汎用のパソコンは、すでに飽和市場で厳しい価格競争ばかりが続き、かつてPC業界の雄と言われた企業が次々と姿を消している。
そんな中、実は付加価値が高い高性能なパソコンを出せば、それがきちんと売れる市場の1つがクリエイターの市場だ。元々、この分野はアップルが強かったエリア。1996年に、かつて1度はつぶれかけたアップルがスティーブ・ジョブズ体制の下で再起をかけて開発したのも「Pro」がつくクリエイティブ・プロフェッショナル向け製品である。それからアップルは一気にクリエイター市場を席巻するまでの復活を果たした。
創造性をかき立てる製品デザインが重視されるクリエイターの世界、例えば今年も間もなく開催される「東京デザイナーズウィーク」などに行くと、パソコンはほとんどMacBookシリーズかVAIOしか見かけないというくらい、両ブランドはこの市場で影響力が強い。
今、その市場に勝負をかけているのがマイクロソフトで、Adobe MAX 2014の展示コーナーでも、入り口すぐのところにかなり大きな展示コーナーを用意していた。さらにAdobe MAXの基調講演にCEOのサティア・ナデラ氏自らが登壇し、Adobeと共同でタッチ操作を中心としたクリエイティブ・コンピューティングの未来を開発している姿勢をアピールしている。
ちなみにAdobe MAXの展示会場では、PCメーカーとしてはほかにDELLが写真/ビデオ編集に特化したPCを展示していたのに加え、HPがハイパワーのタワー型と、本体内パーツの交換がとても簡単な一体型PC、Z1を展示していたが、実際にブースに立ちよる人たちを見ていても、クリエイター向けパソコンとしてはVAIOのほうがまだ人気が高い印象があった。
アップルに加え、マイクロソフトという新たな強豪の追い上げも気になるところだが、VAIOの日本らしい丁寧な製品の作り込みや調整は、米国のクリエイターからの反応も上々。是非とも来年のAdobe MAXでは、基調講演で紹介されるくらいの成功を収めてほしい。
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