「MacBook」か「MacBook Pro」か、それが問題だ13型MacBookファミリーを比較(1/3 ページ)

» 2010年07月08日 12時44分 公開
[後藤治(撮影:矢野渉),ITmedia]

見た目は違うけど性格はそっくりな「MacBook」と「MacBook Pro」

MacBook(MC516J/A)

 アップルがノート型MacとしてラインアップするMacBookファミリーは、MacBook、MacBook Pro、MacBook Airという3つの製品群で構成されている。いずれもMacの魅力を十分に堪能できるオールインワンパッケージだが、このうちエントリー向けのMacBookは、「これからMacをはじめよう」と考えている人にまずオススメしたいモデルだ。13型ワイド液晶を搭載するボディは、ときどきカバンに入れて持ち歩いたり、書斎や寝室、リビングルームと、部屋を移動しながら使う個人用マシンとしてうってつけだし、何より9万4800円(Apple Store価格)という価格設定が大きな魅力となっている。

 ただしここで問題になるのが、予算を2万円上乗せすると手が届く13型MacBook Proの存在だろう。従来のMacユーザーにとって“Pro”の名はそれだけでプレミアムな響きをもっていたが、現行ラインアップを眺めると、MacBook(MC516J/A)とMacBook Pro(MC374J/A)の性能差はほとんどないと言っていい。もちろん、MacBookの外装がポリカーボネート素材であるのに対し、MacBook Proはアルミを採用するなど見た目の違いはあるものの、一体成形のユニボディデザインや、LEDバックライトを搭載した13.3型ワイドの光沢液晶(1280×800ドット)、本体に内蔵されたロングライフバッテリーなど、その特徴は驚くほどよく似ている。

MacBook Pro(MC374J/A)

 この点は基本スペックも同様だ。下に掲載した画面の通り、両モデルともに45ナノメートルプロセスルールのCore 2 Duo P8600(2.4GHz)を搭載し、グラフィックスにはNVIDIAの統合型グラフィックスコアであるGeForce 320Mを採用、250GバイトのHDDと8倍速のスロットローディング式SuperDriveを備える。ちょうどそれぞれの旧モデルが、GeForce 9400Mベースでほぼ同じ仕様だった関係を引き継いだ格好だ(ちなみに先日レビューしたMac miniも同等の基本システムを採用している)。

 見た目の印象がかなり異なるとはいえ、想定される用途から見れば、ほとんど双子といってもよさそうなMacBookと13型MacBook Pro。Arrandale世代に移行した15型/17型MacBook Proに比べて差別化のポイントが少ないため、2万円の価格差をどこに見出すか、どちらを購入するかで迷っている人も多いだろう。そこで今回は、最新MacBook/13型MacBook Proの強化点を振り返りながら、改めて両モデルの違いについて見ていく。また、性能差を検証するためにMac OS XとWindows 7の両環境下で定番ベンチマークテストも実施した。

CPU-Zの画面。左がMacBook(MC516J/A)、右がMacBook Pro(MC374J/A)

GPU-Zの画面。左がMacBook(MC516J/A)、右がMacBook Pro(MC374J/A)

継ぎ目のないユニボディデザイン――ポリカーボネートとアルミニウム

 MacBookとMacBook Proで最も分かりやすい違いといえばやはり外観だろう。一体成形による継ぎ目のないボディを実現したユニボディデザインは、今やMacBookファミリーだけでなく小型デスクトップPCの「Mac mini」も採用しているが、その中で唯一、素材にポリカーボネートを用いているのがMacBookだ。

光沢感のあるMacBookと、金属の質感を持つMacBook Pro

 酸化皮膜処理を施したアルミボディに比べて、ポリカーボネートの外装は光沢感があり、実際の手触りもまったく異なる。特にこれを意識するのは、キーボードを打つ際に手のひらをパームレストにのせたときで、アルミのMacBook Proが比較的サラサラとした手触りであるのに対し、MacBookはやや吸いつくような感触になる。手のひらに汗をかきやすい夏場はわりと気になるかもしれない。

 また、本体に光があたるとMacBook Proの場合はボディの曲線にあわせてかすかにグラデーションを描くが、MacBookはほぼそのまま光を反射する。デザイン上の優劣は個人の好みによるところが大きいとはいえ(真っ白で清潔感のあるMacBookを好む人もいる)、高級感という点では金属的な質感を持つMacBook Proに軍配が上がりそうだ。このほか細かいところでは、液晶ディスプレイの額縁が黒いMacBook Proのほうが、写真や動画を表示した際に没入しやすいと感じた。

省電力なLEDバックライトを採用した13.3型ワイド液晶ディスプレイを搭載。液晶上部にWebカメラを内蔵するのもこれまでと同じだ。なお、MacBook Proの液晶ディスプレイは、表示部分と額縁が1枚のガラスで覆われ、フラットになっている(MacBookは段がある)

 一方、入力環境はほぼ共通化されており、特にマルチタッチに対応したガラス製トラックパッドは非常に使いやすい。1本指から4本指までさまざまなジェスチャーに対応し、さらにボタンとしても機能するこの広くて多機能なパッドは、MacBook/MacBook Proを魅力的にしているギミックの1つだ。もちろん、Windows環境でも、2本指を使った上下スクロールや、2本指でのパッド押下による右クリックなどが利用でき、Boot CampでWindowsをメインに使っているユーザーにとっても有用だろう。

 キーボードも十分なサイズを確保しており、つや消し塗装のキートップは手触りもよく快適にタイプできる。ただし、MacBookとMacBook Proの違いとして、キーボードバックライトの有無がある。環境光センサーが周囲の明るさを検知し、暗闇で自動的に光りはじめるこのキーボードは、かつてMacBook Proの中でも差別化のポイントとなっていただけに気になる人も多いのではないだろうか(光るキーボードを自慢したいがためにProの上位モデルを買った人もいるはず)。ちなみに、キートップの色はMacBookが白、MacBook Proが黒で、前者はやや汚れが目立ちやすい。

主要キーを19ミリピッチでそろえたキーボード(キートップは15ミリ×15ミリの正方形)。細かく見るとF5とF6の印字が異なるが、これはキーボードバックライトの有無による。マルチタッチに対応したトラックパッドのサイズは105(横)×76(縦)ミリと広く使いやすい。ガラスのすべりも絶妙だ。なお、MacBookは今回から慣性スクロールに対応している

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