製品名を見れば分かるように、MacBook Pro Retinaディスプレイモデルの最大の特徴は、ノートPCでは世界最高解像度となる2880×1800ドット表示(220ppi)の液晶ディスプレイだ。画面サイズの小さなiPhone 4/4S(326ppi)や新しいiPad(264ppi)に比べると表示密度では劣るものの、15.4型ワイドの画面を眺める一般的な距離からであればドット感はまるでなく、画面に表示されたテキストがまるで印刷された紙のように見える。まさに「Retinaディスプレイ」だ。
また、視野角の広いIPSパネルを採用したほか、コントラスト比も向上し、黒の締まったより深みのある色になっている(これについては専用の測色機を用いた検証を別記事で行う予定だ)。
一方、クリエイター向けの「Pro」を冠したラインアップとして、非光沢パネルの選択肢がなくなった点は、人によってはやや残念だと感じるかもしれない。ただ、通常のMacBook Proに比べれば反射率は抑えられており、以前に比べて映り込みは明らかに軽減されている。ここでは非光沢パネルを搭載した15インチMacBook Proと、光沢パネルの13型MacBook Airを並べて映り込みを比較しているので参考にしてほしい。

CTOで1680×1050ドット表示の非光沢パネルを選択した15インチMacBook Proと比較。標準の15インチMacBook Proは1440×900ドットの光沢パネルなので、デザイン関係のユーザーは上記の構成にカスタマイズしている人が多いが、それと比べても圧倒的に解像度が高い(写真=左)。1440×900ドットの13型MacBook Airのデスクトップ領域は、Ratinaモデルの4分の1でしかない(写真=右)
MacBook Pro Retinaディスプレイモデル(写真=左)と、13インチMacBook Air(写真=右)の視野角を比較。IPSパネルを採用したRetinaモデルは、横からみても色が変わらない
MacBook Pro Retinaディスプレイモデル(写真=左)と、13インチMacBook Air(写真=右)で、テキストエディットに9ptの文字を表示したときの比較。Retinaモデルでは、非常に小さなテキストもつぶれずにきちんと判別できる
MacBook Pro Retinaディスプレイモデルの映り込みを、非光沢パネルの15型MacBook Pro(写真=左)と、光沢パネルの13インチMacBook Air(写真=右)と比較した。さすがに非光沢仕様のパネルにはかなわないが、光沢パネルに比べれば映り込みは低減しているちなみに、MacBook Pro Retinaディスプレイモデルでは、これまで液晶ディスプレイ下の黒枠にあった「MacBook Pro」の文字が取り払われている(実はロゴが底面に移動している)。これに対して、米アップルの製品担当者は「Retinaモデルでは何よりもその美しい画面への没入感を大事にし、これを妨げるものはユーザーの視界から極力排除した」と説明している。まず第一にユーザー体験を優先して、製品名のロゴでさえ(普段は誰にも見えない)底面へ移動してしまうという点にも、MacBook Pro Retinaディスプレイモデルの特別さを感じる。
以上、MacBook Pro Retinaディスプレイモデルの特徴を写真で見てきた。価格は下位モデルでも18万4800円と安くはないが、かつてクリエイター向けブランドとしての「Pro」の文字に憧れを抱いたような、「MacBook ProらしいMacBook Pro」が久々に登場したと思わせてくれる。特に15.4型ワイドサイズのRetinaディスプレイに表示された写真の美しさは、買う予定がなくても一見の価値がある。是非店頭に足を運んで眺めてみてほしい。
さて、次回はサーモグラフィや騒音計、測色器を使って、MacBook Pro Retinaディスプレイモデルを詳しく見ていこう。
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