「VAIO Prototype Tablet PC」はクリエイター市場を揺さぶるモンスターになれるか林信行が見た「新型VAIO」(1/3 ページ)

» 2014年10月10日 21時11分 公開
[林信行,ITmedia]

 すでに本誌の詳細レビューでも熱い注目を集めているVAIOの新型タブレットは、Adobeのイベント「Adobe MAX」にて世界初披露されたものだ(関連記事:林信行が見た「Adobe MAX 2014」)。

VAIO Prototype Tablet PC

 これまでの記事では「VAIO Prototype Tablet PC」と書かれていたが、その後に行なわれたAdobe MAXでは「VAIO Creative Tablet PC」の名称が使われ、その愛称として「The Monster Tablet(怪物タブレット)」と呼ばれている。

 このタブレットの大きな特徴の1つが広い色域だ。Windowsやネットコンテンツで標準的なsRGBの色域を大きく上回るだけでなく、プロフォトや印刷業界をターゲットにしたAdobe RGBの色域でもカバー率95%以上を誇るなど、完全にAdobe MAXに参加するようなクリエイターのために練り込まれた仕様になっている。

Adobe RGBカバー率95%以上を誇る広い色域が特徴の1つ

 実際、製品の開発に当たってもAdobeのエキスパートや同社に紹介してもらったプロフェッショナルクリエイターの意見をベースにして製品開発が行なわれたという。今回披露されたのは「プロトタイプ」で、製品の発売は来年となっているが、それまでに行なわれるのは、実際にこうしたクリエイターらからの意見に耳を傾けてペンの描き味であったり、色味であったりといった感覚的な使いやすさの微調整と洗練だという。

製品開発にはAdobeの開発者や専属アーティストの協力があった

 それでは、そもそもVAIOはなぜ、クリエイター向けのタブレットを作ったのか。

 実はVAIOのクリエイター向けタブレット製品は今回が初めてではない。ソニー時代にVAIO Duo 11という、キーボード一体型でタブレットにもなり、ペン入力も使える新製品を作ったところ、これが大勢のクリエイターの作業環境を激変させたと話題になった。

 同製品はクリエイター以外の一般層もターゲットにしているが、CTO時のバンドルソフトとして「Clip Studio Paint Pro」というソフトのバンドル注文がアンチウィルスソフトなどと比べても5倍近く多かったという。

 大勢のクリエイターが作品を公開するWebサイト、Pixivでの広告からソニーストア内の同製品のページにアクセスする人が6倍近くあったことも、この製品がクリエイターの間で人気が高かったことを示している。

クリエイティブな作業環境を外に持ち出せる「VAIO Duo 11」は、大勢のクリエイターから高く評価された

 また、Photoshopの伝道師として有名なラッセル・ブラウン氏が国内で講演を行ったときなども、Photoshopの技を教える度にVAIOを活用し、それを公言してきてくれていたこともあり、クリエイターの間でのVAIO人気は強固なモノとなったようだ。プロの漫画家たちの間で、雑誌表紙原稿の作成に使われた実績もある。

 そうしたことからもクリエイター向けのパソコンは、VAIO開発チームが重視していきたい方向性の1つにもなっていた。ただし、その夢はソニーの傘下ではだんだん実現が難しくなりつつあった。そんな中、今年、同チームがソニーから独立し、VAIOとなれたことで、この本来の夢を再び追求できるようになったのだという。

 実際にはソニー時代から、Adobeのラッセル・ブラウン氏や同社の専属アーティストらの意見に耳を傾けてVAIO Duo 13まで開発が進められていた。

 その際に得たフィードバックで特に重要だったのが、タッチパネル液晶の角度が自由に調整できることと、タッチパネル操作と(Photoshopの)ショートカットキー操作が同時に行なえることの2点で、そこから本製品の特徴となるキーボードワイヤレス化によるフレキシブルレイアウトと、角度を自由に変更でき、かつペンを握った手の平を画面に置いても後ろに倒れないフリースタイル・ヒンジ構造が誕生した。

内蔵スタンドはヒンジが下部にあって上から下に開く独特の構造。キーボードもワイヤレスで利用できる

 Adobeの側も、開発中の同製品にあわせて、Illustrator CC、Photoshop CCの操作環境を整備するなど、開発に当たっては常に密接な関係を保った。こうして完成したのがザ・モンスター・タブレットの「VAIO Creative Tablet PC」(VAIO Prototype Tablet PC)だ。

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