Crucialは、半導体大手のMicronが展開するメモリ/ストレージ製品のオフィシャルブランドだ。SSDの記録媒体であるNANDフラッシュメモリのメジャーサプライヤーでもあるMicronの純正ブランドだけに、信頼性が高く、コストパフォーマンスにも優れると定評がある。「RealSSD C300」「m4」「MX100」など、これまでも各世代を代表する定番モデルをリリースしてきた。
2014年にバリュークラスのモデルとしてリリースしたMX100は、いち早く16ナノメートルプロセスルール世代のNANDフラッシュメモリを採用したことにより、驚異的なコストパフォーマンスを実現し、ベストセラーモデルとなったことは記憶に新しい。
今回は、そのMX100の後継となるBX100、そしてそのBX100の上位モデルとなるMX200を同じタイミングで投入してきた。評価用製品を入手したので早速性能と消費電力を検証していこう。
MX200とBX100のスペックは表にまとめた。それぞれ位置付け的に先代モデルにあたるM550、MX100のスペックも併記した。
MX200とBX100は、ともにMicronの16ナノメートルプロセスルールで製造されるのMLC NANDフラッシュメモリを採用しているが、コントローラはMX200がMarvellの「88SS9189」、BX100にはSilicon Motionの「SM2246EN」を採用している。
先代モデルとの比較を見ると、MX200については、250Gバイトクラスのモデル以外は性能向上は地味だが、総書き込み容量が増えた。特に1TバイトモデルではM550に比べて4.4倍も増えており、信頼性に重きを置いていることが分かる。
一方、BX100のほうは、MX100と比べると性能面はリード、ライトとも低い。位置付け的にはMX200はM550の後継だが、アーキテクチャやスペックからするとMX100の正統な後継がMX200であり、BX100はさらにバリュー向けに追加されたモデルと考えたほうがよいのかもしれない。
また、BX100は、特に容量が少ないモデルでの書き込み性能が低いが、これは他社製品も含めてよくあることで、NANDフラッシュメモリ自体の特性によるところが大きい。特にプロセスルールの微細化が進んだ近年では、書き込みプロセスが複雑化しており、NANDフラッシュメモリチップ単体では余計に読み込みとの差が大きくなっている。容量の大きいモデルでは並列書き込みなどコントローラのアルゴリズムでカバーできるが、容量が少ないモデルでは最適化の余地が少なく、性能が低くなることが多い。
MX200では、MLCのNANDフラッシュをSLCモードで動作させてライトキャッシュとして利用する「Dynamic Write Acceleration Technology」(DWAT)により、250Gバイトモデルでの書き込み性能低下を防いでいる。1セルに2ビットの情報を記録できるMLCよりも1セルに1ビットの情報を記録するSLCでは、電圧管理がシンプルで書き込み性能を向上させやすく、耐久性にも有利なため、キャッシュ用途には向く。Samsungがバリューモデルの840 EVOや850 EV0に導入している「TurboWrite Technology」に似ているが、DWATではキャッシュ領域を固定せずに動的に確保するという。
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