11インチMacBook Airを徹底比較そんなスペックで大丈夫か?(1/3 ページ)

» 2010年10月29日 17時30分 公開
[後藤治(撮影:矢野渉),ITmedia]

MacBook Airに待望の11.6型ワイドモデルが登場

MacBook Air

 新型「MacBook Air」の発売からほぼ1週間が経過した。事前のウワサ通り、米国で行われた「Back to the Mac」イベントでは、新しいMacBook Airのラインアップにこれまでの13インチよりも一回り小さな11インチモデルが追加された。4月の「MacBook Pro」、5月の「MacBook」からだいぶ間が空いたが、これから迎える年末商戦に向け、今回のアップデートでようやくMacBookファミリーの新ラインアップがそろった形だ。

 アップルが「iPadの特徴を取り入れた」と語る新型MacBook Airボディは、厚さが約17ミリ、11インチモデルの重量は約1.06キロと、これまでになく薄く、そして軽い。Windows機であれば選択肢の多いこのクラスのノート型Macの登場は、特に日本のMacユーザーにとっては“待望”のモデルといえるだろう。実際、MacBook Airが発売された10月21日のアップルストア銀座では、入荷からわずか数時間で最も安価な11インチモデルの「MC505J/A」が売り切れたという。もちろんこれは、従来の“高級モバイルノートPC”というイメージを覆す、8万8800円という価格設定が大きな要因の1つだが、いずれにせよ、この新しいMacBook Airが今最も市場で注目されているノートPCであることは間違いない。

 ここでは11インチMacBook Airを取り上げ、実際の使用感やベンチマークテストによるシステム性能の評価を行っていく。また、CPUやメモリなどのスペックをCTOで強化できる部分は、より上位のものを選択した別モデルを参考として用意したほか、Windows 7環境下でのベンチマークテストも実施している。

アルミから削り出した頑丈なボディは健在

おなじみのアルミユニボディ

 まずは外観から見ていこう。今でこそMacの多くが採用しているユニボディだが、アルミから削り出したこのデザインは、もとは2008年に登場した初代MacBook Airで生まれたものだ。ほぼ2年9カ月ぶりのメジャーアップデートとなる今回は、酸化皮膜処理を施したアルミニウムの金属的な質感や、本体背面から先端に向かってボディが薄くなるくさび形の形状を踏襲する一方で、緩やかにわん曲していた側面をほぼ垂直に切り落とす形となった。これはちょうど、iPhone 3GSとiPhone 4の側面の関係に似ている。また、外から見ても分からないが、ディスプレイの外装も1枚のアルミから削り出した構造になり、さらに薄くしたうえで強度を増したという。実際に手に持ってみると、最も薄い部分を指でつまんでも少しもたわむことがなく、非常にカッチリと作られているのが分かる。アルミニウムの冷たい触り心地はいかにも金属の板という印象で、マグネシウム合金のプラスチックに似た感触とは明らかに違う。

本体の厚さは約3〜17ミリ、実際に薄いボディをデザインが強調している

 11インチMacBook Airの重量は前述したように約1.06キロだ。13インチモデルは、旧モデルが1.36キロ、新モデルが1.32キロと、モバイルPCでは一般的な目安となっている3ポンド(約1.36キロ)前後だったが、この11インチモデルは日本のユーザーの目にもはっきりと軽量モバイルPCとして映る1キロまで絞り込んでいる。

 また、最薄部がわずか3ミリの非常に薄いボディも特徴だ。液晶ディスプレイを囲む枠が太いため(パネルの端から外枠まで左右各21ミリ、上19ミリ)、設置面積は299.5(幅)×192(奥行き)ミリと11型クラスのノートPCにしてはやや大きめだが、本体が薄いことでカバンへの収納や取り出しはスムーズに行える。このあたりの感覚はiPadを持ち運んでいる人ならほぼ同じと考えて問題ない。

15インチMacBook Proとフットプリントを比較。左が11インチMacBook Air(写真=左)。iPadとサイズを比較。左が11インチMacBook Air(写真=右)

