“Sandy Bridge”な「MacBook Air」を新旧比較(後編)Windows機としての実力は?(1/2 ページ)

» 2011年07月27日 16時20分 公開
[後藤治(撮影:矢野渉),ITmedia]

後編はWindows 7をインストールして実力検証

 前編に続いて、11インチ/13インチMacBook Airの両方にWindows 7をインストールし、各種ベンチマークテストでWindows機としての実力を見ていく。今回実施したPCMark05、PCMark Vantage、3DMark06では、比較対象として旧11インチモデルの「MC506J/A」と、ソニーの新型「VAIO Z」(VPCZ219FJ/B)を挙げている。旧モデルとの比較によって、CPUとともにGeForce 320MとIntel HD Graphics 3000の差、VAIO Zとの比較では通常電圧版Core i5との差が分かるはずだ。

 また、新型VAIO Zの店頭モデルは、外付けGPUを内蔵するドックが付属するとはいえ、価格は25万円前後と高級モバイルノートPCの部類に入る。一方のMacBook Airは、最も安いモデルが8万4800円と完全にエントリーモデルの価格帯だ。この辺りのコストパフォーマンスも気になるところだろう(実際、新型MacBook Airの発売と同時に、従来のエントリーをカバーしていたMacBookは一般販売を終了し、教育関係機関向けのみの販売に変更された)。

 なお、VAIO Zのベンチマークテストはドックを外した単体で計測している(薄型軽量ノートPC単体でのパフォーマンスを比較するため)。また、ドライバのバージョンなど、比較機種で環境が完全にそろっているわけではないので、参考程度に見てほしい。各モデルの基本的なスペックは以下にまとめた。

比較したモデル
製品名 新型11インチ(MC968J/A) 新型13インチ(MC965J/A) 旧型11インチ(MC506J/A) VAIO Z VPCZ219FJ/B(単体)
CPU Core i5-2467M(1.6GHz) Core i5-2557M(1.7GHz) Core 2 Duo SU9400 (1.4GHz) Core i5-2410M (2.3GHz/最大2.9GHz)
TDP 17W 17W 10W 35W
メモリ 2GB(DDR3-1333) 4GB(DDR3-1333) 2GB(DDR3-1066) 4GB(DDR3-1333)
グラフィックス Intel HD Graphics 3000 Intel HD Graphics 3000 GeForce 320M Intel HD Graphics 3000
SSD 64GB 128GB 128GB 128GB(64GB×2/RAID 0)
液晶ディスプレイ 11.6型ワイド 13.3型ワイド 11.6型ワイド 13.1型ワイド
解像度 1366×768 1440×900 1366×768 1600×900
価格 8万4800円 11万800円 10万8800円 25万円前後(ドックあり)
※VAIO Zの店頭向け標準仕様モデル「VPCZ219FJ/B」はドッキングステーションが標準添付となるが、直販のVAIOオーナーメードモデル「VPCZ21AJ」(14万4800円〜)は基本スペックのカスタマイズやドッキングステーションを省いた構成が可能

CPU処理性能はほぼ2倍、世代の差を見せつける結果に

 まずはWindowsエクスペリエンスインデックスの結果からだ。画面の通り、CPUは11インチの「MC968J/A」が6.3、13インチの「MC965J/A」が6.6と、CPUクロックの差が出ている。HDDのスコアも、ストレージにSSDを採用するMacBook Airの結果は良好だ。グラフィックスで若干予想外の値が出ているものの、いずれにしてもWindows 7を快適に操作できる性能は十分に持っているといえる。

CPU-Zの画面。左が11インチ、右が13インチモデル。ともにTDP 17ワットのCore i5を採用しているのが分かる

Boot Campのバージョンは4.0(ビルド4131)(画面=左)。Windowsエクスペリエンスインデックスの結果。11インチモデル(画面=中央)と13インチモデル(画面=右)

 次にPCMark05を見ていこう。CPUスコアは、通常電圧版のCore i5-2410M (2.3GHz/最大2.9GHz)を搭載するVAIO Zがトップに立ったが、MacBook Airもそれほど大差をつけられているわけではない。また、超低電圧版のCore 2 Duoを搭載する旧11インチと比較すると、実に2倍近いスコアを叩きだしているのが分かる。SSDの性能も、RAID 0構成のVAIO Zが頭一つ抜けているものの、新旧モデルの比較では新型のほうが良好なスコアだ。その一方で、Graphicsのスコアはほぼ横並びという結果になった。NVIDIAのチップセット統合グラフィックスであるGeForce 320Mの優秀さが目立つ。

 PCMark Vantageもほぼスペックに準じているが、ライト速度で劣るVAIO ZのSSDが足を引っ張ったためか、総合スコアはSandy Bridge世代のマシンできっ抗した。8万4800円で購入できる11インチMacBook Airのコストパフォーマンスが光る結果だ。ちなみに、ここでも旧MacBook Airは大きく引き離され、新型MacBook Airの「最大2.5倍高速」といううたい文句を裏付けている。

 一方、グラフィックスを測定する3DMark06では状況が逆転し、CPUで2倍近くの差をつけられた旧11インチモデルが、総合スコアでは新型を上回った。前編で紹介したように、Sandy Bridgeによってエンコードなどの処理性能は大幅にアップしたものの、インテルのCPU統合グラフィックスに3D描画性能を期待するのは酷かもしれない。このクラスのモバイルノートPCでゲームをしたいと考えるユーザーがどれだけいるかは不明だが、その点に関しては50歩100歩といえ、旧型ユーザーががっかりすることはないだろう。

PCMark05(画面=左)。PCMarkVantage(画面=中央)。3DMark06(画面=右)

 なお、システムに高い負荷をかけるベンチマークテスト中は、11インチ/13インチのいずれも冷却ファンが盛大に回転し、ややうるさく感じられた。キーボード奥の液晶ヒンジ部もかなり熱を帯びるので、これからの季節、室内の空調管理には気をつけたほうがいいかもしれない。

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