液晶ディスプレイのテストには、エックスライトのカラーマネジメントツール「i1Pro」とソフトウェア「i1Profiler」を使用した。いずれも環境光に応じたバックライトの自動調光機能をオフに設定し、表示が安定するよう起動後1時間ほど全画面白表示の状態でウォームアップしてから測定している。
結果は以下の通りだ。
最大輝度の計測結果は、新しいMacBookが348カンデラ/平方メートルと、3モデルの中ではわずかに低かったが、並べて見比べない限り気にならない。屋内での最大輝度表示はまぶしすぎるほどで、晴天下で画面を見るようなケースを除き、明るさは満足できるだろう。
ちなみに、MacBookのディスプレイは液晶の開口率を高めることで、従来のMacが搭載するRetinaディスプレイより、30%エネルギー効率が高いLEDバックライトを採用できたという。ノートPCが搭載するパーツの中でも液晶ディスプレイ部は特に消費電力が高いが、この工夫が薄型軽量ボディでも最大9時間(ワイヤレスインターネット閲覧)というバッテリー駆動時間の確保に貢献している。
色温度の計測結果は、新しいMacBookが6854K、13インチMacBook Pro Retinaが6972Kだった。これらはPCやネットコンテンツ、デジタルフォトにおいて標準的な色域となっているIEC(国際電気標準会議)の国際規格「sRGB」で定められている色温度(6500K)に比べて少し高い。一方の11インチMacBook Airは6588Kと、sRGBの色温度にかなり近かった。
色温度が低いと、白色の表示が黄から赤みがかって見え、高くなるにつれて青っぽく見え方が変わる。目視では、計測値がsRGBに近かった11インチMacBook Airの白には少し青緑の色かぶりが感じられるが、新しいMacBookと13インチMacBook Pro Retinaは濁りがなく、すっきりと抜けのよい白色といった印象だ。
なお、日本ではかつてのアナログテレビ放送に採用された映像規格のNTSC-Jが9300Kを業界標準としていた影響から、色温度の高い表示を好む(青みがかった白を正しい白色と感じる)傾向にあるため、少し色温度が高い表示のほうが自然でキレイな白に感じるという人は多そうだ。
もっとも、現在のデジタルハイビジョン放送では6500Kの色温度が基準であり、また写真の世界は以前より5000〜5500Kが標準的な設定なので、徐々に低めの色温度を正しい白と認識する人が日本でも増えていくのではないだろうか。
ガンマカーブの補正結果は、新しいMacBookと13インチMacBook Pro Retinaが素晴しい結果だった。RGB各色の入力と出力の関係がほぼ1:1で推移しており、シャドーからハイライトまで正確だ。つまり、グラデーションの表示が崩れてバンディング(帯状のすじ)が見えたり、グレーに余計な色がかぶって見えるようなことのない、正確な階調再現が期待できる。
一方でMacBook Airのガンマカーブは、赤と緑がわずかに上方へ、そして青が中間階調から明部にかけて大きく下方へと補正された。これはデフォルトの状態だと映像入力の信号に対して、実際のディスプレイ表示では青の発色が強く、赤と緑の発色がわずかに弱いことを意味している。色温度の計測では6500Kに近い良好な値だったが、階調再現の精度では他の2機種が大きく勝る結果となった。
なお、参考までにiPadファミリー最新モデルのガンマカーブ補正結果も掲載しておく。いずれも良好な結果で、9.7型モデルの「iPad Air 2」も、7.9型モデルの「iPad mini 3」も新しいMacBook同様、RGB各色の入力と出力の関係がほぼ1:1で整っており、階調再現性は高い。
次に、各モデルの内蔵ディスプレイで色域(表示できる色の範囲)を比較しよう。
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