これまでちょっと冒険をして、初代iMacやiBook、Mac mini、MacBook Airといった、新しい時代を切り開いてきたマシンを手にした人たちは、次の10年を先取りするマシンとして、MacBook Pro Retinaディスプレイモデルも是非入手してほしい。同製品の発表にあわせてMacBook Proから17インチモデルが消え去ったことを悲しむ人もいるかもしれないが、そうした人たちはRetinaディスプレイモデルを買うべきだ。
もしハイビジョン映像の編集をしたいのであれば、実はMacBook Pro Retinaディスプレイモデルのほうが、はるかに解像度が高い(30型ワイドディスプレイを含む、これまでアップルが出してきたディスプレイの中でも、最も解像度が高い)。スピーカーの品質もこちらが上だ。バッテリー駆動時間も公称値(Webブラウジングをしながら測定)で約7時間を確保しており、17インチモデルの存在意義は物理的なスクリーンの大きさくらいしかなさそうだ。荷物を重くしたい、などという特殊な理由がない限りは、17インチモデルを買う理由は見当たらない。また、どうしても荷物を重くしたいという人は、外付けの光学ドライブや、Gigabit Etherネット、FireWire 800のアダプタを一緒に持ち歩くことを検討してみるといいかもしれない。


Retinaディスプレイの搭載で、システム環境設定の「ディスプレイ設定」が大きく変更された。高解像度を生かして、画面に文字やアイコンといった情報をより多く表示する1920×1200ドット相当の表示モードから、文字などを1024×640相当で大きく表示するモード、標準の1440×900相当の表示モードと、5段階で切り替えられる(※ディスプレイ設定の記述に誤りがありました。おわびして訂正いたします)MacBook Pro Retinaディスプレイモデルは、これから数年先、時代をリードするノートPCとなることだろう。他社のマシンがこれに追いついくには、しばらく時間がかかるかもしれない。例えば、Retinaディスプレイの採用1つをとってもそうだ。中には、これを単に「アップルが高解像度の液晶パネルを調達して、はめ込んだだけ」のニュースだと思っている人がいるかもしれない。しかし、それは間違いだ。
アップルは、4倍の解像度を持つ液晶パネルを採用し、従来よりも負荷がかかる画面描画をきちんとこなしたうえで、体感できるパフォーマンスの向上も得られるように、ほかのハードウェアスペックも大幅に強化した。それだけではなく、OSの側でもRetinaディスプレイの解像度をサポートできるように変更を加え、さらにはSafariをはじめとする付属アプリケーションすべてをRetinaディスプレイの解像度に対応させている。
たとえ他のハードウェアメーカーと、OS提供者と、サードパーティの開発者が、どんなにうまく協力体制を築いたとしても、ここまで一気にことを進めるのには、それなりの時間がかかるはずだ。やはり、ハードもOSも、そして一部の人気アプリケーションも1社で作っているアップルだからこそ、時間の針を先へと進めやすい部分があるのだろう。MacBook Pro Retinaディスプレイモデルは、まさにそうした“アップルらしさ”をうまく象徴した、時代の節目を感じさせるマシンだ。未来への予感に満ちたこの新しいMacBook Proは、これから未来を切り開く先鋭的なクリエイターにとって、シンボル的存在になることだろう。
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