPUが大幅に強化されたことを紹介した。それでハードウェアの発表は終わりかと思われたが、次に黒いベールをまとった新製品の登場を告げた。そう、このベールをかぶった製品こそが「MacBook Pro Retinaディスプレイモデル」だった。

 ステージに立つフィル・シラー氏は、MacBook Pro Retinaディスプレイモデルを発表する前振りとしてこう言った。

 「我々は次の世代のノートPCがどうあるべきかを真剣に考えた」

 MacBook Pro Retinaディスプレイモデルは、名前こそ「MacBook Pro」を引き継いでいるものの、彼の言葉通り、まさに新しい時代の幕開けを告げる新時代のノートPCと言える。実際、基調講演での発表から実機に触れるまで、筆者は3度、この製品が“世代飛び越えた”という感触を味わった。

 1度目はその薄く美しいボディデザインを目にしたときだ。話は少し飛ぶが、2012年の1月に米国ラスベガスで開催されたCESという家電のイベントに参加した際、SamsungやLG電子と言った韓国メーカーらが展示した大型液晶テレビを眺めて、フレームを極端に小さくしたデザインに“数歩先”を行っている印象を受けた(そして日本の家電メーカーの製品が急に時代遅れの製品に見えるようになってしまった)。

 MacBook Pro Retinaディスプレイモデルを見たときの感覚もこれに似ている。その薄いボディを1度でも目にしてしまうと、これまでの旧MacBook Proはもちろん、ただ薄さだけで競う他社のUltrabookと呼ばれる製品群も、それこそただ薄いだけの、文字通り薄っぺらい製品に見えてきてしまった(しかもMacBook Pro Retinaディスプレイモデルは、薄いにもかかわらず最高レベルの業務用マシンとしての性能を盛り込んでいるのだ)。

削り出しのアルミボディは非常に堅牢。アップル本社内では、本体をねじるなどのテストをして頑丈さを確かめているようだ(写真=左)。Final Cut Proの編集画面。右上のプレビュー映像が縮小表示をしないフルHD解像度になっている。15型ディスプレイのほんの片隅に表示できてしまうというあたりにRetinaディスプレイのすごさを感じ取ってもらえるはずだ(写真=右)

早速開封。箱のシンプルさは従来通りだ

 2度目は、同製品の目玉でもあるRetinaディスプレイの表示を見たときだ。このゴチャゴチャと文字だらけのITmediaのトップページでさえ、Retinaディスプレイで表示すると美しく、愛おしくさえ思えてくる。

MacBook ProのRetinaディスプレイでITmediaのトップページを表示

 そもそも紙の出版物なら、文字が主体でも印刷の品質がよければ、それなりに美しいと感じられるところがあった。しかし、PCで文字の多いWebページを表示すると、なんだか汚らしい印象がある。これはあのギザギザの文字にも原因があるかもしれない。一方、(15インチサイズの画面を眺める際の一般的な距離からであれば)けっしてドットを認識できないRetinaディスプレイなら、文字中心のWebページでも十分鑑賞に堪えることが分かった(※1)。

 もちろん、Retinaディスプレイは文字表示のためだけのものではない。デジタルカメラで撮影した写真もこのディスプレイなら写真上の細かなディテールまで見逃すことなく確認できる。2880×1800ドットという解像度は518万4000画素、つまり500万画素のデジタルカメラで撮影した写真なら、縮小表示することなく見ることができるのだ。500万画素というと、1000万画素クラスが当たり前となった最近のデジタルカメラと比べて画素が少ないと思うかもしれないが、以前はこの解像度があれば十分雑誌の写真として使うことができた。実は3月に発表されたばかりの「新しいiPad」に内蔵されているiSightカメラがちょうど500万画素。そして多くの人が「新しいiPadはカメラがきれい」と言って、これで写真を撮っている(世界の有名観光地に出かけてみよう。必ず2〜3人はそうした人を見かけるはずだ)。

ThunderboltとUSB 3.0を2基ずつ搭載。ボディ厚は約18ミリと6.1ミリ薄型化した

 さて、MacBook Pro Retinaディスプレイモデルで隔世感を感じた3つ目のできごとは、システムプロフィールで、ATA機器もイーサネットも内蔵していないという表示を見たときだ。

 アップルは、時折、未来に向けて大きく羽ばたくために、過去のテクノロジーを潔く切り捨てる。1998年に登場したiMacでは、アップルが世界に広げた3.5インチのフロッピーディスクドライブとSCSIポート、シリアルポートを切り捨て、モダンIOと呼ばれる技術の躍進に一役買った。第3世代目のiPodでは、初代iPodが採用したFireWireを切り捨て、今のiPhoneのドック端子につながる30ピンコネクタを誕生させた。

 そしてMacBook Pro Retinaディスプレイモデルでは、シリアルATA接続のHDDやFireWire端子、イーサネットポートが切り捨てられ、その代わりに、どうしてもそうした機器を使いたい人のためにThunderbolt端子に接続するGigabit Ethernet用とFireWire 800用のアダプタを別途用意した。

旧MacBook Pro 15インチモデル(筆者所有の2009年モデル)との比較。旧モデルは液晶ディスプレイの端を薄くすることで薄く見せていたが、Retinaディスプレイモデルは中央部分も含めて本当に薄い(写真=左)。これまでキーボードの脇にあった電源ボタンが、アルミ削りだしボディ(ユニボディ)の作り直しにあわせて、キーボード内に統合された(写真=右)

システムプロフィールの画面。イーサネットポートやFireWireは省かれ、アダプタ経由で提供される

電源アダプタは、磁石で吸い付き、コードに足をひっかけてもスパっとはずれて本体を机から引きずり落したりしないMagSafe端子なのは従来通りだが、MagSafe誕生以来、初めてポートの形状が変わった。新MacBook Proの薄さを実現するには、従来のMagSafeでは厚すぎたという。端子部分がメタリックになっているので、すぐに旧アダプタと区別がつく

※1、Retinaディスプレイにかんする記述で、一部不適切な表現を訂正しました
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