福島工場のE棟2階では、「伊達モデル」と呼ばれる個人向けデスクトップPC、およびIAサーバーが生産される。生産ラインのAからKまで実に計11のラインが並ぶ。個人向けデスクトップPCは通常AからFまでの計6ラインを使い、うち液晶一体型PCがAとBの2ラインで生産されていた。
生産工程は7つのステップに分けられる。一直線上に、すべての工程が行われているのが福島工場の特徴だ。
福島工場のデスクトップPC生産ラインを見て感じたことは、まず作業者の身だしなみがキチンとしていること。静電靴、制電作業着の着こなしはもちろんのこと、髪の毛が混入しないような帽子を、しっかりと着用していた。見学者も全員、この帽子の着用を促された。食品工場のような気配りは、すべてにおいて徹底している。
生産ラインでの工夫も素晴しい。一直線に並んだラインは、まさに機能美だ。無駄な部材はなく、各作業の標準化、2段パレットの採用、ライン全体に分散させたピッキング、ライン内でのHDDインストール、梱包作業のコンベアライン化といったアイデアの実現は際限がない。
また、工場のレイアウトで注目すべきは、サーバとPCの生産ラインを同一フロアに配置し、混流ラインを構築していることだ。フレキシブルな生産体制の構築は、物流費用や間接費用の削減効果があったという。2015年7月、Windows Server 2003のサポート終了に合わせたPCサーバの需要増もこれから見込まれる。フレキシブルな生産体制のシフトは、大いに役立つに違いない。
それでは、生産ラインを写真で順に見ていこう。
最後に、工場の一角にパーティションで区切られたセキュリティエリアで、「FMVカスタムメイドプラス」というインストレーションサービスも行っていたことを付け加えたい。マスタ開発やBIOS設定、独自ラベルの作成、貼り付けなど、企業からのPC一括導入を支援するサービスメニューだ。IT管理者は、工場出荷時にハードウェアのカスタマイズだけでなく、導入フェーズまですべて富士通に任せることができる。
まさに、2000万台出荷、富士通「伊達モデル」は“ダテ”ではなかった。
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