←・【前回記事】VAIO Tap 11をもっと知りたい(使い勝手編):「VAIO Tap 11」のペン入力、画質、音質をじっくりチェックする
ソニーの「VAIO Tap 11」は、薄型軽量の11.6型タブレットとワイヤレスキーボード、デジタイザスタイラス(筆圧対応ペン)を組み合わせた高機能なWindows 8タブレットだ。11.6型フルHD液晶ディスプレイと第4世代Core(開発コード名:Haswell)を搭載しながら、厚さ9.9ミリ、重さ約780グラムを実現し、性能と携帯性を高いレベルで両立している。
これまでにPC USERでは、店頭向け標準仕様モデルの速報的なレビューを行った後、ワイヤレスキーボードや筆圧対応ペンの使い勝手、液晶ディスプレイの画質についてチェックしてきた。
今回は店頭モデルに加えて、ソニーストアが販売するVAIOオーナーメード(VOM)モデルのハイスペック構成を入手できたので、改めて性能を検証したい。VOMモデルはボディカラーにホワイトを選べるほか、基本スペックのカスタマイズが可能だ。CPUはCore i7-4610Y(1.7GHz/2.9GHz)を筆頭に4種類から、SSD容量も最大512Gバイトまで選択でき、店頭モデルが標準でプリインストールするOffice Home and Business 2013やPhotoshop Elements 11を省いて購入できる。最小構成の価格は10万9800円だ。
テストに際しては、以前のレビュー掲載時と評価機のバージョンが変わっているため、店頭モデルも改めてスコアを計測し直している。それぞれの主なスペックは、下表にまとめた。Core i7-4610Yや512GバイトSSDのパフォーマンスが興味深いところだ。一部のテストでは以前にレビューした「VAIO Pro 13」(SVP13219CJB/Core i5-4200U 1.6GHz/最大2.6GHzを搭載)のスコアも掲載している。
今回テストしたVAIO Tap 11の主なスペック | ||
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製品名 | VAIO Tap 11(SVT11218DJB) | VAIO Tap 11(SVT1121A1J) |
販売チャンネル | 店頭向け標準仕様モデル | VAIOオーナーメードモデル |
CPU | Core i5-4210Y | Core i7-4610Y |
コア/スレッド数 | 2コア/4スレッド | 2コア/4スレッド |
CPU基本クロック | 1.5GHz | 1.7GHz |
CPU最大クロック | 1.9GHz | 2.9GHz |
3次キャッシュ容量 | 3Mバイト | 4Mバイト |
チップセット | CPUに内蔵 | CPUに内蔵 |
グラフィックス | Intel HD Graphics 4200 | Intel HD Graphics 4200 |
GPU実行ユニット数 | 20基 | 20基 |
GPUクロック | 200〜850MHz | 200〜850MHz |
CPU+GPU+チップセットTDP | 11.5ワット | 11.5ワット |
SDP | 6ワット | 6ワット |
メモリ | DDR3L-1600(デュアルチャンネル) | DDR3L-1600(デュアルチャンネル) |
メモリ容量 | 4Gバイト | 4Gバイト |
ストレージ | 128GバイトSSD | 512GバイトSSD |
評価機搭載ストレージ | TOSHIBA「THNSNH128GMCT」 | Samsung「MZMTD512HAGL」 |
液晶ディスプレイ | 11.6型ワイド(IPS) | 11.6型ワイド(IPS) |
ディスプレイ解像度 | 1920×1080ドット | 1920×1080ドット |
バッテリー容量 | 29ワットアワー | 29ワットアワー |
バッテリー駆動時間 | 約8時間 | 約8時間 |
OS | 64ビット版Windows 8 | 64ビット版Windows 8 |
本体サイズ(幅×高さ×厚さ) | 本体:約304.6×188×9.9ミリ、キーボード:約304×187.4×4.25ミリ | 本体:約304.6×188×9.9ミリ、キーボード:約304×187.4×4.25ミリ |
重量 | 本体:約780グラム、キーボード:約320グラム | 本体:約780グラム、キーボード:約320グラム |
各テストは、Windows 8の電源プランを「高パフォーマンス」、「VAIOの設定」における「CPUとファン」の動作モードを「パフォーマンス優先」にして行った。デフォルトでは電源プランは「バランス」、CPUとファンの動作モードは「標準」で、この設定でもほとんどスコアが変わらないことを確認済みだ。ただし、まれにスコアが下に振れることがあったため、不確定要素を排除するために上記の設定で統一した。
まずはCPU性能を計測するCINEBENCHのレンダリングテストから見ていこう。このテストはCPUに大きな負荷がかかる内容であるとともに、GPUやストレージの影響をほとんど受けないため、CPUの処理性能を確認するために行った。
「CPU」のスコアはマルチスレッド性能、「CPU(シングルコア)」のスコアはシングルスレッド性能の目安となる。最新バージョンはCINEBENCH R15だが、登場してから日が浅いため、以前の機種との比較用に1世代前となるCINEBENCH R11.5のスコアも掲載した。
結果は意外なものとなった。CPUのスペックからいえば、最高クロックが2.9GHzのCore i7-4610Yを搭載するVOMモデルは、同1.9GHzであるCore i5-4210Yの店頭モデルを大きく超えて、同2.6GHzのCore i5-4200Uを搭載するVAIO Pro 13に迫る……あるいは上回るスコアを残してもよさそうなものだが、そうはならなかった。
CINEBENCH R11.5では、CPUのスコアが店頭モデルとVOMモデルで変わらず、CPU(シングルコア)でも少し高い程度にとどまり、VAIO Pro 13との差は大きい。電力管理の制限でブレーキがかっているようなスコアの出方だ。CINEBENCH R11.5においてVAIO Pro 13に対するそれぞれのモデルのスコアは、「CPU」が両モデル共通で59%、「CPU(シングル)コア」では店頭モデルが73%、VOMモデルが77.3%だった。
CrystalDiskMark 3.0.2は、ストレージの性能を確認するために実行している。今回の評価機では、VOMモデルの512GバイトSSDにSamsung MZMTD512HAGL、店頭モデルの128GバイトSSDにTOSHIBA THNSNH128GMCTが使われていた。いずれもSerial ATA 6Gbpsに対応したmSATAタイプのSSDだ。
結果はVOMモデルの512バイトSSDのほうが、シーケンシャルの書き込み性能が高い。SSDコントローラの仕組みにもよるが、並列アクセスのチャンネル数などの関係から、同じブランドのSSDでも128Gバイトモデルより256Gバイト以上のモデルのほうが書き込み性能が高いことはよくある。もっとも、これくらいの差であれば、日常的な処理ではあまり差は感じないだろう。
ストレージの性能では多くのテストでVAIO Pro 13(店頭モデルのSerial ATA SSD構成)を上回っている点に注目したい。もちろん、いずれもAtom搭載のWindowsタブレットが採用するeMMCとは比較にならない速さで、性能面でのアドバンテージが得られている。
→ソニーストアで「VAIO Tap 11」をチェックする
わずか9.9mm(※タブレットモード時)、薄さ・軽さを極めた先進のモビリティー。Core i7 プロセッサー、大容量SSDなど高性能スペック選択可能。ホワイトはストア限定カラー
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