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エプソン、超短焦点などビジネスプロジェクター7機種――20年間シェア1位に向けて「3LCD」を改めてアピール「カラーの明るさ」で差異化

» 2014年11月11日 21時30分 公開
[ITmedia]

3LCD方式のビジネスプロジェクターを推進するエプソン

 エプソンは11月11日、ビジネスプロジェクター7機種を発表した。超短焦点デスクトップモデルの「EB-536WT」「EB-535W」「EB-530」を2014年12月11日に、汎用のミドルレンジモデル「EB-965H」「EB-950WH」「EB-940H」を2015年2月下旬に発売する予定だ。EB-950WHに書画カメラをセットにした「EB-950WHV」も同時発売する。価格はオープン、エプソンダイレクトの直販価格(税別)は13万8000円からだ。

今回発表された主な機種。右手前から左奥に向かって、EB-950WH、EB-535W、EB-536WT

 各モデルの主なスペックと価格は下表にまとめた。いずれも投写方式は同社おなじみの「3LCD」を採用する。

新機種の主なスペックと価格
製品名 EB-536WT EB-535W EB-530 EB-965H EB-950WH EB-940H EB-950WHV
カテゴリ 超短焦点デスクトップモデル 簡単・機能充実モデル
カラー明るさ(ルーメン) 3400 3400 3200 3500 3000 3000 3000
全白明るさ(ルーメン) 3400 3400 3200 3500 3000 3000 3000
解像度 WXGA WXGA XGA XGA XGA WXGA WXGA
電子黒板 オプション オプション オプション オプション
直販価格(税抜) 20万8000円 15万8000円 14万8000円 15万8000円 13万8000円 14万8000円 18万8000円

 製品発表会では、エプソンのプロジェクターが長年採用し続けてきた3LCD方式が改めて紹介された。3LCD方式は「全白表示(白100%)とカラー表示の明るさが変わらないこと」が特徴だ。競合する1チップDLP方式に比べて、カラーの光束が約2.5倍、最大で3倍高いため(IDMS 15.4規格による測定値)、明るさを重視するビジネス用途では特に3LCD方式が有利と同社は説明する。

 発表会場では実際に、公称スペックが共通(明るさ3000ルーメン、解像度WXGA、ランプ使用時間100時間以下)のエプソン製3LCDプロジェクターと1チップDLPプロジェクターを2台並べ、カラーの明るさを見比べるデモンストレーションも行われた。さらに今後は「最大3倍カラーが明るい」というワードをカタログや製品情報サイト、実機体験コーナーに掲示し、3LCD方式について認知拡大を図る計画だ。

左がエプソン製3LCDプロジェクター、右が1チップDLPプロジェクターで同じ映像を投写した様子。どちらも同クラスの製品で、明るさ3000ルーメン、解像度WXGA、ランプ使用時間100時間以下といった仕様だが、カラーの明るさは3LCD方式が大きく勝っている。一般にDLPは黒の締まりに優れているが、完全に遮光せず、ある程度明るい部屋で使われることも多いビジネスプロジェクターでは、その強みを発揮しにくい面もある
3LCD方式と他の主要方式(1チップDLP方式)における違い(写真=左)。3LCDプロジェクターの内部構造を確認できる透明モデル(写真=右)。3LCD方式では、機体内部でRGB各色専用に3枚の液晶パネルを用いることで、投写するコンテンツ全体のカラーバランスや、RGB各色の彩度の高さを実現する
プロモーションにおいては、「最大3倍カラーが明るい」というワードをカタログ、Webの製品情報、店頭で強調し、3LCD方式の認知拡大を図る

 国内のビジネスプロジェクター市場において、同社は2013年度までに19年連続で国内シェア1位を維持しており、2014年度上期(4〜9月)には61.3%ものシェアを獲得した(富士キメラ調べ)。他社のプロジェクター事業が停滞する中、右肩上がりでシェアを伸ばしており、もはや同市場はエプソンの独壇場とも言えるほどだ。

 エプソン販売 取締役 販売推進本部長の鈴村文徳氏は、その原動力はエプソンのコア技術である3LCD方式に宿っており、さらなる拡販にはより幅広いユーザー層に3LCD方式の優位性を浸透させる必要があるとの考えから、発表会での比較デモ実施やカタログ等での露出強化といった施策に踏み切ったという。

 今回の新機種の販売目標は、今後1年間で1万2000台。「20周年連続国内シェアNo.1を目指して、3LCD方式を改めて浸透させ、2014年下期も勝ち取っていきたい」と鈴村氏は意気込む。

エプソン販売 取締役 販売推進本部長の鈴村文徳氏(写真=左)。ビジネスプロジェクターの国内市場動向(写真=右)

さらに明るくなった超短焦点モデル

 超短焦点デスクトップモデル3機種は、83センチの距離で80型の大画面を投写できるのが最大の特徴だ。これにより、教室では教卓から黒板に向かって投写、会議室ではデスク前方の端から壁に投写といったように、狭いスペースで机上に置いて使いやすい。

 上位のEB-536WTは電子黒板機能を搭載し、明るさ3400ルーメン、WXGAの解像度、そして16ワットの大音量スピーカーを備えた。中位のEB-535Wはそこから電子黒板機能を省いた製品、下位のEB-530は明るさ3200ルーメン、XGAの解像度となる。

 電子黒板機能を持つEB-536WTは、教師や生徒のタブレット画面を最大4台まで同時に分割して投写し、比較学習を容易にする「タブレット連携」、接続したビデオカメラの映像を左右反転させて投写することでダンスの授業などに役立てる「ミラーモード」といった機能も用意している。

超短焦点デスクトップモデルは、83センチの距離で80型の大画面を投写可能だ
教師や生徒のタブレット画面を最大4台まで同時に分割して投写し、比較学習を容易にする「タブレット連携」機能(写真=左)。接続したビデオカメラの映像を左右反転させて投写する「ミラーモード」はダンス授業に向いている(写真=右)

基本性能とスマートデバイス連携を強化したミドルレンジモデル

 汎用のミドルレンジモデル4機種は、同社が「簡単・機能充実モデル」と呼ぶカテゴリの製品。上位のEB-965Hは明るさ3500ルーメン、XGAの解像度、16ワットの大容量スピーカー、重量約2.9キロというスペックだ。EB-940Hはそこから明るさを3000ルーメン、重量を約2.7キロに抑えた製品、EB-950WHはEB-940Hから解像度をWXGAにワイド化している。EB-950WHVは、EB-950WHと書画カメラのセットだ。

 新機能としては、映像信号が入力されるとプロジェクターが自動的に起動する「オートパワーオン」、2系統のHDMI入力、HDMI同士の投写も可能な2画面表示、QRコード読み取りで簡単に無線接続できるようになったスマートデバイス投写アプリ「EPSON iProjection」、MHLを用いたHDMI接続によるスマートデバイスとプロジェクターのミラーリング表示などが挙げられる。

スマートデバイス投写アプリ「EPSON iProjection」を利用し、タブレットの画面をEB-950WHで投写(写真=左)。EB-950WHVは、EB-950WHと書画カメラのセットだ(写真=右)

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