写真で厚さを比較。上からiPad、11インチMacBook Air、15インチMacBook Pro

 インタフェースは、2基のUSB 2.0を左右側面に振り分け、右側面奥にMini DisplayPort出力(別売のアダプタでDVI、デュアルリンクDVI、アナログRGB、HDMIの出力に対応)、左側面に無指向性マイクとヘッドフォン出力端子、MagSafeコネクタを並べる。また、液晶上部にFaceTimeカメラ、キーボード直下にスピーカーを内蔵している。必要最低限に絞った非常にシンプルな構成だが、2基めのUSB 2.0が搭載されたのは、特に有線LAN(オプションのUSB Ethernetアダプタ)でUSBが常時占有されるようなユーザーにとっては朗報だろう。また、カッコイイが実用的でなかったコネクタのカバーも省かれて、取り回しがしやすくなった。とはいえ左側面のMagSafeコネクタとUSB 2.0の間隔はかなり小さい(間隔は約5ミリ、MagSafeコネクタのはみ出る部分が約1.5ミリなので実質3.5ミリ)ので、大きめのUSBメモリなどを挿す場合は干渉することがあるかもしれない。

本体前面/背面

本体左側面/右側面

リカバリーメディアはUSBメモリで提供されている。従来のインストールDVDが付属しないため、BootCamp環境でWindowsをインストールする際はドライバを用意する必要がある(写真=左)。バッテリーは内蔵タイプで着脱はできない。本体底面は10本のネジでとめられているが星形の特殊な形状だ(写真=右)

液晶ディスプレイとキーボード&トラックパッドをチェック

1366×768ドット表示に対応した11.6型ワイド液晶を搭載する。ディスプレイユニット自体が非常に薄いが上部にはきちんとFaceTimeカメラが埋め込まれている

 11インチMacBook Airに搭載される液晶ディスプレイは、1366×768ドット表示に対応した11.6型ワイドの光沢パネルだ。解像度は13インチMacBookの1280×800ドットを上回っており、11.6型ワイドながらデスクトップ領域は意外に広く、ディスプレイのサイズを感じさせない。

 光沢パネルはバックライトを消すと自分の顔がはっきり見えるくらい映り込むため、視認性の面では屋外での利用に適しているとは言い難いが、その分写真などを表示した際の見栄えはよく、より広い層へ向けた低価格なモバイルノートPCとしては妥当な選択といえる。どうしても気になる人はサードパーティ各社から登場すると思われるアンチグレアフィルムを張るといい。

 なお、ディスプレイの枠は旧MacBook Airと同様にシルバーで、全面をガラスで覆ったMacBook/MacBook Proとは異なる。黒い枠の後者のほうが表示したコンテンツへの没入感は高いが、これは好みによる部分も大きいだろう。ただ、ボディ全体のサイズに比べて液晶ディスプレイの額縁がやや広めなので、キーボードの左右外側の余ったスペース分くらいまではスリム化してほしかった。ちなみに、ディスプレイ枠の上側左右は磁石が埋め込まれている(クリップや鉄の定規を近づけると吸着する)。これまで同様、液晶ディスプレイの開閉はラッチレスで、机上にMacBook Airを置いた状態でも、ボディを手で押さえずに指1本ですっとディスプレイを開くことができる。

11.6型クラスながら余裕のあるキーボードと広いトラックパッドを搭載する

 一方キーボードは、主要キーを19ミリピッチ、キートップのサイズを15ミリ正方でそろえている。キーの間隔を空けたいわゆるアイソレーションタイプで、モバイルノートPCながら余裕を持ってタイプを行える。ストロークは浅く、すぐに底を打つ感覚が指に返ってくるが、かなり強めにタイプしてもボディがたわんだりはしない。このあたりはさすがアルミユニボディだ。最上段に並ぶファンクションキーは、縦のサイズが約5ミリと非常に細いが、キーどうしのすき間があるため押し間違う心配もない。ちなみにキートップは黒地にシルバーで印字されており、キーボードバックライトが文字を透過する従来機とは異なる。キーボードバックライトが省かれたのはコストを抑えるためだと思われるが、その実用性はさておき、かつての“高級機”としての面影が失われたのはやや寂しいところだ。

 定評のあるガラス製トラックパッドも、ほかのMacBookファミリー同様、4本指までのすべてのマルチタッチ操作に対応している。パッド自体がボタンを兼ねているため、入力領域は105ミリ(横)×63ミリ(奥行き)と、11.6型クラスのノートPCとは思えないほど広い。こと入力環境に関しては、窮屈になりがちなモバイルPCとしての制限をまったく感じない仕上がりといえる。

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