「Iconia W3-810」実力診断――世界初“8.1型”Windows 8タブレットは使えるか?Office付きで6万円前後(1/3 ページ)

» 2013年07月08日 19時15分 公開
[鈴木雅暢(撮影:矢野渉),ITmedia]

Windows 8タブレットが待望の小型化

 Windows PCはiPadやAndroidタブレットより大きく重い――それは既に過去のことだ。

 2012年にインテルが省電力のSoC(System On Chip)として、Clover TrailことAtom Z2760(1.8GHz)を開発してから、Windows 8タブレットはiPadやAndroidタブレット並にボディを小型化できるようになっている。

 しかし、これまでWindows 8タブレットは10型クラス以上の製品ばかりで、iPad miniやNexus 7のような小型のタブレットは存在しなかったため、携帯性を重視するユーザーには物足りなかった面もあっただろう。

 そんな中、日本エイサーは世界初となる8.1型のWindows 8タブレット「Iconia W3-810」を7月11日に発売する(2013年6月4日現在、同社調べで世界初)。液晶ディスプレイの表示解像度は1280×800ドットで、アスペクト比は16:10だ。SoCはもちろん、Atom Z2760(1.8GHz)を採用する。

日本エイサーが7月11日に発売する8.1型のWindows 8タブレット「Iconia W3-810」。32ビット版Windows 8、Microsoft Office Home and Business 2013を搭載した構成で、実売価格は6万円前後と安い

 Windows 8のフル機能を備えていながら、ダントツでコンパクトなボディは実に新鮮だが、実際の使い勝手や放熱の具合、バッテリー駆動時間などは気になるところだろう。実機を入手できたので、じっくり検証してみよう。

片手で持って使える新感覚のWindows 8タブレット

片手で握って触れるWindows 8は新鮮な感覚だ

 最大の特徴は、そのボディサイズだ。本体サイズは横位置の状態で219(幅)×134.9(高さ)×11.4(厚さ)ミリ、縦位置の状態で134.9(幅)×219(高さ)ミリとなる。

 縦位置での幅は、7.9型4:3液晶を搭載するiPad miniとほぼ同じ(0.2ミリ長い)で、7型16:10液晶を備えたNexus 7より14.9ミリ長い。成人男性ならば、多くの方が片手で両端を握って持てるだろうが、手が小さい方はそのように持つのが厳しいサイズだ。7型クラスのAndroidタブレットほど小さくはないが、このサイズ感はこれまでのWindows 8搭載機にはないものだけに、実に新鮮な驚きがある。

 重量は約500グラムで、500ミリリットルのペットボトル飲料とほぼ同じだ。実測では497グラムと500グラムを切っていた。

 ボディの端だけを握って持っていると少し重く感じるが、指をかけて下から支えるようにしたり、手の平に乗せるように持てば負担も軽減される。画面サイズが小さな約308グラムのiPad mini(Wi-Fiモデル)や約340グラムのNexus 7などと比べた場合、さすがに多少重く感じるが、Windows 8マシンとして考えると、片手で持って使えるこの大きさと重さは画期的だ。

7型AndroidタブレットのNexus 7(右)とサイズを比較した。Iconia W3-810は画面サイズが8.1型と大きいぶん、縦位置で横幅が14.9ミリ、高さが20.5ミリ長い。厚さはほとんど同じだが、Iconia W3-810のほうが0.95ミリ厚くなっている

縦位置での利用を意識した設計、Windows 8タブレットとして十分な装備

 ボディのデザインはシンプルだ。四隅に丸みを持たせたスレート型のフラットなフォルムで、Windowsロゴのボタン付近だけ軽く絞っている。カラーは液晶ディスプレイのフレーム外側を含めた側面がホワイトで、裏面はシルバーを採用している。

 Acerロゴは横位置で正しく見えるよう配置されているが、画面側のカメラ、Windowsボタンともに短辺側にあり、縦位置での操作を意識していることが伺える。ステレオスピーカーもやはりWindowsボタンがある短辺の左右に内蔵されている。

 もっとも、Windowsボタンの位置は、横位置の両手持ち状態でちょうど右手の親指で押すにもちょうどいい。デザイン的にもそれほど偏った印象はなく、横位置でも縦位置でも特に違和感なく操作できる。

ボディ正面はホワイトの枠で囲まれ、Windowsボタン周辺だけホワイトの枠が太くなっているのが特徴的だ(写真=左)。側面はホワイト、裏面はシルバーを採用しており、向かって右上にアウトカメラ、右に鏡面仕上げの「acer」ロゴがあしらわれている(写真=右)
横位置で表示。スタート画面は縦に3段タイルが並ぶ(画像=左)。デスクトップ画面は指でタッチ操作ができるギリギリのサイズに思える(画像=右)
縦位置での表示。スタート画面は横方向にスクロールするUIなので、スクロール量が多くなりがちだ(画像=左/中央)。デスクトップ画面もかなり縦長になる(画像=右)
横位置でも縦位置でもスタート画面のタッチ操作はスムーズに行える

 本体の側面には、電源ボタンとボリューム調整ボタンのほか、Micro HDMI出力、Micro USB 2.0、SDXC対応microSDカードスロット、ヘッドフォン出力端子を備える。また、画面側と背面側にそれぞれ200万画素のカメラを装備している。Micro HDMIやMicro USB 2.0の変換ケーブルなどは付属しない。

 通信機能は、IEEE802.11b/g/nの無線LAN、Bluetooth 4.0+HSを標準装備。照度センサー、ジャイロスコープ、加速度センサー、電子コンパスといったセンサー類も一通り備えており、Windows 8タブレットとして十分な装備だ。

 無線LANが5GHz帯に対応しない点やアウトカメラの画素数が200万画素という点は、やや物足りなく感じる方がいるかもしれないが、microSDカードスロットを搭載しており、ストレージを拡張できる点はよい。

横位置の状態で上面にSDXC対応microSDカードスロット、音量調整ボタンを配置(写真=左)。下面にインタフェース類はない(写真=右)
左側面にMicro HDMI出力、Micro USB 2.0、電源ボタンを備えている(写真=左)。右側面にステレオスピーカー、ヘッドフォン出力、ACアダプタ接続用のDC入力が並ぶ(写真=右)。つまり、ステレオスピーカーは縦位置で使った場合に正しい向きになる設計だ

 内蔵バッテリーは2セルで、容量が25ワットアワー、公称バッテリー駆動時間が最長約8時間とされている。ユーザーによるバッテリーの交換は行えない。

 充電は専用のDC入力端子から専用ACアダプタを利用して行なう。付属のACアダプタはサイズが27(幅)×49〜65(奥行き)×61(高さ)ミリ、重さが約100グラムとなかなかコンパクトだ(奥行き65ミリはプラグまで含めた長さ)。ACアダプタの出力仕様は12ボルト/1.5アンペアで、Micro USB経由での充電ができないのは惜しい。

 オプションには、専用Bluetoothキーボードや専用ケースなどが用意されている。いずれもスタンドになる機能的なオプションだ。特にボディをスマートに収納できるBluetoothキーボードは注目のオプションだが、発売予定が7月中旬以降ということで、今回は試用できなかった。

付属のACアダプタを本体のDC入力端子に接続して充電する(写真=左)。オプションで用意される専用Bluetoothキーボードはスタンド機能を持ち、キーボードの裏に端末を装着して持ち運べる(写真=中央/右)

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