観測せよ、世界はそこにある! Oculus Riftで人の作りし「世界」へミクさんが実在する世界(1/3 ページ)

» 2014年01月23日 11時50分 公開
[瓜生聖,ITmedia]

Oculus Rift、買っちゃいました

Oculus Riftはゴーグル型HMDだ

 すっかり出遅れてしまった感があるが、年明けにようやく「Oculus Rift Developer Kit」を入手した。

 Oculus Riftといえば、体験者からやたらと「すごいすごい」という感想が聞こえてくるヘッドマウントディスプレイ(HMD)。開発者キットの第1弾では片眼640×800ドットという低解像度ではあるものの、水平90度、対角110度という、他社製品とは比べ物にならない視野角を誇り、3軸のヘッドトラッキング機構を備えている。

 さらに先日のCES 2014では待望の新プロトタイプ「Crystal Cove」も発表され、ますます活気づくVR(ヴァーチャル・リアリティ)界隈だが、ここで今一度、「Oculus Rift」の何がすごいのか、今までの製品とは何が違うのか、を見ていくことにしたい。

Oculus Riftのすごい点1:視野角

 今までのHMDのスペックにはよく「●メートル先に●型のディスプレイ相当」と書かれていた。そしてその表現は極めて正しい。現実の数メートル先のモニタが視野すべてを覆い尽くさないように、そのようなタイプのHMDではクリッピングされた矩形画像を閲覧する。

 ところがOculus Riftは水平90度、対角110度と、視界のほぼすべてをカバーする。さらに首を動かすとその角度を検知し、画像も追従する。つまり、上下左右前後、どこを向いても視野すべてを覆う世界が広がっている、ということだ。

Oculus Riftのすごい点2:軽量・フィット感

 HMDでは頭部にしっかり固定されることはかなり優先度の高い要件のはずだ。だが、大抵のHMDはやや重たく、装着しているとその重みで下にずれていくことがあった。

 しかし、Oculus Riftは装着部わずか380グラムと、非常に軽量だ。光学系を含む作りがシンプルであることに加え、プラスチックも肉薄のものが使われている。機器部分はゴーグルのように顔前方に面する部分のみ。音声出力を備えていないため、別途ヘッドフォンを装着する。

 顔に当たる部分には10ミリ以上の厚さのスポンジがあり、フィット感を増すと同時に外部からの光を遮断してくれる。その脇には通気性を保つメッシュが張られており、体温でディスプレイが曇ることもない。なお、鼻はゴーグルの外に出るので鼻息が荒い人でもOKだ。

 ディスプレイの左右には伸縮性のあるバンドが付けられており、まさしくゴーグルのように着脱する。バンドには長さ調整のパーツが左右についているが、手探りでも片手で簡単に調整できるなど、非常に使い勝手がよい。

 さらに頭頂部を通るよう、前後に面ファスナーのバンドがついており、Oculus Riftそのものの軽さとあいまって子供の小さな頭にもきっちりと固定できる。

コントロールボックス背面のコネクタはHDMI、DVI、USB、ACアダプタ。USBはヘッドトラッキング用で、電源のON/OFFに関わらず動作する。PCからはOculus RiftはHIDおよびモニタとして認識されるため、専用ドライバは不要(写真=左)。顔に面する部分は一センチ以上の厚さのスポンジ(写真=右)

左右と上からのバンドで固定する。左右のアジャスタが思いのほか調節しやすい(写真=左)。脇のメッシュで通気性を保つ(写真=右)

Oculus Riftのすごい点3:低レイテンシヘッドトラッキング

 Oculus Riftは1000Hzという非常に高いトラッキング性能を誇る。ジャイロ、加速度計、磁力計の組み合わせによってドリフトのない正確な位置検出を可能にしている。

 これは単純ながら重要なこと――首を向けた方向を正確に、遅延なく検出する――を実現するために妥協してはならない部分だ。頭で予想したことを裏切る感覚は、微細であっても強烈な違和感をもたらす。首をひねり、九十度横を向く。しかし、自分が見ている世界は八十度しか回転しなかったら。あるいは世界が遅れて回転したら、その気持ち悪さは実際に吐き気や頭痛を引き起こすだろう。

 もっとも、Oculus Riftだと完全に3D酔いから解放されるか、というとそうではない。むしろ人やアプリによっては激しい吐き気を感じることもある。このあたりは次期プロトタイプ、そして最終製品版でさらに改善されていくはずだ。

Oculus Riftのすごい点4:没入感

 広い視野角、フィット感、高いヘッドドラッキング性能――これらによって導かれるものが「没入感」だ。

 Oculus Riftの没入感は生理的に「やばい」と感じるレベルである。もはや「見る」ではなく、その世界に「入る」という体験――もちろん、これは作りこまれた「世界」によってその内容も大きく変わってくる。

 ここではいくつかのアプリを通じて伝えてみたい。

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